無垢材を採用する前に知っておくべき“デメリット”とは?床材・壁材・天井材を選ぶ際の注意点を解説
ナチュラルウッドインテリアは、住宅・店舗など建物用途問わず人気ですが、無垢材の特性を知らずに採用すると、後からクレームになってしまうことも。
大切なのは、メリットはもちろんのこと、デメリットと対策まで知っておくことです。
また、無垢材から作られた床材・壁材・天井材を選ぶ際のポイントを押さえれば、後からトラブルになるリスクは抑えられます。
今回は、“無垢材”のメリットからデメリットとその対策、材料選びの注意点まで詳しく解説します。
●無垢材には、意匠面・性能面・環境面でメリットがあります。
●無垢材には、コスト面や施工面、経年変化に関するデメリットがあるため、事前に対策を取り、適した材料を選ぶことが重要です。
●私たち「柏田木材工業」は、1950年に創業以来培った高い製造技術を活かし、環境に配慮した高品質の内装材製造や、開発サポートを行っています。
コンテンツ
無垢材のメリットとは?
無垢材とは、天然木を伐採した後に、乾燥させて施工しやすいサイズにカットした材料。
そのため、質感や見た目はまさに“木”そのものです。
では、メリットをそれぞれ詳しく見てみましょう。
ナチュラルで温かみのある風合いと質感
無垢材を設計デザインに採用する一番の目的が、その風合いと質感です。
また、無垢材は同じ樹種でも産地によって色味が微妙に変わりますし、同じ木目はこの世に二つと存在しません。
そのため、自然の生み出した美しい木色と木目が織りなす“唯一無二”のインテリアに仕上がります。
調湿作用
樹木は、伐採時100〜200%の含水率であり、多くの水分を含んでいます。
その後、建築材料として使われるようになるまでに強度を高めて材質を安定させる目的で、含水率15〜30%程度まで乾燥させます。
乾燥後の木材にも、水分を含んでいた細かい空間が残り、空気中の湿度を抱え込むことができるのです。
空気が乾燥している状態ですと、抱え込んでいた水分を放出する特性があるため、天然の調湿材として活用される事例は少なくありません。
木材を内装に多く取り入れることで、室内の湿度が安定し、快適な空気環境が整います。
ビニル系内装材と比べても、その調湿機能の差は歴然です。
断熱作用
無垢材は、空洞を含む無数の細胞から成り立っています。
そのため、その他の建築材料と比べても、高い断熱性を持ちます。
断熱性を評価する指標である熱伝導率(熱の伝えやすさ)を比較すると、一目瞭然です。
材質 | 熱伝導率(W/m・K) |
アルミニウム | 210 |
コンクリート | 1.6 |
石膏ボード(プラスターボード) | 0.60 |
天然木材 | 0.12 |
熱伝導率が低ければ低いほど、暑さ・寒さを伝えにくいことを表します。
吸音・遮音作用
木材の細かな細胞は、音を吸収する特性も持ちます。(参考:木づかい.com|木材の遮音と吸音)
実際に、音楽ホールなどでも木材が仕上げ材に採用されており、吸音材とあわせて用いると、音の反響が軽減されるのです。
耐衝撃作用
木材・畳・プラスチック・大理石にガラス玉を落として、割れる高さを測定すると、木材は柔らかい畳に次いで、高い位置を記録します。
つまり、それだけ衝撃を吸収するということ。
そのため、木質フローリング材は足への負担が低く、疲れにくいのです。
体育館や学校、高齢者施設など、様々な施設の床材に採用されていることからも、その信憑性が伺えます。
吸光作用
主に商業施設では、空間の開放感を得るために大きな開口部を設けるケースは多いでしょう。
しかし、いざその空間に立ってみると、眩しさを感じる方は少なくありません。
眩しさをもたらすのは、太陽光に含まれる可視光線ですが、可視光線を強く感じるということは、同じく多量の紫外線を浴びているということです。
目に紫外線が長時間当たると、疲れを感じるだけではなく、結膜炎や白内障をもたらすとも言われています。
無垢材は、そんな紫外線を吸光する特性を持ちます。
木材から反射する光には、ほとんど紫外線が含まれないため、目への刺激を軽減してくれるのです。
リラックス効果
無垢材、特に無塗装の材料は、その空間にいる人のストレス指数を下げる働きがあるとされています。
その要因は、ずばり「木の香り」。
檜などに含まれる「α-ピネン」という匂い成分が、以下の効果をもたらすと言われています。(参考:森林研究・整備機構|木材が人にもたらすリラックス効果)
- 血圧上昇の抑制
- 脈拍の乱れ減少
- ストレスホルモン発生抑制
- 脳前頭前野活動の鎮静化
- 副交感神経活動の活発化
森林総合研究所のデータによると、ただ安静にしている状態よりもスギの香りを感じている状態の方が脳活動と自律神経が沈静化していることが分かっています。
また、同じ無垢材でも、無塗装に近い状態であればあるほど、ストレス指数が下がるという実験結果もあります。
このような研究からも分かる通り、無垢材のリラックス効果は科学的に証明されているのです。
長寿命・サスティナビリティ
無垢材の天敵は「水分」ですが、その対策さえとれば、何百年も耐久性を維持する可能性を秘めている素材です。
例えば、檜は伐採後200年間は強度が高まっていくとされており、日本最古の木造建築である法隆寺は、建設から1400年余りたった今でも、しっかりと現存しています。
また、最近では天然木のサスティナビリティ(持続可能性)にも注目が集まっています。
金属や樹脂系材料は、一度使った後「再使用」や「再利用」できても、原料まで戻して「再生産」できません。
一方、木材はそれが実現できる稀な建築材料です。
建築廃材を再生紙やバイオマスエネルギー燃料として多段階利用でき、最終的には土にまで分解され、森の肥料としても活用できます。
栄養を与えられた森林から、再び木材が生まれるというサイクルこそ、究極のサスティナビリティと言えるのではないでしょうか。
無垢材のデメリットは?対策はある?
