【杉(スギ)・ヒノキ(桧)の違い】性質・見た目・強度・価格を徹底比較
日本で育つ木の二台巨頭である「杉(スギ)」と「桧(ヒノキ)」ですが、どちらも建築材料などへ活用される針葉樹で似た見た目をしています。
しかし、実は細かく比べると異なる点があります。
そこで、今回は「杉と桧(檜)」について、性質・見た目・強度・価格の観点で違いを詳しく解説します。
銘木と呼ばれる種類も紹介しますので、国産材や地域材、県産材にこだわった設計デザインを検討している方は、ぜひ最後までください。
● 杉と桧はどちらも日本国内で多く生育する樹種で、一見似ていますが、見た目や性質、価格などに違いがあります。
● 杉と桧のどちらを選ぶ際も、ぜひ産地にまでこだわりましょう。
● 私たち「柏田木材」は、1950年に奈良県で創業して以来、国内外から上質な木材を仕入れ、高品質な木質建材を製造販売しております。
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建築に使われる杉と桧|性質とメリット・デメリット
日本の国土面積(3,779万ヘクタール)のうち、森林は約66%(2,505万ヘクタール)を占めます。
さらに森林面積の内訳を見ると、林業を目的とした人工林の面積は森林全体の約40%(1,020万ヘクタール)です。
日頃街中で生活しているとあまり実感しないかもしれませんが、日本は世界でも有数の森林大国・林業大国と言って間違いないでしょう。
人工林に生育する樹種のおよそ70%が、「杉・桧」である点も重要なポイントです。
杉と桧は、建築資材や製紙用ウッドチップ、バイオマス燃料などに加工されて私たちの日常生活へ活用されています。
では、杉と桧それぞれの特徴と長所短所を紹介します。
スギ(杉)
杉は、製材に適したサイズまで成長するスピードが速いため、戦後に全国で一斉に大量植林されました。
1960年頃から約60年経ち、その時に植林された杉は今まさに木材として利用に最適な成長を遂げています。
※木の齢級は「5年=1」と計算するため、齢級10は植林されてから50年となります。
杉の標準伐期齢(伐採する時期)は「35〜50年」程度で、植林されてから60年以上経つ立木は価値があるとして高値で取引されます。
杉は柔らかく軽いため加工性が高く、北海道から九州まで日本全域で生育していることから、産地を特定して材料を選びやすい点がメリットです。
ただし、表面にキズが付きやすく、経年変色が大きいデメリットもあります。
ヒノキ(桧・檜)
桧も杉と同様に戦後に行われた拡大造林政策によって植林が進みましたが、杉と比べるとその量は劣ります。
また、桧の標準伐期齢は、「45〜60年」程度であるため、杉よりも「植林→生育→伐採→植林」のサイクルが遅い点は否めません。
しかし、その良質な材木は高級木材として建築資材以外にも桧風呂などの木質製品へも加工されています。
杉よりもゆっくり成長することから、全乾比重※は杉よりも若干大きく、年輪が固くて狂いが少ない点がメリットです。
多く含まれる香り成分により、耐朽性・耐虫性にも優れていますが、油分が多く塗料を弾き着色しにくい点がデメリットとされています。
そのため、美しい木目と質感を生かして白木(無塗装)のまま使われるケースが大半です。
ただし、最近は塗料が進化し、床材をキズや汚れから守るためにクリア塗装が施されるケースは少なくありません。
また、屋外へ桧をはじめとした国産材を使う事例は多く、クリア塗装に近い屋外用塗料も増えてきており、桧の風合いを残しつつ高い耐候性を得られます。
※全乾比重:含水率0%の状態の比重で、木材の硬さや強度を評価する指標。
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スギとヒノキ|見た目の違い
杉と桧はどちらも繊細できめ細かい木目と明るい色合いが特長です。
しかし、じっくり見てみると違いがあります。
杉
辺材※部分は白っぽい淡褐色で、心材※部分は赤味がかった褐色をしているため、製材した部分ごとに色の差が大きいのが特徴です。
また、桧よりも表面の質感が荒く、年月が経つにつれて木目が浮き上がる現象も杉特有です。
桧
辺材は杉と同様に白っぽい淡褐色ですが、より赤みを帯びています。心材はピンクがかっている色合いが特徴的で、杉よりも木目のラインは目立ちません。
