不燃ベニヤとは|準不燃・難燃・防炎ベニヤとの違いと種類と厚み・サイズ・価格目安を解説

不燃ベニヤは建築現場において下地材・仕上げ材として多く採用されています。
しかし、似た特性を持つその他の建築材料との違いはあまり知られていません。
そこで、今回は「不燃ベニヤ」について、準不燃・難燃・防炎ベニヤとの違いやコンパネ・不燃木材・非木質パネル材との使い分けポイントを“木材のプロ”が詳しく解説します。
不燃ベニヤの厚み・サイズ・価格やおすすめの内装用建材も紹介しますので、設計デザインの材料をご検討中の方はぜひ最後までごらんください。
● 不燃ベニヤは内装制限やその他防火規定を受ける範囲に下地材・仕上げ材として採用される建築材料です。
● 準不燃・難燃ベニヤや不燃木材など似た性質を持つ材料もありますが、特徴が異なるので材料選定の際にはその違いに注意しましょう。
●「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、高品質な木質建材や技術開発支援に努め、「突板化粧板(不燃・非不燃)・LVS・ランバーコア・無垢材・不燃木材」を取り扱っています。
コンテンツ
不燃ベニヤとは

不燃ベニヤとは、防火材料として認定を受けたベニヤ材を指します。
防火材料
通常の火災において加熱された際、一定時間「①燃焼しない」「②有害な変形・溶融・亀裂・損傷が生じない」「③有害なガスが発生しない」ことが証明された材料です。
不燃ベニヤは不燃材料(加熱開始後20分以上①②③が生じない)として認定を受けたものを指します。
ベニヤ
「薄い板(英:veneer)」が語源で木材を薄く剥いて作った単板(0.6mm~3mm)を指しますが、一般的にはこの単板を積層・接着したものもベニヤやベニヤ合板と呼びます。
不燃ベニヤは主に内装制限※やその他防火関連規定の対象となる壁・天井・屋根の下地材として使用されますが、不燃合板(不燃化粧合板)と呼ばれるものは仕上げ材として用いられます。
※内装制限については「【内装制限】建築基準法を分かりやすく解説|建物種類・不燃材料・2025年建築法改正についても」「【内装制限の緩和】対象条件や住宅・店舗・オフィスの違い、消防法との関係性を解説」をごらんください。
不燃合板(不燃化粧合板)とは、ラワン・シナなどの広葉樹、スギ・ヒノキ・アカマツなどの針葉樹から切り出した木材に不燃薬剤を含浸したものに突板※を貼り合わせた内装仕上げ用パネル材※です。
※突板(つきいた):天然木を0.2〜0.3mm程度の薄いシート状にスライスした素材で、主に化粧板の表面材として用いられます。
※不燃合板(不燃化粧合板)は、不燃薬剤が雨と一緒に流出して性能が落ちるため、外装仕上げ材には使用できません。また、合板は屋外仕上げに用いると接着剤の劣化によって肌別れするリスクがありますのでご注意ください。
▶︎おすすめコラム:不燃パネルとは|材質の種類やメリット・デメリットを解説、天然木を使った化粧板についても
▶︎おすすめコラム:化粧不燃ボードとは|種類・厚み・規格・価格から、準不燃材との違いまで徹底解説
準不燃・難燃・防炎ベニヤとの違い

