屋外へ木材を使う場合は塗装が必須|その理由や塗料種類について解説



ウッドデッキやパーテーション、外壁仕上げ材など、屋外で木材を取り入れるケースは少なくありません。

その際に検討しなくてはいけないのが、塗装についてです。

そこで今回は、屋外で木材を用いる場合の塗装について、その必要性や塗料の種類、塗装方法のポイントを詳しくお話しします。

木の魅力を生かした設計デザインを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

コラムのポイント

● 屋外木部には、風雨や紫外線のダメージを抑える「塗装処理」が欠かせません。

● 塗料は、コスト・施工場所・仕上がりのイメージに合わせて、適切なものを選びましょう。

● 私たち「柏田木材」は、1950年に奈良県で創業以来、高品質な木質建材の製造やUV塗装をはじめとした特殊塗装を、全て自社工場で行なっています。



屋外の木部へ塗装が必要な理由

屋外の木部へ塗装が必要な理由


木材は、空気中の湿度や紫外線の影響を受けて、常に変質します。

比較的油分を多く含み水分の影響を受けにくいとされているケヤキ・ウォールナット・チークなどの広葉樹や、腐朽しにくいスギ・ヒノキ、高密度で水分を吸収しにくいセランガンバツ・イペなどのハードウッド系樹種は、屋外の施工に適していると言われていますが、無塗装のままでは経年変化を避けられません。

木材の耐久性や美観を長持ちさせる上で、塗装が欠かせないのです。

では、木材を塗装する必要性を詳しく解説します。


防水性(防腐性・防虫性)の確保

木材は、伐採した後も空気中の水分を吸収します。

含水率が高まると、耐久性が落ちるだけではなく、腐朽菌やシロアリが発生して、寿命を大幅に縮めかねません。

木材腐朽菌とシロアリの発生条件はとても近いため、以下の条件が揃わないようにする必要があります。

  • 周辺温度が5〜30℃である
  • 周辺湿度が高まり木材含水率が20%を超える
  • 腐朽菌やシロアリが生息するために必要な酸素がある


温度や酸素量を調節することは現実的に難しいため、木材の含水率を上げない、つまり防水性をキープすることが木材を長持ちさせる上で重要です。

防腐剤や防虫剤が注入されている木材でも、その効果は永続的ではないため、定期的な塗装メンテナンスをすることが推奨されています。


意匠性・耐久性の維持

ほとんどの樹種は、紫外線や雨にさらされつづけると、表面が白化・風化します。

木材に含まれるフェノール性化合物(リグニン等)が流れ出て、色素や油分が減ってシルバーグレー色に変色していくのです。

そうなると、本来の美しい木色が褪せて意匠性が損なわれるだけではなく、耐久性も低下します。

雨が当たりやすい場所で木材表面が風化して撥水性が落ちれば、苔や藻、カビが発生して水分を抱え込み、腐朽菌やシロアリ被害を早めてしまう恐れも否めません。



塗料の種類は|「油性塗料・水性塗料」どちらがいい?浸透系・造膜系の違い

スプレー


木材の表面に塗布する塗料は、大きく「油性塗料」と「水性塗料」に分けられます。

それぞれ一長一短なので、特徴を理解して適切な塗装を施す必要があります。




油性塗料

匂い希釈材として有機溶剤(シンナー等)を混ぜるため、施工中や乾燥中に周囲へ広がる匂いが強い
仕上がり
見た目
木目が活かしやすく、ムラになりにくい
耐久性
耐候性
比較的高いが、紫外線の影響で風化しやすい
施工性周囲の湿度に影響を受けにくく、乾燥が早い
環境への負荷VOC(揮発性有機化合物)が含まれていることから、生物にも大気にも影響が出る


