トレンドの“板張り天井”を後悔する理由と解決策は?木材のプロが徹底解説

最近、住宅でも店舗でもトレンドなのが、「板張り天井」。

全面に取り入れるパターンから、アクセントとして部分的に取り入れるパターンまで、事例は様々です。

トレンドであるが故、デメリットを知らずに導入し、後からトラブルになるケースも。

そこで、今回は「板張り天井」のデメリットとその解決策について、“木材のプロ”が詳しく解説します。

改めて、板張り天井のメリットも紹介しますので、ぜひ設計デザインの参考にしてください。

コラムのポイント

●「板張り天井」には、建物利用者への心理的・身体的効果や、快適性を向上する効果があります。

●「板張り天井」を採用する際には、必ずデメリットとその解決策を知っておくことが欠かせません。

●私たち“柏田木材工業”は、1950年に創業以来培った高い製造技術を活かし、環境に配慮した高品質の内装材製造や、開発サポートを行っています。

 

“板張り天井”のメリットは?

板張り天井のメリットとは?



天井にウッドデザインを取り入れる事例が増えています。

和室の竿縁天井をはじめとして、古くから取り入れられている手法ですが、最近はシンプルな洋風インテリアへ板張り天井を組み合わせるデザインの人気が再燃しています。

住宅はもちろん、店舗などの商業施設、学校、病院、高齢者施設など、建物用途を問わず、内装の“木質化”が進んでいるのです。(参考:農林水産省|内装木質化した建物事例とその効果

では、なぜ多くの設計デザインに採用されているのでしょうか?

まずは、主なメリットから見てみましょう。


高級感・重厚感がプラスされる

最近は、シンプルなインテリアデザインが主流ですが、板張り天井がそこに高級感・重厚感をプラスしてくれます。

木目調の天井材は、化粧板やビニルシート材、クロスなど、いくつかの種類がありますが、やはり最も人気なのが無垢の天井材です。

“本物志向”の方の人気が高く、ミドルグレード以上の建物へ主に採用されています。


部分張り替えがしやすい

天井材として多く使われるビニルクロスやシート材ですと、照明焼けなどの跡を補修するとなると、ある程度広範囲をやりかえなくてはいけません。

なぜなら、ビニルクロスやシート材は、同じ品番の物が現存しても、生産ロッドによって微妙に色合いが異なりますし、補修用として取っておいたものも、やはり施工されたものとは経年劣化の具合に差があります。

つまり、部分補修をすると、その部分がかなり目立ってしまうということです。

一方、板張り材の場合は、1枚ごとに材料が独立しており、間に目地があるため、部分取り返しても色の違いがクロスほど気になりません。


調湿性がある

天井の大半を無垢の板張り材にすると、室内の湿度を調節してくれます。

なぜなら、天然木材は細かく空洞の開いた細胞構成で、そこに空気中の水分を抱え込むことができるからです。

また、乾燥時には一度吸収した水分を空気中に放出する特性もあるため、まさに“天然の調湿材”と言えます。

表面に何も加工されていない材料ほどその効果は大きいため、汚れやキズがつきにくい天井には、ぜひ無塗装の天井材をご検討ください。

木材の調湿性
(引用:林野庁|木材は人にやさしい

 

断熱性がある

木材は、数ある建築材料の中でも断熱材に使われるグラスウールなどについで、高い断熱性を持ちます。

昔から床下から伝わる冷気を遮れることで知られている畳よりも、熱伝導率(熱の伝わりやすさ)は低いのです。

材質 熱伝導率(W/m・K)
アルミニウム 210
コンクリート 1.6
石膏ボード(プラスターボード) 0.60
畳床 0.15
天然木材 0.12
クラスウール断熱材(10K相当) 0.050
(参考:一般社団法人 住宅・建築SDGs推進センター|材料の熱定数量