不燃ベニヤと同じく火災の被害を抑えられる建築材料として、準不燃・難燃・防炎ベニヤがあります。
ただし、それぞれには性能や採用の目的が異なるので注意が必要です。
準不燃・難燃ベニヤとの違い
準不燃ベニヤは準不燃材料、難燃ベニヤは難燃材料として認定された材料です。
不燃・準不燃・難燃材料は、建築基準法においてどれも「防火材料」に該当します。
ただし、これらには火災(加熱)時に「①燃焼しない」「②有害な変形・溶融・亀裂・損傷が生じない」「③有害なガスが発生しない」時間が異なります。
種類 | 不燃性能が低下するまでの時間 |
---|---|
不燃材料 | 加熱開始後20分間 (建築基準法施行令第108条の2) |
準不燃材料 | 加熱開始後10分間 (建築基準法施行令第1条) |
難燃材料 | 加熱開始後5分間 (建築基準法施行令第1条) |
不燃材料と同様に、材料として建設省告示(※)にて認定されているものと、製品ごとに国土交通大臣より個別認定を受けた製品があります。
※国土交通省|準不燃材料を定める件(建設省告示第1401号)、国土交通大臣|難燃材料を定める件(建設省告示第1402号)
不燃・準不燃・難燃のどれで認定された製品か見分ける際には、認定番号を確認しましょう。
防火材料の種類 | 認定番号 |
---|---|
不燃材料 | NM-◯◯◯◯ NE-◯◯◯◯(外部仕上げ用) |
準不燃材料 | QM-◯◯◯◯ QE-◯◯◯◯(外部仕上げ用) |
難燃材料 | RM-◯◯◯◯ RE-◯◯◯◯(外部仕上げ用) |
内装制限やその他防火規定において、建物の用途や規模(床面積・階数)、防火区画の有無、施工部位(天井・軒天もしくは壁)などの諸条件によって、不燃・準不燃・難燃材料のどれを選定しなくてはすべきか異なるので注意しましょう。
建築材料の防火性能は「不燃>準不燃>難燃」の順で高いため、不燃材料は全ての防火規定対象範囲に採用できます。
防炎ベニヤとの違い
防炎ベニヤ(防炎合板)とは、着火しても自己消火性によって延焼しにくいベニヤ材を指します。
防火材料(不燃・準不燃・難燃)は建築基準法の規定が基になりますが、防炎ベニヤは消防法の規定(防炎性能基準)をクリアすることで認定されます。
(参考:消防法第8条の3)
つまり、「防炎認定≠不燃認定」であるため、防炎ベニヤは内装制限やその他防火規定を受ける場所には施工できません。
主に展示用パネルやスタジオ・舞台などの大道具に用いられます。
その他不燃材との違い|コンパネ・不燃木材・非木質パネル材

建築材料として用いられる不燃性能をもつ材料として、「不燃コンパネ・不燃木材・非木質不燃パネル材」も挙げられます。
どれも内装制限やその他防火規定を受ける範囲に施工できますが、特徴が異なるので注意しましょう。
不燃コンパネとの違い
コンパネとはコンクリートパネルの略称で、元々はコンクリート型枠用板材として用いられる材料です。
しかし強度が高いことから、構造用合板としても採用されています。
不燃コンパネは不燃ベニヤ(厚さ12mm)と同義語で使われる場合もあり、木造建築物の耐力壁下地として施工されるケースが一般的です。
不燃木材との違い
不燃木材とは無垢材に不燃薬剤を含浸させた材料で、ナチュラルな見た目と質感が魅力です。
ただし、以下のデメリットがあるので注意しましょう。
- パネル材は少なく板材・角材の形状をしていて厚く、平米単位重量が大きい(軽量化のために薄くすると変形しやすくなる)
- 不燃ベニヤよりも価格が高い
- 経年によって表面に不燃薬剤がしみ出て結晶化する白華現象が起こる可能性がある
- 仕上げ材として使う場合は、不燃化粧合板より樹種が限られる
非木質系不燃パネル材(メラミン化粧板・オレフィン化粧板)
木目の不燃パネルには、突板などを用いた木質系だけではなく、プリントで木目を再現した非木質系不燃パネルがあり、「メラミン化粧板・オレフィン化粧板」などが該当します。
木質・非木質の差は“木”を使っているかだけではありません。
- 印刷技術の進歩によって木目の再現度は高いが、質感や触り心地は硬く冷たい
- 木質系不燃パネル材よりも価格が高い
- 木質系パネル材よりも耐水性・耐キズ性が高い
- 表面塗装できない
このように、非木質系不燃パネル材には、木質系材料と比べて優れている点・劣っている点の両方があるため、施工部位やご予算などに合わせて木質系と非木質系の使い分けることが重要になります。
▶︎おすすめコラム:突板合板とは|メリット・デメリットから無垢材との違い、材料選定のコツを解説
柏田木材は、国内外から良質な突板を仕入れ、高品質でレパートリー豊富な「天然木突板貼り不燃パネル」を製造しております。
製造だけではなく不燃塗装も自社工場にて行っているため、オリジナルカラーのご注文にも対応可能です。
不燃木材も取り扱っていますので「どんな材料を選ぶのがベストか悩んでいる」という方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。
不燃ベニヤの厚み・サイズ・価格

