〈法22条区域の外壁仕上げ〉板張りにする際の注意点やサイディング・外装材選びのポイント

〈法第22条区域の外壁〉板張りにする際の注意点やサイディング・外装材選びのポイント


「法22条区域」とは、防火地域・準防火地域と同様に、建物の仕上げ材に制限がある地域です。

そのため、コンクリートなどの建材と異なり燃やすい木材を外壁材に用いる場合には、注意しなくてはいけません。

そこで、今回は「法22条区域」の概要から、外壁を板張りにする際の注意点、材料選びのポイントまで詳しく解説します。

木の魅力を生かした設計デザインを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

コラムのポイント

● 法22条区域とは、防火地域・準防火地域と同様に、市街地の火災延焼を食い止めるために設けられた規定です。

● 法22条区域の外壁や軒裏に木材を使用したい場合には、不燃塗装を施した不燃木材がおすすめです。

● 私たち「柏田木材」は、1950年に奈良県で創業以来、県産材・地域材を利用した高品質な木質建材を製造しており、不燃塗装をはじめとした特殊塗装も全て自社工場で行なっています。



法22条区域とは?“延焼のおそれ”がある範囲や条件に関する法令・告示

法第22条区域とは?“延焼のおそれ”がある範囲や条件に関する法令・告示


「法22条区域」とは、正式には“法22条にもとづいて特定行政庁が指定した区域”と呼びます。

建物が密集して建ち並ぶ市街地において、火災の危険を取り除くために、行政によって防火地域・準防火地域以外の地域が指定され、市街化区域全てが防火地域・準防火地域・法22条区域のいずれかに該当する自治体は少なくありません。

ポイント

法22条区域に建てられる建築物は、建築基準法第22条「建築物の敷地、構造及び建築設備(屋根)」と第23条「建築物の敷地、構造及び建築設備(外壁)」の両方が適用されるため、使用できる材料に制限があります。



建築基準法第22条・第23条を簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 特定行政庁が法第22条区域と指定した区域内の建築物において、周囲の火災で火の粉によって延焼しないように、屋根を不燃材料で造る(葺く)ことが義務付けられている。
    ※茶室、あづまや等の建築物、延べ面積10㎡以下の物置で、延焼ラインの外にある屋根は対象外
  • 特定行政庁が法第22条区域と指定した区域内の木造建築物において、周囲の火災による輻射熱や火の粉、接炎によって外壁や軒裏から延焼しないように、「延焼のおそれのある部分」を防火構造等とし、外壁は準防火性能の技術的基準に適合するか土塗壁などその他構造にしなくてはいけない。
矢印

法22条区域内では、屋根全面を防火性の高い仕様にし、外壁は定められた範囲のみ準防火性能以上の材料を使用しなくてはいけません。


ここで気になるのが「延焼のおそれのある部分」ですよね。

「延焼のおそれのある部分」とは隣地境界線等から、1階は3m以下、2階以上は5m以下の距離にある建築物の部分を指します。

炎症の恐れがある部分
(引用:国土交通省|今後の建築基準制度のあり方について「木造建築関連基準等の合理化及び効率的かつ実効性ある建築確認制度等の構築に向けて」


ちなみに、法22条区域“外”の建築物であっても、床面積が1,000㎡を超える大規模な木造建築物は、「延焼のおそれがある部分」を準防火以上の仕様にしなくてはいけません。

メモ

建築物における火災対策はとても重要です。

そのため、建築基準法をはじめとした関連法規には多数の記載がありますが、「どれを優先的に遵守すればいいか」分かりにくいかもしれません。

構造条件は優先順位が決められているので、以下の順番で法文を確認するのがおすすめです。

①建築基準法法第22~25条・61~64条
②建築基準法施行令第109条の8
③告示1361号
④建築基準法施行令第109条の2の2
⑤告示1365号

※その他の関連法規もありますので、実施設計の際は注意してください。




法22条区域・防火地域・準防火地域|構造の違い

法第22条区域・防火地域・準防火地域|構造の違い


法22条区域・防火地域・準防火地域はどれも建築物に関する防火的な制限がある地域です。

駅や幹線道路から近い場所から、「防火地域」▶︎「準防火地域」▶︎「法22条区域」と順番に広がります。

指定エリアが異なるだけではなく、建築物の構造種別や使用できる材料の規定が異なるのでチェックしておきましょう。

地域制限の内容
防火地域・原則的に全ての建築物を「耐火建築物」にしなくてはいけない。
・木造建築は基本的に建てられない。
・開口部は「防火戸」にしなくてはいけない。
準防火地域・階数や延べ床面積によって「耐火建築物・準耐火建築物」にしなくてはいけない。
・木造の2階建て以下の建築物は、「防火構造」にしなくてはいけない。
・開口部は「防火戸」にしなくてはいけない。
法22条区域・木造は可能だが、屋根を「不燃材」にしなくてはいけない。
・外壁・軒裏の“延焼のおそれがある部分”は「準防火構造」にしなくてはいけない。


