消防法の「内装制限」|建築基準法との違いや緩和、天井・壁・家具デザインのポイント

公共性のある建物設計において重要なキーワードとなるのが「内装制限」です。
内装制限は、建築基準法・消防法のそれぞれで定められたルールに少々違いがあります。
そこで今回は消防法における「内装制限」について、建築基準法との違いや対象となる建物、緩和措置のルールを1950年創業の“柏田木材”が解説します。
内装制限の基準をクリアできる木質建材も紹介しますので、ぜひ最後までごらんください。
● 消防法における内装制限は、火災の予防や消火、人命救助を目的に、室内の延焼を最小限におさえるためのルールで、建築基準法における内装制限とは目的や対象範囲、緩和措置に違いがあります。
● 内装制限の基準を満たすために欠かせないのが、防火材料(難燃・準不燃・難燃材料)です。
●「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、高品質な木質建材や技術開発支援に努め、国土交通大臣認定済みの「不燃パネル(不燃突板化粧板)と不燃木材」を製造販売しています。
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消防法における「内装制限」とは|建築基準法との違い

「内装制限」とは、火災による建物の被害を最小限に抑え、建物利用者の安全な避難経路を確保するために、壁・天井の仕上げ材について設けられたルールで、建築基準法と消防法によって定められています。
火災時には、室内に広がった炎は壁から天井へと燃え広がり、煙と可燃性ガスが室内に充満すると、それに引火してフラッシュオーバー※が発生するリスクが高まるためです。
(参考:東京消防庁|延焼する室内に対する効果的な放水方法の検証)
※フラッシュオーバー:火災の初期段階から急激に燃焼が拡大し、室内全体が炎に包まれる現象
建築基準法と消防法では、内装制限の基本的な考え方に大きな違いはありませんが、その目的は異なります。
| 法律 | 目的 |
|---|---|
| 建築基準法 | 火災の初期段階における安全避難(避難の誘導)確保 |
| 消防法 | 火災の予防・初期消火・人命救助・本格消火 |
※建築基準法における内装制限については、〈内装制限〉建築基準法を分かりやすく解説|建物種類・不燃材料・2025年建築法改正についてもをご覧ください。
消防法における内装制限の主な規定は以下のとおりです。
- 室内に面する部分※(壁・天井)に、基準を満たす防火材料※を使用すること
- 避難経路の通路が確保されていること
- 防火材料の設定表示をすること
※室内に面する部分:建築基準法第2条第4号に規定する居室及び風呂・トイレ・洗面所・駐車場・機械室・倉庫、その他これらに相当する空間、廊下・階段などの通路における「壁及び天井の室内に面する部分」。ただし、人が出入りする形態ではない収納やユニットタイプの浴室は対象外
※防火材料:防火(耐火)性が高い建築材料を指し、告示に明記されているか国土交通大臣による認定を受けていることが条件。「難燃<準不燃<不燃」の順で防火性能が高くなる。
建築基準法と消防法のそれぞれが定める内装制限には、対象範囲にも違いがあります。
| 法律 | 対象範囲 |
|---|---|
| 建築基準法 | ・床面からの高さが1.2m以内(腰壁)は対象外(巾木含む) ・廻り縁・窓台・窓枠や、その他装飾に用いられる少量の造作部材、照明器具のカバーは対象外 |
| 消防法 | ・天井まで達しない間仕切壁で、床に固定(もしくは、固定はされていないが常に同一位置にあり、簡単に移動できないもの)も対象 ・床面からの高さが2m以上で、空間を区切る壁も対象 ・簡単に取り外しできず木材その他可燃材料を用いた壁面収納や造作家具の対象 ・腰壁であっても内装制限の対象(原則として床面から30cm未満の巾木は対象外) ・鴨居・柱・梁や、その他その他装飾に用いられる少量の造作部材、照明器具のカバーで、室内に面する面積が天井及び壁総面積の1/10以下は対象外 |
(参考:東京消防局|第6内装制限・防火材料)
消防法における内装制限の違反者※には、個人の場合「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」、法人は「3000万円以下の罰金」が課されるため、建築基準法と同様にルールの詳細を確認する必要があります。
※違反者:罰則の対象者を指し、建物の所有者・占有者・管理者が該当する
▶︎おすすめコラム:不燃材料とは|建築基準法による決まりと防火性能、認定製品を選ぶポイント
消防法における「内装制限」の対象となる建物

