ルーバー天井とは|メリット・デメリットと後悔しないためのポイントを解説

デザインのアクセントになるルーバーを天井の仕上げに取り入れる事例が増えています。
しかし、ルーバー天井にはメリットがある反面でデメリットもあるので、プランに採用する場合は注意が必要です。
そこで今回はルーバー天井のメリット・デメリットと後悔しないためのポイントについて、1950年創業の柏田木材が詳しく解説します。
そのほか、おすすめのルーバー材も紹介しますので、設計デザインのプランをご検討中の方はぜひ最後までごらんください。
● ルーバー天井には、デザイン面や機能面においてメリットがあり、間接照明との相性も良いため、多くの事例に採用されています。
● 設計デザインのプランに採用する場合は、事前にデメリットや材料選定のポイントを押さえることが重要です。
●「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、産地にこだわった「無垢材・突板化粧板(不燃・非不燃)・不燃木材・集成材」を取り扱い、木質建材の製造から塗装まで、全て自社工場にて行なっております。
コンテンツ
ルーバー天井とは

ルーバーとは、羽板(はいた)と呼ばれる薄く長い板材を一定間隔で並べた一式を指し、それを天井躯体の下に仕上げとして採用するプランをルーバー天井と呼びます。
ルーバーは角度が固定されているものと可動できるものがありますが、天井には一般的に「固定式」が用いられます。
※ルーバーについて詳しく知りたい方は、ルーバーとは|建築における役割とパネルの種類、天井・壁・ドアの活用事例を“木材のプロ”が解説を併せてご覧ください。
ルーバー天井は主に非木造建物で構造躯体の下に下地を組み、そこにルーバー材を取り付けていく方法と、木造・非木造問わず、平天井に格子状で取り付ける方法が一般的です。
ルーバー天井のメリット

ルーバー天井をプランに取り入れるメリットは、主にデザイン性や機能性にあります。
デザインのアクセントになる
非木造・木造を問わず、平面で無個性になりがちな天井にルーバーを取り付けると、デザインのアクセントになります。
近年はホワイトを基調としたシンプルモダンなインテリアと、木質のルーバー材や壁材などを組み合わせるプランがトレンドです。
ルーバー・壁の仕上げ材・床材・造作家具に同じ木目を採用することにより、全体的にまとまりのあるデザインに仕上がります。
防音効果がある
天井にルーバーを並べると、音が減衰してある程度されるため、オフィスや図書館、ホール、学校などでルーバー天井を採用する事例は少なくありません。
※ルーバーを設置しても完全防音にはなりませんのでご注意ください。
特に木材は細胞レベルの空洞が無数にあり、それによる吸音・遮音効果も期待できます。
(参考:木づかい.com|木材の遮音性と吸音性を知り、より効率的な使い方の工夫を。)
配線・配管を隠せる
非木造のRC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造、S(鉄骨)造は、天井スラブの下に電気配線やダクト配管、給排水配管が露出します。
通常はその下に天井下地を組んで平天井に仕上げますが、階高の低い建物だと圧迫感が出がちです。
そのため、主に既存建物の改修工事で天井スラブをそのままで、天井高をできるだけ高く確保できる位置にルーバーを設置する事例は少なくありません。
ルーバー天井にすると、構造体であるスラブや梁、配線、配管が見えづらくなり、すっきりとした印象に仕上がります。
間接照明と組み合わせやすい
ルーバー天井とよく組み合わせられるのが間接照明で、ルーバー照明とも呼ばれます。
ルーバー照明とは、照明器具の上にルーバーを設置する手法、もしくは、羽板と羽板の間にライン照明を仕込む手法があり、どちらもルーバーに反射した柔らかい光が周囲に広がる点が人気のポイントです。

ルーバー照明の具体的なメリットは以下の通りです。
- 配光量を制御(コントロール)しやすい
- 不快な眩しさ(グレア)を軽減できる
- 照明器具が下から見えにくく、おしゃれな印象に仕上がる
このような点から、ルーバー照明は、主に店舗やオフィスなどに採用されます。
空間を広く見せられる・奥行きのある空間になる
ルーバーの流れ方向を意識すると、空間の奥行き(遠近感)※が強調されて空間が広く見えます。
そのため、狭い空間にルーバー天井を採用すると、視覚的なメリットを得ることが可能です。
※線遠近法(空間の奥にある1点=消失点に向かって視線が収束する原理)による効果

