なぜ木材は経年変化する?色・強度の変化や原因について“木材のプロ”が解説

なぜ木材は経年変化する?色・強度の変化や原因について“木材のプロ”が解説


木は、伐採・製材された後でも色や質感が変化します。

そのため、木質建材を使う場合は、“経年変化”を踏まえた材料選びや施工が重要です。

しかし、木材がどのように経年変化するのかを直接確認することは難しいですよね。

そこで、今回は「木材の経年変化」について、そのメカニズムや色・強度の変化、樹種ごとの特徴を“木材のプロ”が詳しく解説します。

木の魅力を生かした設計デザインを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

コラムのポイント

● 木材は紫外線と雨の影響で、経年と共に変色します。

● 経年変色は樹種によって現象が異なるため、デザインのイメージに合う材料を選ぶことが重要です。

● 私たち「柏田木材」は、1950年に奈良県で創業して以来、国産材・県産材・地域材を利用した高品質な木質建材を製造しております。



木材が経年変化する理由|紫外線・雨・各種あ汚染

木材が経年変化する理由|紫外線・雨風


木材は、樹皮を取り除き製材した状態で、紫外線や雨にさらされると経年変化します。

ただし、紫外線と雨では、変化の原因や現象は少々異なります。

〈紫外線による経年変化〉

太陽光に含まれる紫外線は、たった5 ~ 6%程度ですが、木材に含まれる「ポリフェノール」や「アミノ酸」、「ステロイド」、「リグニン」などの抽出成分(※)を変質させます。

紫外線によって抽出成分が分解されて変性することで、木材の色が変化したり、表面から風化するのです。

ちなみに、太陽光の可視光線や照明器具の光に含まれるごく微量の紫外線でも、緩やかな経年変化を引き起こす可能性があります。

※抽出成分:樹種ごとに成分の割合や量、構造の異なる化学成分



〈雨による経年変化〉

屋外に設置された木材で雨にさらされる環境下では、木材の表面が徐々に風化し、腐朽しなくても劣化は進みます。

また、抽出成分が段々雨によって流れ出て、色が薄くなる樹種もあります。

木材が雨に濡れて太陽の熱で乾燥するという現象を繰り返すと、伸縮を繰り返し、ひび割れることもあるため、同じく注意が必要です。



〈金属汚染による部分変色〉

木に金属が触れると、含有成分であるタンニンが反応してシミになってしまうことがあります。

そのため、長時間金属に触れるところに木材を採用する場合は、金属と樹種の相性を確認しなくてはいけません。



〈アルカリ汚染による部分変色〉

樹種によっては、アルカリ性物質が接触すると汚染が発生します。

そのため、アルカリ性洗を使って木材表面を掃除する場合は十分注意が必要です。



〈酸汚染による部分変色〉

樹種によっては酸性物質が接触すると汚染が発生します。

そのため、洗剤その他薬品など、木材へできる限り触れないように気をつけましょう。



ポイント

木材を直射日光の当たりやすい場所や雨にさらされる場所へ用いる場合は、経年劣化も踏まえたデザイン・納まりにする必要があります。

特に、木材の変色は目立ちやすいため、設計デザインの際には事前にどのような色に変わるのか知っておくことが重要です。

各種汚染を防ぐためには、変色などを招く物質が木材へ触れないように、塗装で表面を保護することをおすすめします。






経年変化で色・強度はどう変わる?|外壁・フローリング

経年変化で色・強度はどう変わる?|外壁・フローリング


木材は、特に紫外線による変色が著しく、樹種によって色が濃く変化するものと、色が抜けて薄くなるものがあります。

一般的に、濃色化する樹種は紫外線の影響が強く、淡色化する樹種は雨の影響が強いと言われています。

〈外壁材の変化〉

外壁材へよく用いられる「杉板」は、雨による影響が大きく、リグニンなどの抽出成分が流れ出ることで、銀白色へと退色します。

紫外線による影響は比較的少ないものの、乾燥・湿潤を繰り返すことで反りなどの変形を引き起こす可能性があります。



〈雨による経年変化〉

室内に施工するフローリングでも、窓辺など紫外線に当たりやすい場所は変色するので注意しましょう。

濃色化するか淡色化するかは樹種によってかなり異なるため、事前にメーカーへ確認することをおすすめします。

また、樹種によっては経年に伴って表面に油分が身染み出て、艶が増すものがあるなど、経年変化は多種多様です。



ちなみに、無垢材は施工されてからも空気環境によって含水率が変化し、低下すると木が締まって強度は増します。

日本特有の樹種である桧は、伐採されてから200年後まで引っ張り強度・圧縮強度が上昇し、その後緩やかに加工し始め、1000年経ってようやく伐採直後の強度に戻るというデータも出ています。