消防法における内装制限の対象となるのは、以下の建物です。
- 建築基準法で定めた特殊建築物(建築基準法第2条1項の2・建築基準法施行令第128条の3の2、第128条の4、第129条、第112条、第128条の3)※
- 学校・病院・工場・事業場・興行場・百貨店(これに準ずる大規模な小売店舗を含む)、複合用途防火対象物、その他多数の者が出入り・勤務・居住する防火対象物(消防法第8条)
- 高さ31mを超える高層建築物
- 特殊建築物以外の大規模建築物(3階建て以上かつ延べ面積が500㎡超・2階建てかつ延べ面積が1,000㎡超、平屋建てかつ延べ面積が3,000㎡超)
- 特殊建築物以外の無窓居室(天井高が6mを超えるものは除く)
- 特殊建築物以外の火気使用室(調理室、浴室などで、かまど、こんろ、その他火器が設置してある居室)
- 地下街
- 非常用エレベーターロビー、避難階段などの避難経路
※用途・規模(延床面積や階数)によって内装制限の内容が異なります。
これらは建築基準法における内装制限の対象とほぼ重複しているため、設計デザインの際にはそれぞれの規定内容を確認しましょう。
内装制限の緩和

消防法における内装制限には、いくつかの緩和措置があるので内容をチェックしておきましょう。
これらの措置を講じることにより、一部で防火材料の使用が免除される可能性があります。
天井に準不燃材料以上の防火材料を採用する
内装制限の基準は、建物の規模などによって難燃材料※でもクリアできる場合もありますが、天井に準不燃材料※以上の防火材料を使用すると、壁のみ内装制限の適用から除外されます。
※防火材料の防火性能は「難燃<準不燃<不燃」
ただし、建築基準法の内装制限をクリアするためには、壁に難燃材料以上の防火材料使用が義務付けられているため、この緩和は「建築基準法では対象外だが消防法では対象になる」部分にしか適用できないケースが大半です。
天井高を6m以上にする
天井を高くすると、火災時に天井付近で煙が溜まり、人がいる空間に煙が充満するまでの時間を遅らせられます。
このことから、天井を高くすると無窓居室などでも消防法における内装制限の対象外になる可能性があります。
建築基準法でも「窓その他の開口部を有しない居室(天井高さ6mを超えるものを除く)」が内装制限の対象なので、天井6m以上にすれば消防法・建築基準法どちらの内装制限も緩和されるということです。
ただし、建物の用途によっては、高い天井にしてもスプリンクラーなどの消火設備を設置しなくてはいけない点には注意しましょう。
自動式消火設備
自動式消火設備を設置すると、消防法における内装制限の緩和を受けられます。
- スプリンクラー設備
- 水噴霧消火設備
- 泡消火設備
- 二酸化炭素消火設備
- 粉末消火設備
- パッケージ型自動消火設備
- その他類似する設備
ただし、建物の規模や用途によって緩和条件が異なるため、詳しくは行政所管にご確認ください。
耐火構造・準耐火構造にする(倍読み規定)
建物を耐火構造もしくは準耐火構造にすると、消防用設備の設置基準となる面積が2倍もしくは3倍に緩和され、このルールを建築設計の業界では「倍読み」と呼びます。
| 条件 | 緩和措置 |
|---|---|
| 「準耐火構造」かつ内装制限の基準を満たしている | 消防用設備の設置基準となる面積が「2倍」に緩和 |
| 「耐火構造」かつ内装制限の基準を満たしている | 消防用設備の設置基準となる面積が「3倍」に緩和 |
ただし、倍読みの緩和措置は、消防法における屋内消火栓設備の設置基準にのみ適用されるので注意しましょう。
また、倍読みが適用される場合でも、建物の用途や規模によっては、他の消防用設備の設置が必要になる可能性があります。
▶︎おすすめコラム:【木造の耐火建築物】基準・関連告示を紹介|外壁の材料選びについても
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柏田木材は、1950年創業以来培った知識とネットワークを活かし、日本各地から良質な国産材(地域材)を仕入れ、多様な建築材料に加工しております。
各種防火規定に対応できる不燃木材・突板化粧板を取り扱っておりますので、「産地にこだわった材料を使いたい」「ナチュラルな木の質感を活かした設計デザインにしたい」と言う方は、お気軽に弊社までご相談ください。
内装制限に対応可能な “柏田木材”の木質建材

