「木材利用促進法」とは?改正までの経緯や目的・関連する補助金について解説

2010年に施行された「木材利用促進法」ですが、2021年に大きな改正がありました。

今回は、改正までの経緯や制定の目的、関連する補助金について、“木材のプロ”が詳しく解説します。

設計デザインにおける材料選定をする際の参考にしてください。

コラムのポイント
●「木材利用促進法」は、日本の豊富な森林資源を活かし、経済面・環境面で効果を上げることが目的です。
●木造化・木質化の推奨対象は、公共施設だけではなく、住宅や民間施設を含む“建築全般”です。
●私たち「柏田木材工業」は、1950年に創業以来培った高い製造技術を活かし、環境に配慮した高品質の内装材製造や、開発サポートを行っています。




「木材利用促進法」とは?基本方針は?

サスティナブル建材の定義



「木材利用促進法」とは、木材利用に関する法律の通称で、2010(平成22)年制定時の正式名称は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」です。

2021(令和3)年に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」と改正されました。

平成22年の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」制定以降、農林水産省及び国土交通省では、同法に基づき、基本方針を策定し、公共建築物における木材の利用に取り組んできました。

公共建築物の床面積ベースの木造率は、法制定時の8.3%から令和元年度には13.8%に上昇しています。

一方で、民間建築物については、木造率の高い低層の住宅以外にも木材の利用の動きが広がりつつあるものの、非住宅分野や中高層建築物の木造率は低位にとどまっています。

こうしたことを背景として、法律の題名が「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(平成22年法律第36号)に変わるとともに法の対象が公共建築物から建築物一般に拡大しました。

(引用:林野庁|脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市(まち)の木造化推進法)



2021年の改正以降は、通称「都市(まち)の木造化推進法」と呼ばれ、建築物の用途問わず、建築全般の木造率向上を目標としています。

最も大きな改正点は、木造化推奨対象建築物が「公共建築物」から「建築物一般(=民間施設を含む建築物)」へ拡大した点です。

主な基本理念
●公共建築物に加え、非住宅建築物や中高層建築物の木造化等の促進により、脱炭素社会の実現、地域の経済の活性化等へ大きく貢献。
●建築物における木材利用によって、快適な生活空間の形成を実現。
●林業・製材業などの建築用木材の安定供給に係る努力義務を明記。
●木造建築物の設計・施工の先進的な技術の開発・普及、人材育成の推奨。
●建築用木材等の安全性に関する情報提供の実施。
●建築物全般における率先的な木造化・内装等の木質化の推奨。
●安全性確保を前提とした建築基準の更なる合理化の検討。
●費用の低廉化を実現させるための技術開発や普及の推進。


(参考:林野庁|公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律新旧対照表




「木材利用促進法」の制定目的や目標は?

木材利用促進法の目標



当初、木材利用促進法が制定された背景には、森林大国である日本の天然資源を活用し、地域経済の活性化を図ることが主たる目的とされてきました。

しかし、カーボンニュートラル実現などさらに達成すべき目標が掲げられ、今では、地球温暖化防止も重要な目的とされています。

ポイント
木々は成長の過程で空気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を排出しますが、さらに取り込んだ炭素を伐採後も蓄え続けるため、建築材料の中でも二酸化炭素を“固定する”能力が高いとされています。
木のCO2吸収力が最も高まるのは樹齢40~50年で、建築材料として使うのに適した時期と重なるため、木々を伐採し再び植林するサイクルが重要です。



森林の活性化によって大気中の二酸化炭素を減らすためには、「伐って活用する」ことを継続させていかなくてはいけません。

その取り組みを普及させるために制定されたのが、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」なのです。

木材利用促進を法律化することで、国・自治体や建築事業者それぞれの責務を明確にしました。

取り組みの目的や目標が明文化されたことで、木材の安定供給や需要確保につながり、衰退しつつある林業・製材業などの持続可能性を高まることが期待されています。

最終的には、国内の人工林を整備し、輸入材に頼らず木材自給率を高めることが目標です。

ポイント
私たち「柏田木材工業」は、国産材に留まらず、産地を限定した地産材を原料としたフローリング材や羽目板材、壁材などを生産しております。
「地場の木材を使って利用者に長く愛される建物にしたい」「国産材を使って地域産業をサポートしたい」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。





建築物の木造化・木質化に関連する補助金

建物の木造化木質化に関する補助金



木材利用促進、ひいては日本の木材自給率を向上させるために、政府や自治体はいくつかの補助事業を実施しています。

建築プロジェクトによっては、補助金の対象となる可能性もありますので、ぜひ詳細を事前に確認しておきましょう。


〈農林水産省〉林業・木材産業成長産業化促進対策交付金

こちらは、意欲的に林業を経営する事業者を育て、木材生産業の持続的な経営を実現させるために、林業イノベーションから建築の木造化に至るまで、公共団体・民間団体問わずその取り組みをサポートする事業です。