構造材に吉野桧が用いられている法隆寺や薬師寺の塔が、建立後1300年以上経った今でも存続していることから、かなり信ぴょう性の高いデータと言えるでしょう。

ポイント

木材の強度は含水率と反比例します。

含水率の低下(=乾燥)とともに強度は増し、逆に含水率が上昇(=湿潤)すれば強度は低下するということです。

そのため、雨に濡れやすい外壁材や、人体から発せられる湿度に触れるフローリング材は、経年変化によって強度が高まるということはあまり期待できません。

一方で、紫外線や雨にあたらない柱・梁などの構造体は、経年と共に強度が増すことも大いに期待できます。







経年変色しやすい樹種

経年変化しやすい樹種


木材は、樹種によって経年変化、特に変色の現象が大きく異なります。

また、変化が大きいものと小さいものがあるため、材料を選ぶ際はその特性も確認しましょう。

経年変色が大きい樹種

抽出成分を多く含む樹種は、紫外線や雨による変色が大きく、比較的早く濃色化・淡色化しやすい特徴を持ちます。

〈淡色化する樹種〉

「オーク」
茶色から黄褐色へ変化する

「ウォールナット」
こげ茶色から赤茶色へ変化する


〈濃色化する樹種〉

「ブラックチェリー」
淡いピンクがかった色味から濃いオレンジがかった茶褐色へ変化する

「メープル」
白みがかった淡褐色から黄褐色へ変化する

「パイン」
黄色みがかった白褐色から、褐色へ変化する

「杉(外壁)」
白褐色から銀白色へ変化し(淡色化)、その後、黒褐色へ変化する

「杉(フローリングなどの内装材)」
白褐色から黄褐色へ変化する

「桧(フローリングなどの内装材)」
白褐色から飴色へ変化し、艶が増す


経年変色の小さい樹種

樹種によっては、経年変色するものの、そのスピードが緩やかなものもあります。

例えば、フローリングによく用いられるビーチやチークは、徐々に色が濃くなりますが、変化が小さいので、部位による色の違いは比較的分かりにくいと言えるでしょう。

ポイント

樹種を選ぶ際は、経年変化の大小だけではなく、木割れのリスクや施工性も含めて総合的に判断するのがおすすめです。

例えば、ビーチは経年変化の小さい樹種ですが、生木の状態では含水率が高いため、乾燥が不十分だと、ねじれや反りなどの変形や木割れを起こしやすいという特性を持ちます。

一方、杉や桧は経年による変色は大きいですが、高品質な国産材を手に入れやすいメリットもあります。








木材表面のウレタン塗装も経年変化する

木材表面のウレタン塗装も経年変化する


木材の表面に擦り傷や汚れを付きにくくするために、ウレタン塗装を施す現場も多いですよね。

その場合も、塗膜の経年変化に注意しましょう。

ウレタン塗装は、紫外線によって塗膜の弾力性が低下し、年数が経つと剥がれてきたりひび割れたりします。

また、塗料によっては紫外線の影響で黄色く変化するタイプもあるため、材料選定の際には塗料の特性も確認してください。

〈黄変タイプ・ウレタン塗料〉安価で分厚い塗膜を形成しやすいが、経年によって黄変しやすい
(=表面保護能力は高い)
〈無黄変タイプ・ウレタン塗料〉経年による黄変は少ないが、高価で分厚い塗膜を形成しにくい
(=表面保護能力は低い)


