【わかりやすく解説】クリーンウッド法ってどんな法律?概要・効果や問題点について
「クリーンウッド法」は、2016年に交付され、2017年から施行された新しい法律です。
まだ制定されて数年しか経っていないため、「聞いたことはあるがどんな法律なのか分からない」という方も多いでしょう。
しかし、木材を多く取り扱う建築業界においては、とても重要な内容です。
そこで、今回は「クリーンウッド法」ができた経緯や概要、問題点などを分かりやすく解説します。
● 「クリーンウッド法」は、国内外における“違法伐採”を撲滅するための法律で、木材を取り扱う全ての事業者に対して、木材の合法性を確認することが求められます。
● 木材の合法性を確保するためには、産地にこだわった木材を選ぶことが重要です。
● 私たち「柏田木材」は、1950年に奈良県で創業以来、県産材・地域材を利用した高品質な木質建材を製造しています。
コンテンツ
クリーンウッド法ができた経緯と概要
クリーンウッド法は、2017年に施行された法律で、正式名称を「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」と言います。
制定された経緯には、世界中で問題となっている「森林の違法伐採増加」が関係します。
2000年 | 沖縄県で開催されたG8サミットにて、初めて「森林の違法伐採」に関する議題が取り上げられる。 |
2005年 | イギリスで開催されたG8サミットにて、世界の主な木材輸入・消費国が違法伐採抑止強化に合意する。 |
この経緯をきっかけに、以下の点を目的として、世界中で違法伐採の取り締まりが進みました。
「合法的伐採の管理」
(違法伐採取り締まり)
- 許可された量・面積・区域を超えた伐採を撲滅する
- 所有権・伐採権に抵触する盗伐を撲滅する
- 許可証を偽造した伐採や木材取引を撲滅する
「地球温暖化防止・自然環境の保全」
- 無秩序な伐採による森林減少を防ぐ
「森林の持続可能性保持」
- 樹木の生育過程を見越した伐採計画を徹底する
- 盗伐などによる地域の収入流出を防ぎ、安定した森林経営を守る
「林産物の供給安定」
- 無秩序な伐採によるマーケットの混乱や価格高騰を防ぐ
「人権侵害抑止」
- 森林に住む先住民族などの権利を侵害しない
木材を取り扱う関連業者は、対象となる木材について、それが合法的に伐採されたものなのかを、確認する“責務”があるということです。
これは、SDGs(持続可能な開発目標)のうちの「つくる責任・つかう責任」にも該当します。
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クリーンウッド法の定義と対象
クリーンウッド法の条文では、事業者の責務として以下を定めています。
第5条
(引用:合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)
事業者は、木材等を利用するに当たっては、合法伐採木材等を利用するよう努めなければならない。
木材(木材及び家具などの木材加工品)を取り扱う事業者は、対象となる木材が「我が国又は原産国の法令に適合して伐採された樹木を材料とする木材」かどうかを確認することが求められます。
建築業界においては、該当する材料が多いため、特に強い意識が必要とされています。
法令で管理対象とされているものは、「木材及び、木材を加工し、又は主たる原料として製造した家具、紙等の物品であって主務省令で定められたもの」としており、建築資材では以下のようなものが該当します。
- 丸太
- 角材
- 合板
- 単板積層材・集成材・CLT
- 単板・挽板・突板
- チップ状又は小片状の木材・木質ペレット
- 木質系フローリング(基材のみに合板を用いているものも含む)
- 木質系セメント板
- サイディングボードのうち木材を使用したもの
一方で、下記の建築基準は、2023年時点では管理対象外となっています。
- パーティクルボード
- MDF
- 合板型枠
つまり、建築においては“管理対象外の材料を全く使わない”ということは考えにくいのです。
問題点を解決するための改正案|2025年より義務化、罰則規定も
2017年に施行されたクリーンウッド法ですが、運用から5年ほど経ち、幾つもの“問題点”が明らかになりました。
ポイントとなるのが、今までの条文では、あくまでも関連業者に求められたのは「努力義務」であるという点です。
また、クリーンウッド法に基づく登録事業者になっても、違法木材も取り扱うことができ、それに対する罰則もありませんでした。
そのため、法的拘束力や遵守義務への意識の低さが問題視されたのです。
そこで、2023年6月に「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、公布日から2年以内に施行されることが決まりました。
この改正案には、以下の点が盛り込まれています。
「木材関連事業者による合法性の確認義務」
木材関連事業者に対し、素材生産販売事業者又は外国の木材輸出事業者から木材等を購入する際に、「原材料情報の収集・合法性の確認」「記録の作成・保存」「情報の伝達」を義務化
「素材生産販売事業者による情報提供義務」
素材生産販売事業者に対して、「伐採届等の情報提供」を義務化
「違反者への罰則」
指導・助言、勧告、公表、命令、命令違反を怠った事業者への罰則措置
※木材関連事業者:木材加工・流通に関係するあらゆる事業者及び、紙や家具の取扱事業者、木材を取り扱う建設業者など
※素材生産販売事業者:森林所有者から委託を受けて伐採した樹木を販売する事業者
今回の改正案は、輸入材についてより厳格化され、木材の輸入や製材に関わる事業者に木材の仕入れ先から証明書を取得し、原産国の法令に従って伐採されたか確認することが義務付けられる内容になりました。
違反した事業者は、事業者名の公表や過料などが課せられます。
合法木材かどうかを確認する方法
ここまで、クリーンウッド法の概略について解説しましたが、一体、どのように木材の合法性を確認すればいいか、いまいち分かりにくいですよね。
木材の合法性を確認する上でポイントとなるのが、購入先です。
「第一種木材関連事業」と「第二種木材関連事業」によって、チェックポイントが異なります。
「第一種木材関連事業」に該当する事業者から木材を購入する場合は、以下の情報を入手しなくてはいけません。
- 種類及び原材料となっている樹木の樹種
- 原材料となっている樹木が伐採された国又は地域