建築に係る補助対象内容は、以下の通りです。

  • 非住宅建築物(店舗等施設)の内外装の木質化による利用者の生産性向上や経済面への影響の実証等を通じて、木の効果を見える化する取り組み
  • CLTを用いた建築物、街づくり、CLT製造企業との連携構築のためのモデル的なケースにおける設計・施工ノウハウの横展開を可能とする設計・建築等の実証に関する取り組み
  • 倉庫等簡易な構造物等の木造化・木質化を促進するため、標準モデルを提案する取り組み



上記プロジェクトにかかった経費の一部が、補助されます。

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〈国土交通省〉サステナブル建築物等先導事業 (木造先導型)

木造技術の発展や、優良木造事業の普及を目的として、それに見合うプロジェクトを審査した上で、補助金を支給する事業です。

対象となるのは、以下の要件を満たした建築物です。

  • 構造・防火面で先導性に優れた設計又は施工技術が導入されるとともに、耐久性にも十分な配慮がなされた事業計画であること。
  • 使用する材料や工法の工夫により整備コストを低減させるなどの、木材利用に関する建築生産システムについて先導性を有する計画であること。
  • 主要構造部に木材を使用する「木造建築物」「一部が木造の混構造建築物」であること。
  • 木造化された建築物の普及に寄与するものとして、建築物の木造化に係る先導的な技術の公表や、イベントによる普及活動などを行うこと。



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内外装木質化等の効果実証事業(※2023年度募集なし)

こちらは、2022年7月20日で既に募集を締め切っている補助事業ですが、今後再開される可能性もあるため、ご紹介します。

民間非住宅建築物における内外装の木質化がもたらす生産性・経済性効果を調査することを目的とし、以下の実証が行える事業が補助対象となります。

  • 木質化による利用者の作業性・業務効率向上効果の実証
  • 木質化による施設来訪者が増えるかどうかの効果実証
  • 木質化による施設来訪者の滞在時間を延ばす効果実証
  • 木質化による客単価等収益を上げる効果の実証
  • 木質化による就労者不足を解消する効果の実証
  • 木質化による子供の集中力を高める効果の実証
  • 木質化によるその他生産性・経済性における効果実証



商業施設や教育施設、福祉施設などが対象となります。

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その他都道府県などによる補助事業

地産材(県産材)の普及を目的として、都道府県・市区町村単位で補助事業を行なっているところもあります。

例えば、良質な杉や桧を生産している奈良県においては、以下のような事業が設けられています。


どちらも奈良県外のプロジェクトも対象となるため、良質な国産材を使った建築物を検討している方におすすめです。




公共施設・住宅へ高品質の木質建材を使いたい方は“柏田木材工業”におまかせを

一号棟内観



私たち「柏田木材工業株式会社」は、1950年に奈良県で木工所として創業して以来、多くの木製品の開発・製造支援を行ってきました。

木製製品のOEM・特注製造・研究開発を通じて、お客様の木材に関わるビジネス課題を解決いたします。

その理由は、柏田木材工業がお客様へご提案する5つの“お約束”があるからです。

柏田木材・5つのお約束
●加工・接着・着色・塗装を自社にて一貫対応いたします。
●ウレタン塗料だけではなく、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料など様々な塗料に対応いたします。
●お客様からの材料支給にも対応いたします。
●加工前の材料保管・加工後の製品保管を自社倉庫にて対応いたします。
●お客様のご要望に合わせて樹種・形状・塗装仕様のご提案をいたします。



木材に関するすべての工程を自社にて対応し、倉庫管理の代行によって運送距離や回数を減らすことで、運搬エネルギーの削減を実現できます。

また、自社工場は銘木として知られている「吉野杉・吉野桧」の産地と近いため、高品質な木材から作られた製品を最小限の運搬エネルギーでご提供できる点も強みです。

「バイオマスボイラー」による自然を無駄にしないクリーンな熱源確保や、水性塗料を用いた着色技術、高耐久で低汚染なUV塗装・オスモUV塗装の導入によるVOC削減など、様々なアプローチで環境に配慮。

総合的に地球環境保護に取り組んでいます。

「木質系建材を使いたいが既製品では難しい」

「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」

「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」

「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」



そんなお悩みを抱えている企業様を、1950年創業以来“木工所”として培ってきたノウハウと環境開発でしっかりサポート。

木材利用の可能性を広げることで、環境保全へ貢献しています。


柏田木材工業へのお問い合わせがこちらから




まとめ

木材利用促進法は、貴重な森林資源を活用し、地域経済の発展や二酸化炭素排出量削減を目的とした法律です。

当初はその対象を公共建築物のみとしていましたが、2021年改正以降は、住宅を含む建築物全般に拡大されました。

それに伴い、様々な施設において木造化や内装の木質化が進んでいます。

「木材を使ってこんな部材が作りたい」「国産材・地産材を用いた建材を使いたい」という方は、まず柏田木材工業へご相談ください。

高い加工技術で、あなたの理想を叶えます。

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