化粧不燃ボードとは｜種類・厚み・規格・価格から、準不燃材との違いまで徹底解説

天井・壁などの仕上げ材に用いられる「不燃化粧ボード」について、種類とそれぞれの厚み・規格サイズ・塗装仕上げ・価格帯の違いを解説します。

併せて、準不燃・難燃ボードや不燃木材についてもお話ししますので、設計デザインの材料を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

化粧不燃ボードとは

化粧不燃ボードとは、国土交通大臣より個別に不燃認定（※）を受けている化粧ボードで、主に内装制限（※）の対象となる天井・壁の内装仕上げ材として用いられます。

※不燃認定：建築基準法で定めた不燃性能基準をクリアしたことが公的に認められた製品は、不燃材料としての認定を受けられる。（参考：国土交通省｜不燃材料を定める件）

※内装制限：不特定多数の人が利用する公共性の高い建物（特殊建築物）において、火災時の延焼により避難を妨げないように天井・壁に防火耐火性能の高い材料を使用するように定めるルール

ポイントは、表面材と基材（きざい）で素材が異なるという点です。

• 表面材＝様々な種類があり、見た目・デザインに直接影響する
• 基材＝不燃化粧ボードは主に火山性ガラス質複層板や石膏ボードが用いられる

不燃材料もしくは準不燃・難燃材料として認定されているものは、製品ごとに認定番号が付けられます。

防火材料の種類	コード
不燃材料	NM-◯◯◯◯ NE-◯◯◯◯（外部仕上げ用）
準不燃材料	QM-◯◯◯◯ QE-◯◯◯◯（外部仕上げ用）
難燃材料	RM-◯◯◯◯ RE-◯◯◯◯（外部仕上げ用）

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化粧不燃ボードの種類とそれぞれの違い

不燃化粧ボードはいくつものメーカーが強みを活かし、様々な素材で製造しています。

設計デザインの際には、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

表面の種類

プリントシート材（メラミン化粧板・オレフィン化粧板）

不燃性のある基材の上に、様々な色・柄を印刷した印刷層やコーティング層を重ねて圧着したボード材が、メラミン化粧板やオレフィン化粧板です。

メリット	・色や柄の種類が豊富 ・耐久性が高い ・耐水性や耐火性、耐熱性が高いものもある ・シミや汚れがつきにくい ・オレフィン化粧板は原材料に塩化ビニル（PVC）を含まないため、燃焼時に有毒ガスがでない
デメリット	・色や柄は印刷なので人工的 ・触り心地は硬くて冷たい ・コストが高いため、広範囲への施工だと割高になる ・キズがつくと補修が難しい

化粧ケイカル板

ケイカル板とは「けい酸カルシウム板」の略称で、製造過程でオートクレーブ処理（※）されるため、変質しにくい点が特徴の化粧ボード材です。

※オートクレーブ処理：製造過程で高温高圧の蒸気にさらし、強度と耐久性を高める処理方法

メリット	・経年変化や温度や湿度によって変質・変形しにくい ・価格が安い ・上から塗装しやすい
デメリット	・色や柄の種類が少ない ・耐水性は低い（吸水してしまう） ・シミや汚れがつきやすい ・キズが付いたり欠けやすい ・無機質な印象になりがち

化粧石膏ボード

通常、天井・壁の下地材として使われる石膏ボード（PB）の表面に化粧加工紙やプラスチックシートを接着し、塗装・型押し加工した建築材料で、主に学校やオフィスなどの天井仕上げ材に使われます。

メリット	・価格が安い ・防火性能と遮音性能が高い ・一部の製品には、ホルムアルデヒド分解剤が混入されていて、空気中のホルムアルデヒドを吸収分解できるものもある ・上から塗装しやすい
デメリット	・色や柄の種類が少ない ・耐水性は低い（吸水してしまう） ・シミや汚れがつきやすい ・キズが付いたり欠けやすい ・無機質な印象になりがち