最上階で屋上から伝わる暑さを遮るのは、あくまでも小屋裏の断熱材ですが、さらに付帯効果として、天井へ板張り材を採用してみるのもおすすめです。


吸音性・遮音性がある

木材には室内で発せられた音を吸音し、残響を抑える性能があります。(参考:一般財団法人日本木材総合情報センター|木材の遮音と吸音

木材の吸音性・遮音性
(引用:林野庁|木材は人にやさしい


音は主に壁に当たって跳ね返るため、天井だけでは不十分ですが、一定の効果は期待できます。

農林水産省の実験によると、室内の木質面積が大きいほど、子供の集中を助ける効果や、オフィスでの作業性・業務効率アップをもたらすことが分かっています。(参考:農林水産省|内装木質化した建物事例とその効果 P64-)

そのため、保育園や幼稚園、学校においても、従来の吸音性がある石膏ボードに変わり、板張り材を採用している事例が増えているのです。


リラックス効果がある

杉や檜などの無垢材から放たれる“木の香り”には、リラックス効果があることが分かっています。

具体的には、血圧の上昇や脈拍の乱れ、ストレスホルモンの発生を抑制し、ストレスのバロメーターでもある脳前頭前野活動を鎮静化する作用が研究により認められているのです。

また、木材が視界に入ると、「なごむ」「あたたかい」「自然な」などの印象を受けやすく、心理的にもリラックス効果が得られます。(参考:農林水産省|内装木質化した建物事例とその効果 P58-)

無垢材の中でも、無加工に近い状態であるほど、リラックス効果が高いとされているため、この観点からもやはり塗装されていない天井材がおすすめです。

 

経年変化が楽しめる・愛着が湧く

「末長く使い続けられる建物にしたい」そうお考えの方にも、板張り天井はおすすめです。

なぜなら、無垢材は新築時と10年後、50年後とでは、違う表情を見せてくれるからです。

比較的、天井は紫外線の影響が少ないですが、経年によって色味が変わる樹種も多く、時の流れとともに風合いが増してきます。

その土地で育った“地産材”を使えば、地域の利用者にとってより一層愛着の湧く建物になるはずです。

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ポイント
私たち“柏田木材工業”では、奈良県産杉材や、吉野杉・吉野桧、信州産唐松など、生育地域を限定した地産材も多く取り扱っています。
国産材・地産材を内装に取り入れたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

板張り天井を後悔する理由とは?解決方法はある?