- 重量、面積、体積又は数量
- 対象樹木が法令に適合して伐採されていることの証明
「第二種木材関連事業」にあたる事業者から、木材及び木材加工品を譲り受ける場合は、以下の書類を入手することが義務付けられます。
- その第二種木材関連事業者が譲り受けた木材に関して、第一種木材関連事業者が合法性を確認できた旨を記載・記録した書類
- その第二種木材関連事業者が合法性の確認を行った旨及び合法性の確認ができた旨を記載・記録した書類
つまり、どこから木材や木材加工品を購入したも、必ずそのルーツが証明できる情報を確認しなくてはいけないということです。
クリーンウッド法では、積極的に合法伐採木材を取り扱う木材関連事業者を「クリーンウッド法登録事業者」として認定する制度が設けられています。(参考:林野庁|クリーンウッド法に基づく木材関連事業者の登録一覧)
ただし、ここで注意しなくてはいけないのが、登録業者以外でも合法伐採木材を取り扱う企業が多数あるという点です。
なぜなら、クリーンウッド法登録事業者への登録には、労力や時間がかかり、中小企業ですとなかなか対応しきれないためです。
また、現在の法律では、完璧に合法木材かどうかを確認できません。
そのため、木材や木材加工品を選ぶ際は、メーカーなどに詳細を問い合わせることが重要です。
今後は、森林のサスティナビリティを守る上でも、設計者が材料を選ぶ際には、デザインや性質だけではなく、合法性まで確認することが必須と言っても過言ではありません。
合法伐採された木材を使うことで、社会貢献にも繋がり、会社やプロジェクトの価値向上につながります。
産地にこだわった“柏田木材”の内装建材
私たち“柏田木材工業株式会社”は、建材を中心に木製品の開発・製造支援を行う会社です。
1950年創業以来、高品質で施工面・コスト面まで考慮した商品をご提供し続けてきました。
産地にこだわり、違法伐採根絶に向けて、積極的に取り組んでいます。
自社製品の製造販売だけではなく、木製製品のOEM・特注製造・研究開発を通じて、お客様の木材に関わるビジネス課題を解決いたします。
● 加工・接着・着色・塗装を自社にて一貫対応いたします。
● ウレタン塗料だけではなく、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料など様々な塗料に対応いたします。
● お客様からの材料支給にも対応いたします。
● 加工前の材料保管・加工後の製品保管を自社倉庫にて行います。
● お客様のご要望に合わせて樹種・形状・塗装仕様のご提案をいたします。
“県産材・地域材”の活用
柏田木工所として創業して以来培った知識とネットワークを活かし、県産材や地域材の利用にも積極的に取り組んでいます。
以下のような地産材を用いた実績がございますので、ぜひご相談ください。
- 奈良県産杉
- 奈良県産桧
- 信州産唐松
- 吉野杉
- 吉野桧
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立地による“リーズナブルな価格”の実現
私たちが工場を構えるのは、奈良県五條市。
銘木として知られる吉野杉の産地とも近い、林業・製造業が盛んな地域です。
そのため、良質な木材を最低限の輸送コストで入手できるため、お客様にもコスパの高い木質内装建材をご提供できます。
倉庫管理による“施工効率性アップ”
羽目板材などは長尺な建材であるため、現場での置き場確保にお困りのケースは少なくありません。
早めに納品すれば、作業スペースに影響がでてしまうこともあるでしょう。
柏田木材では、材料の一時保管場所として、自動倉庫による管理を導入しています。
必要なものを必要なタイミングで現場へ納品できるため、施工効率性アップが期待できるだけではなく、工期遅延のリスクを防げます。
全工程を自社工場で行う“品質安定性”
木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行っているため、品質のばらつきや手作業による人工の増加、工程間での運搬による時間や費用のロスを最小限に抑えられます。
全工程を自社で管理しているため、高い品質安定性を保証できる点が私たちの誇りです。
多彩で環境に配慮した“塗装レパートリー”
塗装も自社で行っているため、仕上げ選定についてもぜひご相談ください。
複数種の塗装サンプルの作成や、オリジナル着色のご提案など、豊富な塗装レパートリーを組み合わせ、お客様のイメージを実現化するお手伝いをいたします。
また、「バイオマスボイラー」による自然を無駄にしないクリーンな熱源確保や、水性塗料を用いた着色技術、高耐久で低汚染なUV塗装・オスモUV塗装の導入によるVOC削減など、環境へ配慮した技術も積極的に導入しています。
工期・予算・デザインに合わせた“材料選定のご提案”
柏田木材は、自社製品を販売するだけに留まらず、お客様のご要望や課題を伺いながら仕様を共に決めていく“開発支援”や、“特注製造”も行っています。
そのため、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫したサポートをご提供。
「こんな材料があればいいのに」というお悩みを解決するお手伝いをいたします。
まとめ
違法伐採は、地球環境を破壊するだけではなく、森林のある地域の経済を揺るがし、住む人の人権を脅かす恐れもあります。
そのため、世界で協力して撲滅に向けて取り組む必要があるのです。
国単位だけではなく、木材を取り扱うメーカーや販売店、施工する建設会社、材料選定をする設計者に至るまで、業界全体の意識改革が求められていると言っても過言ではありません。
材料選定をする際は、産地にこだわった材料を選びましょう。
“柏田木材”が、長年培った経験と知識を活かし、お客様のご予算・設計デザインに合う木質建材をご提案いたします。
「木質系建材を使いたいが既製品では難しい」
「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」
「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」
「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」
そんなお悩みを抱えている企業様を、私たちがしっかりサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。