不燃ベニヤを選定する際に重要なポイントとなるのが「厚み・規格サイズ」と「価格」ですよね。
厚み
6・9・12mmが一般的ですが、一部のメーカーでは特注で3〜90mm厚を指定できる場合もあります。
厚さ | 主な用途 |
---|---|
6mm | ・壁や天井の下地や仕上げ ・細工が必要な場所の下地や仕上げ ・納まりが複雑な場所の下地や仕上げ |
9mm | ・壁や天井の下地や仕上げ ・什器や家具の材料 |
12mm | ・特に強度が求められる耐力壁などの下地や仕上げ ・什器や家具の材料 |
規格サイズ
規格サイズはメーカーや製品によって異なりますが、以下が主なレパートリーです。
※一部特注になる場合もありますので、事前に詳細をメーカーにお問い合わせください。
一般的な呼称 | サイズ(mm) |
---|---|
3×6(サブロク) | 910×1,820 |
3×8(サンパチ) | 910×2,430 |
4×8(シハチ) | 1,220×2,430 |
ただし、あまり大判になると重量が大きくなり運搬や施工の効率が下がり、さらに材料ロスが出る可能性があるのでご注意ください。
価格
価格は厚さや下地用・仕上げ用で異なります。
下地用不燃ベニヤは仕上げ用と比べると安価ですが、別途仕上げ材と施工費かかるので慎重に材料を選定しましょう。
種類 | 価格目安 |
---|---|
下地用不燃ベニヤ | 6,000〜10,000円/㎡ |
仕上げ用不燃ベニヤ(突板不燃化粧板など) | 7,500〜12,000円/㎡ |
柏田木材の天然木突板貼り不燃パネルは、「40樹種以上の表面材(突板)・規格サイズと特注サイズ・表面塗装の種類」をそれぞれお選びいただけます。
同仕様で非不燃タイプの突板貼りパネル材も取り揃えておりますので、空間のトータルコーディネートを実現させたい方は柏田木材の製品をぜひご採用ください。
【FAQ】不燃ベニヤに関するよくある質問