天井板張りのデメリット



心理面・身体面・性能面でメリットがある“板張り天井”ですが、採用する前に知っておかなくてはいけないデメリットがあります。

これらを知らずに設計デザインに取り入れてしまうと、後から思わぬ誤解を招いてしまうかもしれません。

デメリット、さらにその解決策を知ることで、クライアント様への事前説明も徹底でき、クレームを未然に防ぐことができます。


コストが上がる

ビニルクロスや塗装仕上げと比べると、どうしても材料費・施工費ともに割高になってしまいます。

しかし、木目柄のクロスやシート材では、どうしても本物の質感は表現できません。

ここで重要なのが、木材は耐用年数が長いという点です。

ビニルクロスは10〜15年程度で張り替えなくてはいけませんし、内部塗装の寿命も20〜25年程度です。

一方、天井材として使われる無垢の羽目板ですと、室内環境によっては100年以上持つ可能性も期待できます。

現存する築数百年たっている寺社仏閣が存在することからも、その事実は明らかです。

日本に多く生息する桧の強度は、伐採されてから200年程度まで高まることも分かっています。

(引用:天竜流域林業活性化センター|天竜流域の木材について


つまり、無垢材を用いた板張り天井は、イニシャルコストこそかかるものの、長寿命なため、長期的に見ると決して損ではないということです。


圧迫感が出る

ホワイト系の明度が天井材と比べると、圧迫感が気になってしまうケースもあります。

その多くは、住宅など天井高がそれほど高くない空間や、トイレなどの狭い空間です。

解放的な商業空間では、それほど気にならないでしょう。

住宅に取り入れる場合には、部分的に取り入れるのがおすすめです。

また、明るい色味で木目の主張が強くない樹種を選ぶのもポイント。

ホワイトアッシュやビーチ、桧を選べば、圧迫感がかなり抑えられます。

ただし、これらの樹種も経年変化によって色味が変わってくるため、必ず事前に変色具合をメーカーへ確認しておくと良いでしょう。


板材の隙間が気になる

通常、板張り天井に使われる羽目板は、長尺の材料を短辺方向で連結させる仕組みになっています。

その連結部分を、実(さね)と言います。

羽目板の構造


この実の凹凸を組んで連結していくのですが、室内の温湿環境によって木材が伸縮・変形し、冬などの乾燥期には、継ぎ手が空いてしまう可能性があります。

一般の方には施工不良に見えてしまうため、事前の説明が欠かせません。

ちなみに、季節が変われば元通りになるケースがほとんどです。

急激に機械を用いて人工乾燥された木材は、色艶が落ちて変形リスクが高く、逆に天然乾燥と人工乾燥を併用してじっくり乾燥された木材は、変形しにくい点もポイント。

変形しにくいということは、木割れが起きにくいということです。

材料選びの際には、どのような方法で乾燥された無垢材から作られているのかも確認しましょう。

ポイント
私たち“柏田木材工業”の製品は、時間をかけて天然乾燥したのちに中温乾燥された無垢材を使用しています。
材料の含水率や乾燥方法にまでこだわった材料を手配可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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施工性を上げる天井材の特注・OEM生産は、“柏田木材工業”におまかせを

一号棟内観



私たち「柏田木材工業株式会社」は、1950年に奈良県で木工所として創業して以来、多くの木製品の開発・製造支援を行ってきました。

自社製品の製造・OEM・特注製造・研究開発を通じて、お客様の木材に関わるビジネス課題を解決いたします。

その理由は、柏田木材工業がお客様へご提案する5つの“お約束”があるからです。

柏田木材・5つのお約束
●加工・接着・着色・塗装を自社にて一貫対応いたします。
●ウレタン塗料だけではなく、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料など様々な塗料に対応いたします。
●お客様からの材料支給にも対応いたします。
●加工前の材料保管・加工後の製品保管を自社倉庫にて対応いたします。
●お客様のご要望に合わせて樹種・形状・塗装仕様のご提案をいたします。



木材に関する全ての工程を自社にて対応し、倉庫管理の代行によって運送距離や回数を減らすことで、運搬エネルギーの削減を実現できます。

また、自社工場は銘木として知られている「吉野杉・吉野桧」の産地と近いため、高品質な木材から作られた製品を最小限の運搬エネルギーでご提供できる点も強みです。

「バイオマスボイラー」による自然を無駄にしないクリーンな熱源確保や、水性塗料を用いた着色技術、高耐久で低汚染なUV塗装・オスモUV塗装の導入によるVOC削減など、様々なアプローチで環境に配慮。

総合的に高品質製品の製造と地球環境保護に取り組んでいます。

「木質系建材を使いたいが既製品では難しい」

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そんなお悩みを抱えている企業様を、1950年創業以来“木工所”として培ってきたノウハウと環境開発でしっかりサポート。

木材利用の可能性を広げることで、環境保全へ貢献し、さらに皆様の設計デザインの実現をサポートいたします。


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まとめ

板張り天井には、多角的なメリットがあるため、一時のトレンドデザインには止まらない可能性に満ちています。

ただし、デメリットを知らずに設計デザインへ取り入れると、後からクライアントとのトラブルに発展する可能性もあります。

そのため、注意点とその解決方法を把握し、事前説明をするなどのリスクヘッジは欠かせません。

「果たして本当に板張り天井を採用すべきなのか悩んでいる」

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