ポイント

近年は、比較的人体や環境への影響が少ない、自然由来の樹脂と、天然鉱石由来の着色含量を用いた“低汚染油性塗料”も増えています。




水性塗料

匂い希釈材は水なので、匂いはほとんどしない
仕上がり
見た目
木目が少し潰れやすく、ムラが起こりやすい傾向にある
耐久性
耐候性
耐久性・耐候性は油性塗料より低い
施工性周囲の温度や湿度環境によっては乾燥に時間がかかるが、扱いやすいためDIYにもおすすめ
環境への負荷VOC(揮発性有機化合物)が含まれていないため、生物にも大気にも優しい


ポイント

環境への配慮から、広い面積への塗装には水性塗料が用いられるケースが多く、耐久性や耐候性も向上しています。


浸透系塗料と造膜系塗料

塗料は、油性・水性だけではなく「浸透系」と「造膜系」にも分けられます。

浸透系塗料は、木に染み込んでいくことで防水性・撥水性・防虫性・防カビ性を内部より高めます。

クリア塗料であれば、見た目は無塗装の状態とほとんど変わりませんし、肌触りがナチュラルな点もメリットと言えるでしょう。

ただし、浸透した塗料も年数が経てばその効力が低下するため、風雨や紫外線にさらされる屋外においては、室内よりもこまめな再塗装が必要です。

一方、造膜系塗料は、木の表面に塗膜が形成されるため、木目を消す仕上がりにしたい場合や、木目を活かしつつもしっかりクリア塗膜で表面をカバーしたい場合に用いられます。

木の自然な艶や触り心地は失われますが、浸透系より耐久性は優れています。

ただし、表面の塗膜が風化すると、一気に木材の劣化が進む可能性は否めません。

そのため、浸透系塗料と同様に、定期的な塗り替えメンテナンスをしましょう。

ポイント

油性塗料と水性塗料、浸透系塗料と造膜系塗料など、塗装で用いる材料は、下地と仕上がりイメージによって多種多様な中から選ばなくてはいけません。
柏田木材は、ウレタン塗料はもちろん、UV塗料・オイル塗料などの様々な塗料を組み合わせ、300色以上の調色に対応しております。
※屋外塗料はカラーによって耐候性が確保できない可能性があるため、調色対応は行なっておりません。
機能性と意匠性を兼ね備えた塗装仕上げをご要望の方は、お気軽にご相談ください。





高耐久な屋外用木材は現場塗装ではなく“工場塗装”という選択肢も

高耐久な屋外用木材は現場塗装ではなく“工場塗装”という選択肢も


屋外の木部に塗装する場合、多くのケースで現場塗装の方法が用いられるでしょう。

確かに、適切な塗料を正しく施工すれば、それでも全く問題ありません。

しかし、手作業には限界があり、仕上がりも全てにおいて均一にはいかないでしょう。

そこでおすすめなのが、工場で塗装の施された木材を使う方法です。

  • 仕上がりにムラが出ない
  • 塗り漏れがない、構造上塗れない部分がない
  • 工程が天候の影響を受けない
  • 乾燥時間が必要なく、工期を短縮できる
  • 現場の人件費(人工)を削減できる


このようなメリットから、弊社にも木材の工場塗装に関するご相談を多くいただきます。

私たち柏田木材は、木質建材への加工だけではなく、UV塗装を含めた特殊塗装も、全て自社工場にて行なっています。

複数種の塗装サンプルの作成や、オリジナル着色のご提案など、豊富な塗装レパートリーを組み合わせ、お客様のイメージを実現化するお手伝いをいたします。

また、バイオマスボイラーによる自然を無駄にしないクリーンな熱源確保や、水性塗料を用いた着色技術、高耐久で低汚染なオスモUV塗装の導入によるVOC削減など、環境へ配慮した技術も積極的に導入しています。

木質建材やその塗装仕上げで迷っている方は、ぜひ私たちまでご相談ください。

ポイント

高耐久な屋外木部塗料である「シリコン系強撥水系塗料 S-100」にも対応しておりますので、ウッドデッキや外壁材などに木材を使用したい方は、ぜひ採用をご検討ください。