ルーバー天井のデメリット

ルーバー天井には主にデザイン面でメリットがあるため、様々な用途・規模の建築プランに取り入れられていますが、事前に知っておいていただきたいデメリットもあるので注意が必要です。
費用が高い
ルーバー天井は、一般的な平天井と比べると、材料費・工事費のどちらも割高になる点は否めません。
そのため、予算に併せて部分的に採用する事例も多く、設計プランによっては他の天井や壁との取り合い部分に設計面での工夫が必要になります。
ホコリが溜まる
ルーバーの上端には、どうしてもホコリが溜まってしまいます。
そのため、定期清掃しやすい仕組みや、ホコリが積もっても目立ちにくい素材やカラーの選定を意識しましょう。
ルーバー照明は作業面の光量が少ない
ルーバー照明は、羽板の隙間から漏れる反射光で空間を明るくする仕組みです。
そのため、どうしてもデスクの上など作業面での光量が少なく、場合によっては暗く手元が見えづらくなる可能性があるので注意しましょう。
また、ルーバー照明はランプ交換や清掃も考慮した設計が重要なポイントになります。
圧迫感が出る
非木造の場合、ルーバーを躯体の下・平天井の上のどちらに取り付ける場合も、天井高によっては圧迫感が出る可能性があります。
また、白い平天井と比べると、凹凸があり色が付いているルーバーは、どうしても重厚感が増してしまいがちです。
そのため、ルーバー天井を採用する場合は、建築基準法で定める最低天井高2.1m※よりも高く開放感がある「2.5m以上」の高さを確保できるか確認しましょう。
「ルーバー天井」を後悔しないためには、デメリットだけではなく材料選びのポイントも押さえることが重要です。
ルーバー天井の採用を検討している方は、デザインの調和性や、経年変化、メンテナンス、その他各種法規制を確認しましょう。
ルーバー天井を後悔しないためのポイント

