延焼ラインとは|建築基準法の定義・規制内容・緩和措置、外壁・軒裏の材料選定ポイント

延焼ラインとは|建築基準法の制限と対象になる地域・建物・部位、緩和措置、外壁・軒天の設計デザインにおけるポイント

建築基準法における防火規定を知る上で重要なキーワードとなるのが、「延焼ライン」です。

建築物の外装デザインを検討する際には、延焼ラインに関するルールを知っておく必要があります。

そこで今回は、延焼ラインの概要と制限の内容、対象となる地域・建物・部位について“木材のプロ”が詳しく解説します。

延焼ラインに関する緩和条件も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

コラムのポイント

⚫︎延焼ラインとは、火災時の延焼リスクを抑えるための防火規定に関するキーワードで、対象範囲内では外壁や軒裏の仕上げに関する制限が適用される可能性があります。

⚫︎建築基準法における防火規定を受ける建築物において、外装仕上げ材選定に注意が必要です。

⚫︎「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、産地にこだわった「無垢材・突板化粧板・不燃木材・集成材・ランバーコア」などを取り扱い、木質建材の製造から加工、塗装まで全て自社工場にて一貫して行っております。


延焼ラインとは|建築基準法における「延焼のおそれのある部分」

延焼ライン「延焼のおそれのある部分」とは

延焼ラインとは、建築基準法で定める防火基準にかかわるキーワードで、正式には「延焼のおそれのある部分」と呼びます。

その定義は建築基準法(第2条第1項第6号)に明記されており、要約すると以下のとおりです。

隣地境界線・道路中心線もしくは同一敷地内にある2つ以上の建築物※におけるそれぞれの外壁中心線から、1階部分は3m以内、2階以上は5m以下の範囲

※延べ面積の合計が500㎡以内の建築物は、1つとみなす

延焼のおそれがある部分
(引用:総務省消防庁|防火地域等における建築物の規制(国土交通省作成)

つまり、火災が発生した時に建築物が燃えて周囲へ炎が燃え広がり延焼するリスクが高い範囲を指します。

火災時に発生する炎は、地表から高いほど上昇気流が強まって周囲の酸素を巻き込みながら急速に燃え広がる性質を持つため、1階よりも2階以上の方が広い適用範囲とされています。

ちなみに、以下のような小規模建築物は「附属建築物」に該当し、防火性能がある場合は延焼ラインが発生しない場合があるため、事前に自治体の建築指導課などにご確認ください。

  • 物置・納屋・蔵
  • 独立型ガレージ・カーポート
  • 自転車置き場
  • ごみ置き場
  • マンションやビルなどに設けられる受水槽・貯水槽・浄化槽の上屋
  • ポンプ室
  • 母屋から離れた小規模の離れ
  • 温室・ビニールハウス
  • 独立型浴室・トイレ


延焼ラインの影響を受ける地域と制限の内容

延焼ラインの影響を受ける地域と制限の内容

街の大規模火災を防止するために、地方自治体が都市計画法に基づき定める「防火地域・準防火地域・法22条区域(屋根不燃区域)」では、建築物の延べ面積・階数に応じた防火制限が適用されます。

地域の種類特徴
防火地域・防火地域とは「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」として指定される地域

・駅前などの繁華街や建物密集地、幹線道路付近などが指定される
準防火地域・準防火地域も防火地域と同じく「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」として指定される地域

・防火地域の周囲にある商業地域や業務地区、居住地区が指定され、建築物の防火規定が防火地域よりやや緩い
法22条区域(屋根不燃区域)・正式名称は「建築基準法第22条指定区域」

・防火地域および準防火地域に指定されていない区域で、自治体が火災に対する配慮を求めると指定した地域

・火災の「飛び火」による延焼を抑制するために、主に屋根へ防火規定が適用される
(参考:都市計画法第9条21項建築基準法第22条

構造・外装に関する規定

防火地域・準防火地域・法22条区域内では、建物の延べ面積・階数に応じて、「耐火構造・準耐火構造・防火構造・準防火構造」にすることが義務付けられ、建築確認申請で審査されます。

構造の種類特徴
耐火構造・耐火性能(加熱開始後1〜3時間、加熱に対する非損傷性、遮熱性、遮炎性を確保できる性能)を持つと認められた構造

主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が「告示で定められた例示仕様」もしくは「国土交通大臣の認定を受けた材料を用いた仕様」であること

・延焼ライン内の外壁にある開口部には、防火設備※を設ける必要がある

→耐火構造の建物=耐火建築物
準耐火構造・準耐火性能(加熱開始後45〜60分間、加熱に対する非損傷性、遮熱性、遮炎性を確保できる性能)を持つと認められた構造

主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が「告示で定められた例示仕様」もしくは「国土交通大臣の認定を受けた材料を用いた仕様」であること