突板不燃化粧ボード

基材となる火山性ガラス質複層板の上に突板（※）を接着した化粧ボードで、他のものとは異なって唯一表面が天然木材の建築材料です。

突板（つきいた）：天然木を0.2〜0.3mm程度のシート状に薄くスライスした素材

メリット	・表面は無垢材そのもの ・耐久性が高い ・無垢材よりも温度や湿度の変化による変形が少ない ・触り心地が他の不燃化粧ボードより冷たくない
デメリット	・化粧ケイカル板や化粧石膏ボードより価格が高い ・デザインの種類は木目のみ（ただし、多種多様な樹種から選べる） ・大きなパネル材には表面に突板の継ぎ目が現れる ・耐水性や耐熱性はない ・シミや汚れがつくと補修が難しい

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厚みの種類

ボード材の厚みは、表面の種類（ボード材の構成）によって異なります。

ボード材の種類	一般的な厚みの目安
メラミン化粧板	0.95mm
オレフィン化粧板	2.5〜6mm
化粧ケイカル板	4〜15mm
化粧石膏ボード	9.5〜15mm
突板不燃ボード	6〜9mm

規格サイズ

規格サイズのラインナップはメーカーによって異なりますが、多くのメーカーが共通して製造しているサイズは以下の通りです。

• 1.5×3判（1.5尺×3尺＝約455mm×約910mm）
• 1.5×6判（1.5尺×6尺＝約455mm×約1,820mm）
• 1.5×8判（1.5尺×6尺＝約455mm×約1,820mm）
• 2×6判（2尺×6尺＝約606mm×約1,820mm）
• 2×8判（2尺×8尺＝約606mm×約2,440mm）
• 3×6判（3尺×6尺＝約910mm×約1,820mm）
• 3×8判（3尺×8尺＝約910mm×約2,440mm）
• 4×8判（4尺×8尺＝約1,220mm×約2,440mm）

施工面積やデザインに応じて、できるだけロスが発生せずバランス良く見えるように、これらのサイズから割り付けの良いものを選定する必要があります。

塗装の可否

表面の素材によって塗装できるかどうかが分かれます。

ボード材の種類	塗装の可否
メラミン化粧板	塗装できない（表面にコーティング層があるため）
オレフィン化粧板	塗装できない（表面にコーティング層があるため）
化粧ケイカル板	現場塗装は可能
化粧石膏ボード	現場塗装は可能
突板不燃化粧ボード	工場塗装は可能

化粧ケイカル板と化粧石膏ボードは、そのままでは耐水性が低く簡単にキズが付く反面、現場塗装をできます。

対して、メラミン化粧板・オレフィン化粧板は塗装できない代わりに表面の硬度が高く耐水性があるため、汚れやシミ、キズがつきにくい点が特徴です。

突板不燃化粧ボードは原則として工場でウレタン塗装を施し、施工後に汚れ・シミ・キズが付きにくくなるようにします。

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価格

不燃化粧ボードといっても、それぞれの種類で価格はかなり差があります。

ボード材の種類	価格目安
メラミン化粧板	5,000〜20,000円／㎡
オレフィン化粧板	4,000〜15,000円／㎡
化粧ケイカル板	1,500〜3,000円／㎡
化粧石膏ボード	1,500〜3,000円／㎡
突板不燃ボード	7,500～12,000円／㎡ ※弊社、天然木突板貼り不燃パネル（3x6サイズの場合）

このように、ボード材の種類によって価格帯は大きく異なるため、耐久性の高さとコストの両方を踏まえて、現場ごとに適切な材料を選ぶ必要があります。

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不燃ボード・準不燃ボード・難燃ボードの違い

不燃性能が高い仕上げ用パネル材は、不燃化粧ボードだけではありません。

ほかにも、準不燃化粧ボードや難燃化粧ボードと表記される材料もあります。

それぞれの違いは「加熱時にどのくらいの時間、不燃性能を維持できる」かにあります。

建築基準法では、建築材料の不燃性能を以下のように定義づけています。

• 通常の火災による火熱が加えられる際に、一定時間燃焼しないこと
• 通常の火災による火熱が加えられる際に、一定時間避難の妨げとなる有害な変形・融解・亀裂・損傷が生じないこと
• 通常の火災による火熱が加えられる際に、一定時間避難の妨げとなる有害なガスが発生しないこと