〈関連ページ〉

柏田木材工業|ブログ|高耐久な屋外木部用塗料「S-100」を実際に使用してみた感想

住友林業|木材保護塗料「S-100」





まとめ

屋外の木部は、風雨や紫外線にさらされ続ければ、表面が劣化するだけではなく、内部にまで水分が染み込み、腐朽やシロアリ被害を受け、耐久性が低下します。

また、場合によっては一年も経たずに色が褪せて、新築時から見た目が変化してしまう可能性も決して低くありません。

そのため、屋外の仕上げに木材を用いる場合は、塗装処理を施しましょう。

その際には、施工場所や仕上がりイメージに応じて、適切な塗料を選ぶことが重要です。

工場塗装された高品質建材を使用すれば、耐久性を持続できるだけではなく、工事の効率化やコスト削減も期待できます。

“柏田木材”は、国内外から良質な木材を仕入れ、長年培った経験と知識を活かし、お客様のご予算・設計デザインに合う木質建材をご提案しています。

塗装は全て自社で行なっていますので、多彩な塗装ラインナップより、ご要望に合うものをご提供できる点が強みです。

「木質系建材を使いたいが既製品では難しい」

「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」

「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」

「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」

そんなお悩みを抱えている企業様を、私たちがしっかりサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。



品質・コスト・エコ全てにこだわりたい方は“柏田木材”へご相談を

木材


私たち“柏田木材工業株式会社”は、建材を中心に木製品の開発・製造支援を行う会社です。

1950年創業以来、高品質で施工面・コスト面まで考慮した商品をご提供し続けてきました。


自社製品の製造販売だけではなく、木製製品のOEM・特注製造・研究開発を通じて、お客様の木材に関わるビジネス課題を解決いたします。

柏田木材・5つのお約束

● 加工・接着・着色・塗装を自社にて一貫対応いたします。

● ウレタン塗料だけではなく、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料など様々な塗料に対応いたします。

● お客様からの材料支給にも対応いたします。

● 加工前の材料保管・加工後の製品保管を自社倉庫にて行います。

● お客様のご要望に合わせて樹種・形状・塗装仕様のご提案をいたします。



“県産材・地域材”の活用

柏田木工所として創業して以来培った知識とネットワークを活かし、県産材や地域材の利用にも積極的に取り組んでいます。

以下のような地域材の活用実績がございますので、ぜひご相談ください。

  • 奈良県産杉
  • 奈良県産桧
  • 吉野杉
  • 吉野桧
  • 信州産唐松


〈関連コラム〉

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「地産地消を“建築”で実現」10のメリットや関連する補助金を紹介


立地による“リーズナブルな価格”の実現

私たちが工場を構えるのは、奈良県五條市。

銘木として知られる吉野杉の産地とも近い、林業・製造業が盛んな地域です。

そのため、良質な木材を最低限の輸送コストで入手できるため、お客様にもコスパの高い木質内装建材をご提供できます。

倉庫管理による“施工効率性アップ”

羽目板材などは長尺な建材であるため、現場での置き場確保にお困りのケースは少なくありません。

早めに納品すれば、作業スペースに影響がでてしまうこともあるでしょう。

柏田木材では、材料の一時保管場所として、自動倉庫による管理を導入しています。

必要なものを必要なタイミングで現場へ納品できるため、施工効率性アップが期待できるだけではなく、工期遅延のリスクを防げます。


全工程を自社工場で行う“品質安定性”

木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行っているため、品質のばらつきや手作業による人工の増加、工程間での運搬による時間や費用のロスを最小限に抑えられます。

全工程を自社で管理しているため、高い品質安定性を保証できる点が私たちの誇りです。


工期・予算・デザインに合わせた“材料選定のご提案”

柏田木材は、自社製品を販売するだけに留まらず、お客様のご要望や課題を伺いながら仕様を共に決めていく“開発支援”や、“特注製造”も行っています。

そのため、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫したサポートをご提供。

「こんな材料があればいいのに」というお悩みを解決するお手伝いをいたします。





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