無垢材の持つ多角的な可能性は、建築においても大きなメリットです。
ただし、天然素材ならではのデメリットや注意点も。
これらについても十分理解し、設計段階から対策を取っておくことが重要です。
では、無垢材のデメリット・注意点とその対策を見てみましょう。
伸縮・反りなどの変形リスク
無垢材は空気中の湿度を吸収・放出する特性を持つため、それに伴い伸縮や反りなどの変形リスクは避けられません。
実際に、施工後に軋みや隙間が発生し、クレームになるケースもあります。
●伸縮などを見越して施工する。
●水分や湿気に比較的強い樹種(桧・栗・桑など)を選ぶ。
経年変化による変色
樹種によっては経年変化に伴い変色が目立つものもあります。
そのため、当初の印象と変わったり、部分的に変色して目立ってしまったりするケースも少なくありません。
●経年変化によって風合いや艶が増す樹種(ブラックウォールナット・チーク・パインなど)を選ぶ。
●できるだけ部分的に直射日光が当たらないようにプランニングする。
耐水性・耐キズ性・耐汚性が低い
無垢材は無塗装の状態では、キズや汚れが付きやすいため、よく手が触れる部分への採用は慎重にならなくてはいけません。
また、水にも弱いため、カウンター材やテーブルの天板へ採用する際も、変色などが起こる可能性があります。
●無塗装にこだわる場合は、水に強い樹種(桧・栗・桑など)や、密度が高く固いハードウッド(イペ・セランガンバツなど)を選ぶ。
木目や色味がランダム
先でもお話しした通り、同じ樹種でも産地などによって色味や木目は異なります。
そのため、広い面積へ採用する場合は、どうしても統一性のある材料を多量に短い納期で入手することが難しいでしょう。
●ランダムな風合いを生かしたインテリアデザイン(ラスティックデザインなど)にする。
●色ムラを目立たなくするために、着色塗装が施された材料を選ぶ。
コストが高い
無垢材は、合板や化粧板などその他木質系建材と比べると、どうしてもコストはが割高です。
●樹種や産地によって価格帯は幅広いため、多くの取り扱い樹種がある知識豊富なメーカーて相談する。
●コストを抑えるための取り組みを積極的に行っているメーカーを選ぶ。
私たち“柏田木材工業”は、全工程を自社で行っているだけではなく、置き場に困る大型建材の倉庫管理代行や、施工効率アップを目的とした特注対応などを通して、現場の「コストダウン」をサポートしています。
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床材・壁材・天井材を選ぶ際のポイントは?