ルーバー天井を後悔しないためには、デザイン性・材料ごとの特徴・防火規定・経年変化などに関するポイントを押さえておくことをおすすめします。
ルーバーがその他の内装材と調和しているか
ルーバーの材料は、素材によって見た目や質感が異なるため、その他の内装仕上げ材と調和するか確認しましょう。
室内天井にルーバーを設置する場合は、天井・壁・床や内装ドア、家具と材質を揃えるプランがおすすめです。
柏田木材のルーバー材は、化粧板・フローリング・羽目板・カウンター材・棚板など同じ材質で製造するため、見た目や質感を揃えられます。
ルーバーの材質選びは慎重に
ルーバーの材質にはいくつか種類があり、それぞれメリット・デメリットは異なります。
天井仕上げに用いられるルーバーの材質は主に4種類です。
| 材質 | メリット・デメリット |
|---|---|
| アルミ | ・メタル調や木目調、石目調(化粧シート貼り)など、色柄のレパートリーが豊富 ・深いキズがつかなければ、長期間メンテナンスフリー ・屋外でも利用可能 ・軽量で変形しにくいが、コストは高め ・金属の素地を生かしたタイプは経年変化(変色)がほとんどない ・細かい加工が難しい(切断面から腐朽・サビの可能性あり) |
| 無垢材 | ・天然木ならではの色味と質感を表現できる ・豊富な樹種から選べる ・環境配慮性が高い(森林循環※への貢献) ・現場加工や施工が容易 ・アルミよりも安価(希少樹種は除く) ・温度や湿度の変化に伴う変形リスクがある(反り、ねじれ、伸縮、木割れ) ・経年変化(劣化・変色)が起こる ・保護塗装が必要(無塗装だと汚れがつきやすく、ホコリも落としにくい) ・防火規定により施工できない場所もある |
| 集成材 | ・天然木ならではの質感を表現できる ・豊富な樹種から選べる ・環境配慮性が高い(森林循環※への貢献) ・現場加工や施工が容易 ・ガラスよりも安価(希少樹種は除く) ・無垢材よりも、温度や湿度の変化に伴う変形リスクは少ない ・経年変化(劣化・変色)が起こる ・保護塗装が必要(無塗装だと汚れがつきやすく、ホコリも落としにくい) ・防火認定を受けた材料は防火規定による影響を受けない |
| 突板※化粧貼り材 | ・天然木ならではの色味と質感を表現できる ・豊富な樹種から選べる ・環境配慮性が高い(森林循環※への貢献) ・現場加工や施工が容易 ・比較的、安価(希少樹種は除く) ・無垢材や集成材よりも、温度や湿度の変化に伴う変形リスクは小さい ・経年変化(劣化・変色)が起こる ・原則として半屋外には施工できない(湿気で変質するため) |
※森林循環:植林→間伐→主伐→木材利用→再植林…というサイクルを指し、森林の老齢化を防いで若い木が多くのCO2を吸収するため、温暖化対策として注目されている
※突板(つきいた):丸太を厚さ0.2〜0.3mmほどのシート状にスライスした素材
施工部位や予算、納まりに応じて、適切な材質のルーバーを選ぶことが重要です。
柏田木材では、無垢材・化粧貼り・集成材に加えて、不燃木材のルーバーも製造しております。
▶︎おすすめコラム:突板合板と無垢材の見分け方|家具・フローリング・ドアの場合やプリント化粧板との違い
▶︎おすすめコラム:集成材と無垢材どっちがいい?価格・強度・耐用年数などの違いを徹底解説
内装制限のルールに注意
特殊建築物※や大規模建築物にルーバー天井を採用する場合、面積によっては「内装制限」の対象になります。
※特殊建築物:建築基準法第2条の2で定められる不特定多数の人が利用し公共性の高い建築物や、火災・衛生などにおいて周辺環境に与える影響が大きい一定規模以上の建築物
内装制限とは、施設利用者の火災時における安全な避難経路を確保するための決まりで、居室及び廊下・階段などの通路における壁・天井に防火材料(不燃・純不燃・難燃材料)を使用しなくてはいけません。
※内装制限について詳しく知りたい方は、〈内装制限〉建築基準法を分かりやすく解説|建物種類・不燃材料・2025年建築法改正についてもを併せてご覧ください。
柏田木材では防火規定の基準をクリアし国土交通大臣より認定を受けた「不燃木材ルーバー」を製造しており、白華現象などの劣化を抑える不燃塗料仕様もお選びいただけます。
特注対応にて、不燃化粧板仕上げのルーバーも提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
▶︎おすすめコラム:不燃材料とは|建築基準法による決まりと防火性能、認定製品を選ぶポイント
▶︎おすすめコラム:不燃突板化粧板とは|特徴とメリット・デメリット、厚み・サイズについて徹底解説
ルーバー照明は電球の発熱に注意
ルーバー照明にする場合は、電球の発熱にも注意が必要です。
最近は一般的になったLED電球は、以前用いられていた白熱灯や蛍光灯よりも発熱量は少ないですが、内部に蓄熱し、それを放熱しないと不具合やランプ寿命の短縮につながります。
また、電球そのものは熱くならなくても、LED素子※の本体や電源部は高温になるため、それらの発熱量を事前に確認して照明器具とルーバーの距離を決めましょう。
※LED素子:電圧が加わると光を発する半導体部品
半屋外は湿度の影響に注意
半屋外の天井に木質ルーバーを設置する場合は、湿気の影響にも注意する必要があります。
材質や仕上げ塗装の種類によって、ルーバー自体の耐用年数に差が出ます。
木質ルーバーの多くは内装のみでしか採用できませんが、柏田木材の木質ルーバーは半屋外・屋外対応の製品もありますので、お気軽にご相談ください。
現場加工(施工)をしやすいか
ルーバーを選ぶ際には、その加工性や施工性も確認しましょう。
アルミルーバーは現場でカットできても細かい加工は困難です。
対して、木質ルーバーは現場で臨機応変に細工しやすいため、多くの事例で採用されています。
現場で材料の保管場所を確保できるか・納期に不都合はないか
ルーバー材の多くは細長く、現場での保管場所に困るケースも珍しくありません。
また、木質ルーバーは保管環境(温度・湿度)によって、反りやねじれを引き起こす場合もあります。
そのため、木質ルーバーを採用する場合は、製品納期を事前に確認しましょう。
ベストなタイミングで納品されないと、工事遅延や施工費増加につながりかねません。
柏田木材では、一般的な倉庫に加えて自動倉庫を採用し、材料・完成品の保管代行や細やかな出荷対応を提供しております。
ルーバーは天井だけではなく壁・庇・フェンスにもおすすめ