杉よりも質感は滑らかで艶感がある点が人気のポイントです。
※辺材:樹皮に近い部分
※心材:丸太の中心に近い部分
スギとヒノキ|強度・耐久性の違い
木材の強度や耐朽性を決めるのが全乾比重で、樹種によって数値の幅は異なります。
比重の値が小さいほど軽くて柔らかく、大きいほど重くて硬い木に分類されます。
杉も桧も、一般的な樹種の中では比重は軽めです。
杉 | 全乾比重:0.34~0.38g /c㎥程度 |
桧 | 全乾比重:0.41〜0.45/c㎥程度 |
ただし、同じ樹種でも育った場所によって比重は変わります。
また、木材の“しなり強さ”を示すヤング係数も産地によって差があり、柏田木材が多く取り扱う奈良県の杉・桧は他産地のもよりヤング係数の値が大きい点が特徴です。
そのため、奈良県産の杉・桧は「強くて、たわみにくい建築木材」として幅広く活用されています。
※E(ヤング係数):材へ初期荷重がかかった際のたわみを数値化したもので、数字が大きいほどたわみに抵抗でき、小さいほどたわみやすいことを示します。
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スギとヒノキ|価格の違い
全国の市場における杉と桧の価格を比較すると、以下のようになります。
樹種 | 原木価格 | 製材価格 (正角乾燥材:厚10.5cm/幅10.5cm/長3.0m) |
---|---|---|
杉 | 10,500円~16,500円/㎥ | 84,300円/㎥ |
桧 | 15,000円~23,500円/㎥ | 103,000円/㎥ |
このデータからも分かる通り、杉よりも桧の方が原木価格で「1.4〜1.5倍」、製材価格で「1.2倍」ほど高いのが現状です。
それぞれの価格は変動していますが、杉・桧の価格差はここ10年ほど同じ推移を辿っています。
スギとヒノキは結局どちらを選べばいい?
結論から言えば、杉・桧どちらの方が良いということはありません。
それぞれ、製材した際の色味や質感が異なり価格差があるため、「施工部位・予算・産地」を総合的に見て樹種を選定しましょう。
その際には、同条件で杉・桧を客観的に見比べることが重要です。
柏田木材は、銘木として知られる「吉野杉・吉野桧」の産地に近い場所を拠点とし、良質な杉と桧を建築材料へ加工するメーカーです。
「杉と桧の違いをもっと知りたい」「杉と桧のどちらを選べばいいか迷っている」という方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
上質な“奈良県産”杉・桧を使った柏田木材の木質建材
私たち“柏田木材”は、1950年に奈良県で創業して以来、国産の良質な針葉樹を様々な建築木材へ加工販売する木質建材メーカーです。
その製品は、無垢材や集成材、框材、羽目板材、無垢フローリング、複合フローリングと多岐に渡り、多くの現場へご採用いただいております。
吉野杉・吉野桧はもちろん、その他産地を限定した地産材も取り扱っていますので、「その土地の人に愛される地産材を使った建物を実現させたい」方も、ぜひご相談ください。
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柏田木材が長年ご愛顧いただいている理由は、ずばり多彩で高品質な当社の技術力にあります。
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そのため、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫したサポートを提供できる点が弊社の強みです。
「こんな材料があればいいのに」というお悩みを解決するお手伝いをいたします。
まとめ
建築木材として多く使われる杉(スギ)と桧(ヒノキ)には、見た目や材質、価格において差があります。
また、同じ杉・桧でも育った場所によって特性が変わるため、ぜひ産地にもこだわってください。
“柏田木材”は、奈良県を拠点とし、高品質な原木から作る無垢材・集成材など多種多様な商品を取り扱っているからこそ、木材のプロとしてお客様のご予算・設計デザインに合う木質建材を提案いたします。
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