ここで、多くのお客様からいただく不燃ベニヤに関するご質問にお答えします。
Q.「ベニヤのメリットとデメリットは?」
ベニヤには以下のメリットとデメリットがありますので、施工部位やご予算に合わせて無垢材・不燃木材と使い分けるプランがおすすめです。
メリット
- 反りにくい(単板の繊維を直行させて積層するため、互いの伸縮を相殺し合うため)
- 比強度※が高い
- 切断などの加工が容易
- 仕上げ用でも、樹種によっては無垢材よりコストを抑えられる
※比強度:単位重量あたりの強度を表し、比強度が高いほど「軽くて強い」ことを意味します。
デメリット
- 接着剤の経年劣化によって層(プライ)同士が肌別れする可能性がある
- 深い傷がつくと補修しにくい
- 無垢材よりも触り心地が硬め
- 無垢材よりも調湿性・吸音性・耐衝撃性が劣る
Q.「不燃ベニヤの経年劣化(変化)は?」
不燃ベニヤはその他の木質系建材と同様に経年劣化(変化)が発生しますので、事前に特徴を押さえておきましょう。
- 経年変色(日焼け)
- 乾燥と湿潤を繰り返すことによる表面のひび割れ
- 白華現象(経年によって表面に不燃薬剤がしみ出て結晶化する)
仕上げ材として不燃ベニヤを使用する場合、これらの経年劣化(変化)を抑えるためには「表面塗装※」が必要です。
※ウレタン塗装が基本で、オイル塗装・UV塗装は加熱時に表面温度が上がるため防火材料認定を受けられないのでご注意ください。
▶︎おすすめコラム:不燃突板化粧板とは|特徴とメリット・デメリット、厚み・サイズについて徹底解説
Q.「不燃ベニヤは現場塗装できる?」
不燃ベニヤは「工場塗装」が原則で、塗装済み製品として認定を受けます。
無塗装の不燃ベニヤに現場塗装すると、認定取り消しになる可能性があるので注意が必要です。
▶︎おすすめコラム:【木材】現場塗装・工場塗装はどちらがいい?それぞれのメリット・デメリットと最新塗料を解説
柏田木材は、木質建材の切削・接着・着色・塗装を全て自社で一貫対応し、高い品質・リーズナブルな価格・オンタイム納品を実現しております。
自社製品の販売に加えて製品開発支援やOEM製品の製造も承っておりますので、弊社までお気軽にお問い合わせください。
不燃化粧ベニヤ合板・不燃木材どちらも“柏田木材”へご相談ください

柏田木材は、不燃パネル・不燃木材に加えて、突板化粧板・無垢材も扱っているからこそ、お客様のご要望やプラン・現場の条件に最適な材料を提案できます。
木質建材の加工・製造に加えて特殊塗装も全て自社工場で手掛けているため、「内装制限に対応できる・表面耐久性が高い・変色しにくい・環境と人にやさしい・産地にこだわった」木質建材をお探しの方は、ぜひ弊社へご相談ください。
● レパートリー豊富な「塗装・表面加工ラインナップ」
● 木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行うことによる「高い品質安定性の確保」
● 木材産地に近い立地による「リーズナブルな価格の実現」
● SDGsやカーボンニュートラル実現に貢献できる「国産材(県産材・地域材)の活用」
● “こだわり”を実現できる「特注加工・開発支援・OEM製造」
● 施工効率を高められる「自動倉庫管理のオンタイム納品」
突板化粧板(非不燃・不燃)
対応樹種:杉・桧・米栂・米松・オーク・バーチ・メープル・ウォルナット・チーク・チェリー・アッシュ・カリン・カバなど40樹種以上
【不燃タイプ】
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
規格サイズ | 6・9 | 450 | 1818・2424 | ウレタン塗装 |
特注サイズ | 3〜90 | 〜1,220 | 〜2424 |
【非不燃タイプ】
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
規格サイズ | 6・9 | 450 | 1818・2424 | UV塗装 ウレタン塗装 無塗装 |
特注サイズ | 3〜90 | 〜1,220 (UV塗装品は60〜450) | 〜4000 (UV塗装品は1500〜4000) |
不燃木材
対応樹種:杉・桧
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
羽目板 ルーバー | 12~90 | ~450 | 1500~ | 無塗装 不燃ウレタン塗装(白華抑制タイプ) |
無垢材(羽目板)
対応樹種:杉・桧・唐松
樹種 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
杉・桧 | 10〜18mm | 70〜180mm | 1,500〜4,100 | 無塗装 ウレタン塗装 オイル塗装 UV塗装 オスモUVオイル塗装 |
唐松 | 要相談 | 要相談 | 要相談 |
まとめ
不燃ベニヤは内装制限やその他防火規定を受ける範囲に下地材・仕上げ材として採用される建築材料です。
準不燃・難燃ベニヤや不燃木材など、似た性質を持つ材料もありますが、特徴が異なるので選定の際にはその違いをご確認ください。
柏田木材は1950年創業以来、時代と共に様々な木質建材の製造・販売を行ってまいりました。
無垢材から不燃木材、不燃・非不燃突板合板まで多彩な製品を取り扱っていますので、木質材料の選定についてぜひご相談ください。