→準耐火構造の建物=準耐火建築物
防火構造・以下の防火性能を持つと認められた構造

【耐力壁(外壁)】:非損傷性、遮熱性が30分以上維持できること
【非耐力壁(外壁)】:遮熱性が30分以上維持できること
【軒裏】:遮熱性が30分以上維持できること

延焼ライン内の外壁および軒裏が、「告示で定められた例示仕様」もしくは「国土交通大臣の認定を受けた材料を用いた仕様」であること
準防火構造・以下の準防火性能を持つと認められた構造

【耐力壁(外壁)】:非損傷性、遮熱性が20分以上維持できること
【非耐力壁(外壁)】:遮熱性が20分以上維持できること

延焼ライン内の外壁が、「告示で定められた例示仕様」もしくは「国土交通大臣の認定を受けた材料を用いた仕様」であること
(参考:国土交通省|建築基準法制度概要集総務省消防庁|防火地域等における建築物の規制(国土交通省作成)国土交通省|建設省告示第1358・1359号

※防火設備:建築基準法・消防法で定める設備で、消防法においては自動火災警報器や消火設備、防火扉、排煙設備、避難上有効な窓や非常口などを指し、建築基準法においては防火戸・防火シャッター・網入りガラス・ドレンチャーなど、開口部において火炎を遮る設備を指す

上記からも分かる通り、構造の種類によって規制が適用される部位が異なる点がポイントです。

最も規制が厳しい防火地域においては、2階以上の建築物および延べ面積が100㎡超の建築物は全て「耐火構造・準耐火構造」のいずれかにしなくてはならず、平屋建ての附属建築物も延焼ラインに含まれる外壁・軒裏は、「防火構造」にする必要があります。

準防火地域は防火地域よりもルールが緩くなりますが、延べ面積が500㎡以下の平屋・2階建て建築物は、やはり延焼ラインに含まれる外壁・軒裏を「防火構造」にしなくてはいけません。

法22条区域では、原則として防火規定を受けるのは屋根だけですが、一般的な木造戸建住宅でも、延焼ラインに含まれる範囲では、自治体によって外壁に準防火構造が求められる場合があります。

(参考:建築基準法第23条

延焼ラインの構造に関する規定
(引用:総務省消防庁|防火地域等における建築物の規制(国土交通省作成)

特殊建築物の開口部に関する規定

特殊建築物とは、不特定多数が出入りし公共性が高く、火災時に周囲への影響が大きいと予測される以下の建築物を指します。

  • 学校(専修学校及び各種学校を含む)
  • 体育館
  • 病院・診療所(患者の収容施設があるもののみ)・ホテル・旅館・共同住宅・寄宿舎・下宿
  • 劇場・観覧場・集会場・展示場
  • 百貨店・市場・ダンスホール・遊技場・公衆浴場・飲食店・物品販売店・旅館
  • 工場・倉庫・自動車車庫・危険物の貯蔵場・と畜場・火葬場・汚物処理場
  • その他、上記に類する用途の建築物