つまり、制限は「防火地域」▶︎「準防火地域」▶︎「法22条区域」と緩くなっていくということです。


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法22条区域内外にまたがる場合はどうなる?区域の調べ方

法22条区域内外にまたがる場合はどうなる?区域の調べ方


敷地が、防火地域・準防火地域・法22条区域にまたがる場合は、制限のより厳しい地域規制が適用されます。

ただし、敷地が準防火地域と法22条区域にまたがっている場合、法22条区域内「防火壁」を作れば、その内側は準防火地域の制限を受けません。(参考:建築基準法第65条「建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置」

法22条区域内外にまたがる場合


敷地が、防火地域・準防火地域・法22条区域のどれに該当しているかを確認する際には、自治体のホームページや窓口で「都市計画図」を確認するとすぐに分かります。




法22条区域・延焼ライン内の材料|外壁・軒裏を板張りにできる?

法22条区域・延焼ライン内の材料|外壁・軒裏を板張りにできる?


屋根を木質建材で葺くケースはほぼありませんが、外壁を板張り仕上げにしたいというケースも多いですよね。

結論から言うと、法22条区域で”延焼のおそれがある部分”の軒裏・外壁に木材を用いることはできます。

平成12年6月の建築基準法改正によって、防火構造や準防火構造等に必要とされる技術基準が明確化され、それを満たしている木質建材が増えたからです。

延焼のおそれがある部分(通称:延焼ライン)の内側にある木造建築物において、外壁・軒裏に木材を使用する条件は「準防火性能の技術的基準に適合する(国土交通大臣認定を受けた仕様とする)」こととされています。

ここで忘れてはいけないのが、通常の羽目板材は認定不燃材ではないという点です。

そのため、外壁に用いる場合は不燃材との二重構造にして法規制をクリアしなくてはいけません。

ところが、そうなると外壁の重量が重くなり、耐震面でも問題が出てくる可能性があります。

ポイント

“本物の木”にこだわり法令の規制をクリアする方法は2つあります。

①「不燃木材」を使うこと。(不燃材が滲み出て結晶化する“白華現象”を抑える不燃塗料したものがおすすめ)
②「燃えしろ設計」すること。(板材を分厚くして、表面が燃えても炭化して、建物への延焼を防ぐ手法)

私たち“柏田木材”はどちらの製品も取り扱っているため、お客様の設計に合わせ「樹種・長さ・厚み・実形状・塗装仕上げ」の全てをカスタマイズした外壁材をご提供できます。


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防火制限のある外壁・軒裏に使う木質建材は“柏田木材”へご相談を

法第22条区域の外壁・軒裏につかう木質建材は“柏田木材”へご相談を


防火に関する制限がある部分にも用いることができる「不燃木材」ですが、一般的な不燃薬剤を浸透させたタイプですと、表面に薬剤が浮き出る“白華現象”で見た目が悪くなったり、雨で薬剤が流れ出たりするデメリットがあります。