この“一定時間”の違いによって、「不燃・準不燃・難燃」材料に分けられます。

種類	不燃性能が低下するまでの時間
不燃材料	20分間 （建築基準法施行令第108条の2）
準不燃材料	10分間 （建築基準法施行令第1条）
難燃材料	5分間 （建築基準法施行令第1条）

不燃・準不燃・難燃材料は、国土交通大臣より個別認定を受けた製品に加えて、建設省告示（※）で素材として認定されているものもあります。

※建設省告示：国土交通省｜不燃材料を定める件、国土交通省｜準不燃材料を定める件、国土交通大臣｜難燃材料を定める件

内装制限では、建物の規模や用途、防火区画かどうか、天井か壁かによって、不燃・準不燃・難燃材料のどれを選定しなくてはいけないかが異なりますので、設計デザインの際には注意が必要です。

ただし、上記の表でもわかる通り、建築材料の不燃性能は「不燃＞準不燃＞難燃」の順で高いため、不燃材料は全ての防火規定対象範囲に採用できます。

不燃木材との違い

特殊建築物の内装や、耐火建築物などの外壁に木目デザインを取り入れたい場合、材料の選択肢として上がるのが「不燃木材」です。

不燃木材とは、無垢材の深部まで不燃薬剤を注入した建築材料で、近年注目されている中大規模建築物の木造化や内装の木質化において、防火規定をクリアできる木材として採用事例が増えています。

ただし、不燃木材を不燃化粧ボードの代わりに仕上げ材として使用する場合は、以下の点に注意しましょう。

• 突板不燃化粧ボードより高価
• 突板不燃化粧ボードより樹種（木目）の選択肢が少ない
• 無塗装の不燃木材は白華現象（※）が起こりやすい
• 不燃木材に不燃認定を受けていない塗料を塗ると、認定取り消しになる可能性がある
• 薄く大判のパネル材は少なく板材がほとんどなので、1日に施工できる面積が不燃化粧ボードより少ない

※白華（はっか）現象：木材に浸透した不燃薬剤が空気中の水分と反応し、表面に滲み出て結晶化する現象

このように、不燃化粧ボードのように不燃木材を仕上げ材として使用する場合は、施工面積や予算、工程を踏まえて検討しましょう。

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突板化粧不燃ボード・不燃木材どちらも“柏田木材”へご相談ください

柏田木材は、無垢材・不燃木材・突板化粧板（非不燃）・不燃パネルを全て扱っているからこそ、お客様のご要望やプラン・現場の条件に最適な材料を提案できます。

柏田木材では、木材の加工から特殊塗装まで自社工場で行い、現場やご予算・工期に合わせた最適な木質建材を提供しております。

内装制限など防火規定を受ける場所に木質建材を採用したい方は、柏田木材にお任せください。

不燃突板化粧板（不燃フラットパネル）

対応樹種：杉・桧・米栂・米松・オーク・バーチ・メープル・ウォルナット・チーク・チェリー・アッシュ・カリン・カバなど40樹種以上

種類	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
規格サイズ	6・9	450	1818・2424	ウレタン塗装（クリア・着色） ※調色・艶調整可能
特注サイズ	3〜90	〜1,220	〜2424

柏田木材の不燃木質パネル（天然木突板貼り不燃パネル）も、塗装済みの状態で不燃材料として認定（個別認定番号：NM-1276）を取得しています。

不燃木材

対応樹種：杉・桧

種類	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
羽目板 ルーバー	12～90	～450	1500～	レギュラータイプ（リーズナブルな無塗装品） 不燃ウレタン塗装（半屋外で利用可能な白華抑制塗装品）

上記ラインナップに加えて、お客様のご要望に合わせて特殊なサイズ・形状にも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

まとめ

不燃化粧ボードにはいくつかの種類があり、それぞれメリットとデメリットは異なります。

不燃木質パネル（天然木突板貼り不燃パネル）は、無垢材に近いナチュラルな木目や質感と、施工性・品質安定性の高さが魅力です。

“本物の木”にこだわりたい方には、不燃木材もおすすめです。

柏田木材は1950年創業以来、時代と共に様々な木質建材の製造・販売を行ってまいりました。

無垢材から不燃木材、不燃・非不燃突板合板まで多彩な製品を取り扱っていますので、木質材料の選定についてぜひご相談ください。