ポイント

ウレタン塗装の目的は表面を保護することであるため、一般的には安価で保護能力の高い「黄変タイプ」を使います。

塗膜の黄変色が気になる場合は、ウォールナットやチークなど濃い色の樹種や、杉など木目や節が目立つ樹種がおすすめです。

木材へウレタン塗装を施す場合は、コスト・性能を踏まえて、ウレタン塗料と相性の良い樹種を選ぶことが重要です。



また、表面保護のためにウレタン塗装を施しているにもかかわらず、シミが付いてしまう可能性もあるため注意してください。

よくある例は、結露で濡れたコップをテーブルなどに長時間置きっ放しにして付く“輪ジミ”です。

これは、木材自体が変色している訳ではなく、ウレタン塗料に含まれる研磨剤が吸湿して変色する現象が原因です。

このようなシミを防ぐためには、できるだけ研磨剤の含有量が少ない塗料を選ぶ必要があります。


〈おすすめコラム〉

〈ウレタン塗装+木材〉メリット・デメリットや経年変化、その他塗料との違いを解説





木材の経年変化は「経年劣化ではなく経年美化」という考え方も

木材の経年変化は「経年劣化ではなく経年美化」という考え方も


「経年変化=経年劣化」と捉える方も多いでしょう。

確かに、化学成分から作られる工業製品や金属・塩化ビニールが主成分の人工的な建材は、経年とともに魅力を増すことはあまりありません。

ところが、天然由来の建築材料である木材は、経年変化によって深みが加わり、趣ある風合いへ移り変わっていくのです。

精油成分を多く含む桧材やチーク材は、使い込むほど表面に油分が浮き出て、艶が増していきます。

そのため、無垢材の経年変化は「経年美化」と呼ばれることも多く、木の種類や使用状況によって、色の変化は様々です。(参考:奈良県|奈良の木のこと

長く使い続けることで、時の経過とともに建物への愛着が増す点も、“木材の魅力”と言えるでしょう。

ポイント

木材を取り入れた設計デザインにする場合、経年変化を避けるのではなく、経年変化を活かせる材料を選びましょう。

私たち“柏田木材”は、日本でも有数の林業が盛んな地域である奈良県五條市にて1950年に創業し、それ以来“木のプロ”として、高品質な木材を用いた様々な木製製品を製造・販売しております。

経年変化を踏まえて木質建材を選びたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。






まとめ

木材は天然素材であるがゆえに、紫外線や雨による経年変化は避けられません。

樹種によって淡色化・濃色化するものがあるため、材料選定の際には経年変化についても確認しましょう。

表面にウレタン塗装を施す場合は、その塗料の種類も要チェックです。

ただし、経年変化は悪いことばかりではありません。

深みや趣がプラスされる樹種もあるため、設計デザインの際には経年変化も含めた材料選定をしましょう。

“柏田木材”は、木材のプロとして、国内外から良質な木材を仕入れて長年培った経験と知識を活かし、お客様のご予算・設計デザインに合う木質建材を販売しています。

塗装も全て自社で行なっていますので、多彩な塗装ラインナップより、ご要望に合うものを提供できる点が強みです。

「木質系建材を使いたいが経年変化が心配」

「既製品の材料では設計デザインにフィットしない」

「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」

「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」

「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」

そんなお悩みを抱えている企業様を、私たちがしっかりサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。




品質・コスト・エコ全てにこだわった“柏田木材”の木質建材

木材


私たち“柏田木材工業株式会社”は、建材を中心に木製品の開発・製造支援を行う会社です。

1950年創業以来、高品質で施工面・コスト面まで考慮した商品をご提供し続けてきました。


自社製品の製造販売だけではなく、木製製品のOEM・特注製造・研究開発を通じて、お客様の木材に関わるビジネス課題を解決いたします。

柏田木材・5つのお約束

● 加工・接着・着色・塗装を自社にて一貫対応いたします。

● ウレタン塗料だけではなく、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料など様々な塗料に対応いたします。

● お客様からの材料支給にも対応いたします。

● 加工前の材料保管・加工後の製品保管を自社倉庫にて行います。

● お客様のご要望に合わせて樹種・形状・塗装仕様のご提案をいたします。



“県産材・地域材”の活用

柏田木工所として創業して以来培った知識とネットワークを活かし、県産材や地域材の利用にも積極的に取り組んでいます。

以下のような地域材の活用実績がございますので、ぜひご相談ください。

  • 奈良県産杉
  • 奈良県産桧
  • 吉野杉
  • 吉野桧
  • 信州産唐松


〈関連コラム〉

国産材利用でSDGs達成を目指す。メリット・デメリットから活用方法まで徹底解説

「地産地消を“建築”で実現」10のメリットや関連する補助金を紹介


立地による“リーズナブルな価格”の実現

私たちが工場を構えるのは、奈良県五條市。

銘木として知られる吉野杉の産地とも近い、林業・製造業が盛んな地域です。

そのため、良質な木材を最低限の輸送コストで入手できるため、お客様にもコスパの高い木質内装建材をご提供できます。

倉庫管理による“施工効率性アップ”

羽目板材などは長尺な建材であるため、現場での置き場確保にお困りのケースは少なくありません。

早めに納品すれば、作業スペースに影響がでてしまうこともあるでしょう。

柏田木材では、材料の一時保管場所として、自動倉庫による管理を導入しています。

必要なものを必要なタイミングで現場へ納品できるため、施工効率性アップが期待できるだけではなく、工期遅延のリスクを防げます。


全工程を自社工場で行う“品質安定性”

木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行っているため、品質のばらつきや手作業による人工の増加、工程間での運搬による時間や費用のロスを最小限に抑えられます。

全工程を自社で管理しているため、高い品質安定性を保証できる点が私たちの誇りです。



工期・予算・デザインに合わせた“材料選定のご提案”

柏田木材は、自社製品を販売するだけに留まらず、お客様のご要望や課題を伺いながら仕様を共に決めていく“開発支援”や、“特注製造”も行っています。

そのため、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫したサポートをご提供。

「こんな材料があればいいのに」というお悩みを解決するお手伝いをいたします。







MENU