また、水溶性不燃薬剤が空気中の湿気を引き寄せ、木材の含水率を高めてしまい、反りなどの変形をもたらすリスクもゼロではありません。

そのため、表面の変質を防ぐために「不燃塗装」が必要です。

ところが、不燃木材の防火性能を維持するためには、均一な塗膜厚さを保たなくてはいけないため、現場塗装が難しいと言う側面があります。

また、すぐに表面を塗装しないと、“白華現象”が発現してしまう可能性は避けられません。

そこでおすすめするのが、工場塗装された不燃木材です。

ポイント

現場での不燃塗装はいくら施工技術が高くても、性能維持に限界があります。

そのため、ぜひ柏田木材の高品質な工場塗装品をご検討ください。

弊社では、高品質な塗装済み不燃木材をご提供するために、以下の点を重視しています。

● 現場の工程に合わせた納品手配を徹底し、最短のリードタイムで材料をご提供しています。

● 高性能塗装設備を備えた自社工場にて、一定の動きと圧力による均一な塗膜を確保しています。

● 乾燥に時間がかかる塗装工程も、広い乾燥スペースを確保して効率的に塗装することで、短納期・大量生産の対応が可能です。


不燃木材ではなく無垢材にこだわりたい方には、「燃えしろ設計」に対応した外壁材がおすすめです。

樹種や納まり、デザインのディテールにまでこだわりたい方は、柏田木材へぜひご相談ください。

木製品・木質建材の特注品やOEMの製造も承っています。



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まとめ

法22条区域は、防火地域や準防火地域と同様に、街を火災の被害から守るために欠かせない規定です。

そのため、屋根や外壁・軒裏に使用できる材料が限られます。

しかし、設計デザインする上で“木”の風合いを生かした設計にしたいケースも多いでしょう。

そこでおすすめなのが、白華現象の発生を抑えられる不燃塗装を施した不燃木材です。

ただし、現場塗装では不燃性能を維持するのが難しい点は否めません。

そのため、工場塗装された不燃木材をおすすめします。

無塗装の自然な風合いを活かしたい方には、燃えしろ設計に対応した無垢外壁材もご検討ください。

“柏田木材”は、国内外から良質な木材を仕入れ、長年培った経験と知識を活かし、お客様のご予算・設計デザインに合う木質建材をご提案しています。

塗装も全て自社で行なっていますので、多彩な塗装ラインナップより、ご要望に合うものをご提供できる点が強みです。

「木質建材を使いたいが防火制限がある」

「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」

「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」

「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」

そんなお悩みを抱えている企業様を、私たちがしっかりサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。




品質・コスト・エコ全てにこだわった“柏田木材”の木質建材

木材


私たち“柏田木材工業株式会社”は、建材を中心に木製品の開発・製造支援を行う会社です。

1950年創業以来、高品質で施工面・コスト面まで考慮した商品をご提供し続けてきました。


自社製品の製造販売だけではなく、木製製品のOEM・特注製造・研究開発を通じて、お客様の木材に関わるビジネス課題を解決いたします。

柏田木材・5つのお約束

● 加工・接着・着色・塗装を自社にて一貫対応いたします。

● ウレタン塗料だけではなく、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料など様々な塗料に対応いたします。

● お客様からの材料支給にも対応いたします。

● 加工前の材料保管・加工後の製品保管を自社倉庫にて行います。

● お客様のご要望に合わせて樹種・形状・塗装仕様のご提案をいたします。



“県産材・地域材”の活用

柏田木工所として創業して以来培った知識とネットワークを活かし、県産材や地域材の利用にも積極的に取り組んでいます。

以下のような地域材の活用実績がございますので、ぜひご相談ください。

  • 奈良県産杉
  • 奈良県産桧
  • 吉野杉
  • 吉野桧
  • 信州産唐松


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立地による“リーズナブルな価格”の実現

私たちが工場を構えるのは、奈良県五條市。

銘木として知られる吉野杉の産地とも近い、林業・製造業が盛んな地域です。

そのため、良質な木材を最低限の輸送コストで入手できるため、お客様にもコスパの高い木質内装建材をご提供できます。

倉庫管理による“施工効率性アップ”

羽目板材などは長尺な建材であるため、現場での置き場確保にお困りのケースは少なくありません。

早めに納品すれば、作業スペースに影響がでてしまうこともあるでしょう。

柏田木材では、材料の一時保管場所として、自動倉庫による管理を導入しています。

必要なものを必要なタイミングで現場へ納品できるため、施工効率性アップが期待できるだけではなく、工期遅延のリスクを防げます。


全工程を自社工場で行う“品質安定性”

木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行っているため、品質のばらつきや手作業による人工の増加、工程間での運搬による時間や費用のロスを最小限に抑えられます。

全工程を自社で管理しているため、高い品質安定性を保証できる点が私たちの誇りです。


高い塗装技術

柏田木材は、木質建材への加工だけではなく、各種不燃塗装やUV塗装も含めた特殊塗装も、全て自社で行なっています。

複数種の塗装サンプルの作成や、オリジナル着色のご提案など、豊富な塗装レパートリーを組み合わせ、お客様のイメージを実現化できる点が弊社の強みです。

また、バイオマスボイラーによる自然を無駄にしないクリーンな熱源確保や、水性塗料を用いた着色技術、高耐久で低汚染なオスモUV塗装の導入によるVOC削減など、環境へ配慮した技術も積極的に導入しています。



工期・予算・デザインに合わせた“材料選定のご提案”

柏田木材は、自社製品を販売するだけに留まらず、お客様のご要望や課題を伺いながら仕様を共に決めていく“開発支援”や、“特注製造”も行っています。

そのため、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫したサポートをご提供。

「こんな材料があればいいのに」というお悩みを解決するお手伝いをいたします。




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