ルーバーは天井に取り入れる以外に、壁や庇、フェンスなどと組み合わせるプランも人気です。
屋内だけではなく屋外に採用する事例もありますので、ぜひご検討ください。
室内の間仕切り壁・パーテーション・ドア
室内の袖壁やパーテーション、内装ドアにルーバーを用いるプランもおすすめです。
通風や採光の効果に加えて、空間を緩やかに区切り、圧迫感を軽減するメリットもあります。
また、全館空調の場所では、空調の風を妨げず、室温のムラをなくす効果も期待できます。
外壁
ガラス面の多いビルなどの建物や、外部からの視線を適度に遮りたい建物では、外壁面にルーバーを採用する事例もあります。
外壁のルーバーはファサードのアクセントになり、設置角度によっては室内に差し込む日射量を調節することも可能です。
さらに、ガラス破りの抑止力になるという防犯面のメリットも得られます。
フェンスと外壁ルーバー、ウッドデッキなどの材質を揃えると、まとまりのある洗練されたエクステリアデザインに仕上がりますので、ぜひご採用ください。
庇
ルーバー庇は、太陽高度(角度)によって日射を遮蔽したり取り込んだりすることが可能です。
例えば、太陽が低く室内が冷えやすい朝方には日射熱を取り込み、太陽が高く室内が暑くなる正午前後には日射熱を遮断します。
(参考:環境省|太陽紫外線に関する基礎情報)
ルーバー庇によって照明や空調にかかるエネルギー消費を削減するパッシブデザイン※を採用する事例も珍しくありません。
※パッシブデザイン:空調や照明をできるだけ機械設備に頼らず、高断熱と太陽光・太陽熱・自然風・地熱などの自然エネルギーを組み合わせる設計手法
▶︎おすすめコラム:ルーバーとは|建築における役割とパネルの種類、天井・壁・ドアの活用事例を“木材のプロ”が解説
無垢材・化粧貼り材・集成材を選べる“柏田木材”のルーバー

柏田木材は、林業・製材業で世界的に有名な奈良県五條市で「無垢材・不燃木材・突板化粧板・不燃パネル・集成材」を製造・販売する建材メーカーです。
産地と品質にこだわった木材を仕入れ、天然木の魅力を活かしたルーバーを手がけています。
素材は「無垢・化粧貼り・集成材・不燃木材」から選択でき、屋外利用※(風雨や日光の当たる部分)にも施工可能です。
※無垢・集成材のみ(屋外用塗料や薬剤注入による防腐処理済み。)
標準サイズに加えて、お客様のご要望に合わせた特注サイズも製造できますので、材料選びで迷った際にはぜひ弊社までご相談ください。
● レパートリー豊富な「塗装・表面加工ラインナップ」
● 木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行うことによる「高い品質安定性の確保」
● 木材産地に近い立地による「リーズナブルな価格の実現」
● SDGsやカーボンニュートラル実現に貢献できる「国産材(県産材・地域材)の活用」
● “こだわり”を実現できる「特注加工・開発支援・OEM製造」
● 施工効率を高められる「自動倉庫管理のオンタイム納品」
無垢材・化粧貼り・集成材
| 厚み(mm) | 20〜90 |
| 幅(mm) | 45〜450 |
| 長さ(mm) | 1500〜4000 |
| 塗装 | ・無塗装 ・ウレタン塗装 ・UV塗装 ・オイル塗装 ・屋外用塗装 など |
| 樹種 | 【無垢材】 ・杉 ・桧 【化粧貼り】 ・杉 ・桧 ・オーク ・バーチ ・メープル ・ウォルナット など 【集成材】 ・杉 ・桧 ・オーク ・アッシュ ・ゴム など |
不燃木材
| 厚み(mm) | 20〜90 |
| 幅(mm) | 〜450 |
| 長さ(mm) | 1500〜 |
| 塗装 | ・不燃ウレタン塗装 |
| タイプ | ・レギュラータイプ ・白華抑制タイプ |
| 樹種 | ・杉 ・桧 |
柏田木材では、ルーバーのほかに、以下の木質建材も製造しておりますので、“木の魅力”を生かした設計デザインをご検討中の方は、弊社にお任せください。
それぞれ、数量によっては樹種・産地をご指定いただけます。
まとめ
ルーバー天井には、デザイン面や機能面においてメリットがあり、間接照明との相性も良いため、多くの事例に採用されています。
ただし、設計デザインのプランに採用する際には、事前にデメリットや材料選定のポイントを押さえることが重要です。
柏田木材は1950年創業以来、時代と共にルーバーをはじめとした様々な木質建材の製造・販売をしてきました。
奈良県産材をはじめとした各地の銘木を取り扱い、木質建材の製造から塗装まで、全て自社工場にて行なっております。
無垢材・不燃木材、不燃・非不燃突板合板の選定でお悩みの方は、ぜひ柏田木材までご相談ください。