これらの特殊建築物に当てはまる場合は、基準の規模を超える場合、主要構造部などに防火規制を受け、延焼ライン内の外壁にある開口部には防火設備が必要になります。

(参考:建築基準法第2・第27条

ちなみに、特殊建築物は内装制限の対象になるため、室内のデザインや仕上げ材選定にも注意が必要です。

▶︎おすすめコラム:〈内装制限〉建築基準法を分かりやすく解説|建物種類・不燃材料・2025年建築法改正についても

防火地域・準防火地域内の外壁に関する規定

防火地域・準防火地域では、全ての建物において延焼ライン内の外壁にある開口部には、防火設備を設置しなくてはいけません。

(参考:建築基準法第61条

具体的には、室内から周囲への延焼を防ぐために、該当する窓やドアなどの開口部に防火戸・防火シャッター・網入りガラスなどの設置が求められます。

(参考:建設省告示第1360号「防火設備の構造方法を定める件」

ポイント

防火地域・準防火地域・法22条区域内では、構造種別ごとに防火・耐火性能が定められ、全てに共通して延焼ライン内の外壁・軒裏が規定を受ける可能性があります。

そのため、外壁や軒裏の仕上げ材を検討する際には、防火材料(不燃・準不燃・難燃材料)の認定を受けた材料を選定することが重要です。



延焼ラインの緩和措置とは|制限を受けない建物の条件

延焼ラインの緩和措置

延焼ライン(延焼のおそれのある部分)には、いくつかの緩和措置が設けられています。

  • 延焼ライン内のうち、「防火上有効な公園・広場・川や、その他の空地・水面、耐火構造の壁などに面する部分その他これらに類するものに面する部分」は除く(建築基準法第2条第1項の6)→建物が空地などに面している方向のみ、周囲への延焼リスクが低いとして延焼ラインの規定が適用されない
  • 延焼ライン内のうち、「建築物の外壁面と隣地境界線等との角度に応じて、建築物の周囲において通常の火災で燃焼するおそれがないものとして国土交通大臣が定める部分」は除く(建築基準法第2条第1項の6)→建物の角度によって、延焼ラインの範囲が緩和(縮小)される
  • 延焼ライン内でも、「開口部を遮るように耐火構造の袖壁や塀を配置する」と、防火設備の設置が緩和(不要)になる可能性がある(建設省告示第197号)

※建築基準法において、水路や緑道などは道路としてみなし、延焼ラインが発生する

ただし、これらの緩和措置を利用できるのは建物全体ではなく、条件を満たした方向のみで、その他の面は規制の対象となるのでご注意ください。

▶︎おすすめコラム:【木造の耐火建築物】基準・関連告示を紹介|外壁の材料選びについても

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▶︎おすすめコラム:板張り外壁のメリット・デメリットとは?法22条地域・経年劣化・メンテナンス方法など


【不燃材料認定取得済み】高品質で多様な“柏田木材”の木質建材

高品質な“柏田木材”のLVS

柏田木材は、林業・製材業で世界的に有名な奈良県五條市で「無垢材・不燃木材・突板化粧板・不燃パネル・集成材」を製造する建材メーカーです。

弊社製品のうち、無垢材(羽目板)・不燃木材は、防火規定を受ける部分の外装(外壁・軒裏)仕上げ材にもご採用いただいております。

材料の種類外装材に採用する場合の注意点
無垢材(羽目板)・羽目板材そのものに防火(耐火)性能はないため、外壁や軒裏には、防火材料※と板張りの二重構造にすることで規定をクリアできる可能性があります

・国土交通大臣の認定を受けた下地材を使用することで、木板張りの防火構造認定を取得できる可能性があります(防火構造認定PC030BE-3789/4103)
不燃木材・雨ざらしの場所は、不燃薬剤が表面にしみ出て結晶化する「白華現象」が起きる可能性があります(意匠性の低下)▶︎半屋外(直接、日光や風雨の当たらない場所)のみ使用が可能です

・屋外に施工すると、水溶性不燃薬剤が空気中の湿気を引き寄せ、木材の含水率を高めてしまい、反りなどの変形をもたらすリスクがあります▶︎不燃塗装によってリスクを軽減できます

・白華現象は注入薬剤の種類によって軽減できます

※防火材料については「不燃材料とは|建築基準法による決まりと防火性能、認定製品を選ぶポイント」を併せてご覧ください。

ちなみに、弊社では防火材料の認定を受けた不燃突板化粧板(不燃パネル)も製造販売していますが、こちらは屋外へ施工できるものの、表面の突板が早く剥離したり劣化したりするため、推奨しておりません。

柏田木材・製品の特長

⚫︎レパートリー豊富な「塗装・表面加工ラインナップ」
⚫︎木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行うことによる「高い品質安定性の確保」
⚫︎木材産地に近い立地による「リーズナブルな価格の実現」
⚫︎SDGsやカーボンニュートラル実現に貢献できる「国産材(県産材・地域材)の活用」
⚫︎“こだわり”を実現できる「特注加工・開発支援・OEM製造」
⚫︎施工効率を高められる「自動倉庫管理のオンタイム納品」


柏田木材では、以下の木質建材を製造しておりますので、内装建材をお探しの方は、ぜひ弊社にお任せください。




まとめ

延焼ラインとは、火災時の延焼リスクを抑えるための防火規定に関するキーワードです。

延焼ラインの範囲内においては、外壁や軒裏の仕上げに関する制限が適用される可能性があります。

そのため、該当建築物の外装仕上げ材選定には注意が必要です。

柏田木材は1950年創業以来、時代に合わせて様々な木質建材の製造・販売を行ってきました。

奈良県産材をはじめとした各地の銘木を取り扱い、木質建材の製造から加工、塗装まで、全て自社工場にて行っております。

内外装の仕上げに用いる木質建材の選定でお悩みの方は、ぜひ柏田木材までご相談ください。

お問い合わせに関して

当社では主にメーカー様、商社様、施工業者様、設計事務所様からのお問い合わせを承っております。
専門的なご相談やご依頼は、こちらのフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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