後にクレームにならないためには、無垢材のメリット・デメリットを事前にしっかりと説明しておくことが重要です。
それに加え、できるだけリスクを抑えた材料選びもポイント。
では、床材・壁材・天井材を選ぶ際のコツを見てみましょう。
床材・壁材
無垢フローリング材や板張り壁に用いられる羽目板材は、キズ・汚れがつきやすい反面、研磨などで補修しやすい側面も持ちます。
一方、突板や挽板が用いられている材料は、無垢材層が薄いため、深いキズがついても研磨による補修はできません。
キズ・汚れが目立ちにくいように、浸透性塗料で着色された材料を選ぶのもポイントです。
直射日光が当たりやすい場合には、変色後の色合いも確認し、違和感ない樹種を選びましょう。
樹種によって、日焼けで色が濃くなるもの・薄くなるもの、色味が変わるものがあります。
表面塗装にも注意が必要で、樹脂系ワックスや塗料が用いられている場合は、紫外線の影響で光沢が落ち、白っぽく変色してしまう可能性があるため、事前確認が必要です。
天井材
天井材は、床ほど紫外線が当たりにくく、人が直接触れる部分ではないため、それほどキズや汚れ、変色のリスクは高くありません。
ただし、重い樹種を選ぶと施工効率が悪く、コスト高や工期長期化の恐れもあるため、出来るだけ軽い樹種を選びましょう。
軽い木というと桐が有名ですが、コスト面であまり現実的でないため、流通量の多い杉材などがおすすめです。
無垢材の質感を生かしつつ“耐キズ・対汚性”を高める塗装技術
無垢材のナチュラルな風合いを活かすとなると、人工的な艶のクリア塗装はあまり好ましくありません。
しかし、何も塗装しないとどうしてもキズ・汚れは付いてしまいます。
不特定多数が使う公共施設・商業施設ですと、細かなメンテナンスをすることは、そう簡単ではありません。
そこでおすすめなのが、無垢材の質感を生かしつつ表面の耐キズ性・耐汚性を高める塗装技術です。
私たち“柏田木材工業”では、自社工場にて、ウレタン塗料はもちろん、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料などの様々な塗装を行なっています。
その中でも特に耐キズ性・耐汚性に優れているのが、「UV塗装」と「ハードコート塗装」です。
UV塗装
ウレタン塗装など一般的な塗料は、乾燥することで硬化しますが、UV塗装は紫外線を照射することで固まります。
短時間で表面が固まるため、厚い塗膜が形成でき、耐キズ性・耐汚性だけではなく、耐水性・耐熱性も高まります。
着色・クリアどちらの仕上げも可能なので、どのようなデザインにも対応できる点もポイントです。
ハードコート塗装
ウレタン塗装の一種ですが、塗料に繊維質が含まれており、硬化とともにそれが網目のようになります。
無垢材、特に針葉樹系の強度補完に特化した塗装で、UV塗装よりも凹みへの耐久性が増します。
そのため、土足で多数の人が歩行するような場所の床材や、テーブル・カウンター材におすすめです。
しかし、柏田木材工業はUV塗装も自社施工。
そのため、スタンダートなウレタン塗装と変わらない価格でご提供できます。
施設・住宅へ高品質の木質建材を使いたい方は“柏田木材工業”におまかせを
私たち「柏田木材工業株式会社」は、1950年に奈良県で木工所として創業して以来、多くの木製品の開発・製造支援を行ってきました。
木製製品のOEM・特注製造・研究開発を通じて、お客様の木材に関わるビジネス課題を解決いたします。
その理由は、柏田木材工業がお客様へご提案する5つの“お約束”があるからです。
●ウレタン塗料だけではなく、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料など様々な塗料に対応いたします。
●お客様からの材料支給にも対応いたします。
●加工前の材料保管・加工後の製品保管を自社倉庫にて対応いたします。
●お客様のご要望に合わせて樹種・形状・塗装仕様のご提案をいたします。
木材に関するすべての工程を自社にて対応し、倉庫管理の代行によって運送距離や回数を減らすことで、運搬エネルギーの削減を実現できます。
また、自社工場は銘木として知られている「吉野杉・吉野桧」の産地と近いため、高品質な木材から作られた製品を最小限の運搬エネルギーでご提供できる点も強みです。
「バイオマスボイラー」による自然を無駄にしないクリーンな熱源確保や、水性塗料を用いた着色技術、高耐久で低汚染なUV塗装・オスモUV塗装の導入によるVOC削減など、様々なアプローチで環境に配慮。
高品質な建築材料の提供だけではなく、地球環境保護にも積極的に取り組んでいます。
「木質系建材を使いたいが既製品では難しい」
「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」
「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」
「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」
そんなお悩みを抱えている企業様を、1950年創業以来“木工所”として培ってきたノウハウと環境開発でしっかりサポート。
木材利用の可能性を広げることで、環境保全へ貢献し、さらに皆様の設計デザインの実現をサポートいたします。
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まとめ
無垢材は、意匠面・性能面・環境面でメリットがあり、そこに着目して設計デザインへ採用する方も多いでしょう。
もちろん、メリットも大事ですが、後々トラブルにならないためには、デメリットやその対策についても十分理解し、クライアント様へ事前に説明しておくことが重要です。
また、リスクヘッジを含めた材料選びも欠かせません。
「無垢材を使ってこんな空間が作りたい」「国産材・地産材を用いた建材を使いたい」「適切な樹種を提案してほしい」という方は、まず柏田木材工業へご相談ください。
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