柏田木材は、「不燃パネル・不燃木材・無垢材・突板化粧板」を取り扱う建材メーカーです。
弊社製品のうち「不燃パネルと不燃木材」は、全て国土交通大臣認定品(不燃材料)として認定番号を取得しています。
林業・製材業で世界的に有名な奈良県五條市で1950年創業以来培った知識・経験・ネットワークを活かし、お客様のご要望やプラン・現場の条件に合う高品質な木質建材を提案いたしますので、「内外装の防火規定に対応できる・表面耐久性が高い・変色しにくい・環境と人にやさしい・産地にこだわった」木質建材をお探しの方は、ぜひ弊社へご相談ください。
● レパートリー豊富な「塗装・表面加工ラインナップ」
● 木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行うことによる「高い品質安定性の確保」
● 木材産地に近い立地による「リーズナブルな価格の実現」
● SDGsやカーボンニュートラル実現に貢献できる「国産材(県産材・地域材)の活用」
● “こだわり”を実現できる「特注加工・開発支援・OEM製造」
● 施工効率を高められる「自動倉庫管理のオンタイム納品」
突板化粧板(不燃パネル)

対応樹種:杉・桧・米栂・米松・オーク・バーチ・メープル・ウォルナット・チーク・チェリー・アッシュ・カリン・カバなど40樹種以上
| 種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
|---|---|---|---|---|
| 規格サイズ | 6・9 | 450 | 1818・2424 | ウレタン塗装 |
| 特注サイズ | 3〜90 | 〜1,220 | 〜2424 |
▶︎おすすめコラム:化粧不燃ボードとは|種類・厚み・規格・価格から、準不燃材との違いまで徹底解説
突板化粧板は、不燃タイプに加えてUV塗装も対応可能な非不燃タイプもございます。
防火規定の対象部分とそうでない部分のデザインを統一したい方は、ぜひ弊社製品の採用をご検討ください。
不燃木材

対応樹種:杉・桧
| 種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
|---|---|---|---|---|
| 羽目板 ルーバー | 12~90 | ~450 | 1500~ | 無塗装 不燃ウレタン塗装(白華抑制タイプ) |
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▶︎おすすめコラム:木材は塗装で“不燃化”できる?建築基準法との関係や塗料の種類を解説
柏田木材では、不燃木材の加工に加えて、意匠性・耐久性を維持する不燃塗装のご注文も承っております。
そのほか、羽目板への特殊塗装も多くご相談いただいていますので、木材の塗装についてもぜひご相談ください。
まとめ
消防法における内装制限は、火災の予防や消火、人命救助を目的に、室内の延焼を最小限におさえるためのルールです。
建築基準法の内装制限とは目的や対象範囲、緩和措置に違いがありますので、設計デザインの際には注意しましょう。
内装制限の基準を満たすために欠かせないのが「不燃材料」です。
柏田木材は1950年創業以来、地の良質な木材を取り扱い、無垢材・不燃木材、不燃・非不燃突板合板を製造しております。
「木目を活かした内外装デザインを実現させたいが思うような不燃材料が見つからない」という方は、ぜひ柏田木材までご相談ください。


