突板にデメリットはあるのか｜フローリング・家具・テーブル天板の注意点、無垢材・挽板との違いを解説

突板（つきいた）は、フローリングや壁・天井の仕上げ材、家具、内装ドアなどの表面材に用いられ、無垢材と同様に木質建材に欠かせない素材です。

そこで気になるのが、突板のデメリットや欠点ですよね。

今回は1950年創業の柏田木材が「突板」のメリット・デメリットと材料選びの注意点について詳しく解説します。

突板貼りの寿命などお客様からよくいただく質問も紹介しますので、設計デザインの材料を検討している方はぜひ最後までごらんください。

突板とは｜特徴とメリット

突板とは、丸太を厚さ0.2〜0.3mmの薄いシート状にスライスした素材で、それだけでは建築材料として施工できません。

合板やMDF、不燃パネル、粘着テープなどの基材（きざい）と接着し、フローリング・化粧板・化粧シートとして主に内装材や家具の材料に使われます。

突板フローリングや突板化粧板の主なメリットは以下の通りです。

• 木目や色味は、無垢材に近い
• 天然木の使用量が少ないため、無垢材よりも温度や湿度の変化に伴う変形が起こりにくい
• 強度や形状を保ちながらも、材料を薄く軽量化できる
• 天然木の使用量が少ないため、希少な樹種・高価な樹種でも材料コストを抑えられる
• 幅広・大判の材料が手に入りやすい
• 同じ品質・見た目の材料を大量に揃えやすい
• 熱処理によってR（曲線）加工された突板化粧板や、裏に粘着テープを貼り合わせた突板シートは、曲面への仕上げに対応できる
• 基材の種類によっては不燃認定を受けられる

このような点から、突板貼りの製品は住宅・非住宅と建物の規模や用途を問わず、幅広いシーンで選ばれています。

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突板のデメリットとその対策

施工性が高くコスト面でも有利な突板貼りの製品ですが、内装材として選定する際には事前に知っておいていただきたいデメリットや注意点があります。

対策方法と併せてポイントを押さえておきましょう。

乾燥によってひび割れる可能性がある

無塗装の突板フローリングや突板化粧板は、施工後、乾燥によって表面に細かいヒビが入る可能性があります。

基材まで割れるケースはほとんどありませんが、表面のヒビは見た目を損ないます。

※オスモUV塗装：数少ない紫外線硬化型の自然塗料（詳しくは「乾燥時間がいらない自然塗料、オスモUVオイル」を紹介をご覧ください）

▶︎おすすめコラム：【木材】現場塗装・工場塗装はどちらがいい？それぞれのメリット・デメリットと最新塗料を解説

接着剤の劣化により基材から剥がれる可能性がある

フローリングや化粧板の表面材である突板は、基材と接着剤によって貼り合わせられますが、その接着剤が経年劣化すると端部から剥離する可能性があります。

安価な突板貼りの製品では、早いと10〜15年で表面が剥がれてくるケースもあるのです。

※農林水産規格では突板化粧板を含む合板の接着基準が定められており、「湿潤状態となる場所（環境）」もしくは「時々、湿潤状態となる場所（環境）」において一定強度を保ち、50mm以上剥離しないこととしていますが、表面材の軽微な剥離は認定条件に含まれません。

（参考：農林水産省｜日本農林規格JAS0233）

使用環境によって接着剤の劣化速度は変わり、高温多湿の環境や直射日光が当たりやすい場所では接着剤の寿命が縮まるので注意しましょう。

表面についたキズ・凹み・汚れの補修が難しい

突板はとても薄い素材であるため、それを表面材にしたフローリングや化粧板は、キズやシミがついても無垢材・集成材のように研磨補修できません。

※突板貼りの表面を研磨すると、基材が露出するため

そのため、フローリングや家具、ドア、内装仕上げ材に採用する際には表面の摩耗性を高める必要があります。

▶︎おすすめコラム：「木材の表面を守るUV塗装」特徴や種類、ウレタン塗装との違いについて解説

木口の処理が必要

突板を表面材としたフローリングや化粧板は、木口（こぐち）を見ると、層がはっきり分かれていることが分かります。

そのため、木口が見える納まりの場合は、何かしらの処理が必要です。

木口は衝撃に弱い

突板を貼り合わせたフローリングや化粧板は、木口方向からの衝撃に弱く、表面材の剥離や割れなどのリスクがあります。

施工した状態では木口から衝撃を受ける可能性は低いですが、運搬・施工の場面においては細心の注意が必要です。

木目の継ぎ目が出る

製品によっても異なりますが、突板は幅が決まっており、それ以上の幅の表面積がある材料に用いる場合は何列か継ぎ合わせます。

そのため、突板の継ぎ目が現れて、無垢材のようなダイナミックな木目を表現できません。

突板の幅は木目によって異なりますが、「板目※」で100〜200mm程度、「柾目※」で70〜100mm程度です。

※板目（いため）：部分的に輪っか状の模様が現れ、柾目よりもナチュラルな印象に仕上がる
※柾目（まさめ）：年輪の筋に直行して切り出すため、線状の木目になり、シンプルですっきりとした印象に仕上がる

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無垢材と同じく耐水性が低い

突板そのものは天然木なので、無垢材と同様に無塗装の状態では耐水性がありません。

水分を吸収してその後乾燥する過程で、ヒビ・シミが目立つ可能性があるので注意しましょう。

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無垢材と同じく経年変化（変色）する

突板は紫外線を受けると樹種によって濃色化・単色化するため、照明光や太陽光が長時間当たる場所に施工する場合は事前に変色の具合も確認しましょう。

無塗装品は乾燥によって、表面がささくれ立つ可能性があります。

クリアのウレタン塗装をする場合は、黄変※（黄ばみ）にも注意が必要です。

※黄変（おうへん）：ウレタン塗料に含まれるMDI（ジフェニルメタンイソシアネート）が紫外線に当たって酸化反応を起こして黄色く変色する現象

▶︎おすすめコラム：〈ウレタン塗装＋木材〉メリット・デメリットや経年変化、その他塗料との違いを解説

樹種によっては無垢材よりも価格が高い

フローリング材や化粧板に加工する場合、突板を使うと天然木の質量を少なくできるため、無垢材よりも価格を抑えられるのが基本です。

ただし、杉・桧・松などの安価な針葉樹は、突板貼りの製品として加工することにより、無垢材よりも高価になる可能性があります。

※針葉樹でも無地（完全に節が現れない）の材料は、突板貼りの方が安価になる場合が多いです。

突板貼りのフローリング・家具の材料・テーブル天板を選ぶ際の注意点

突板貼りのメリットとデメリットを踏まえて、フローリング・家具の材料・テーブル天板を選ぶ際の具体的な注意点を紹介します。

フローリング

フローリングは摩擦を受けて湿気の影響を受ける可能性があり、さらにインテリアデザインにおいて重要なポイントになります。

そのため、突板貼りのフローリング（複合フローリング）を選ぶ際には、以下の点を押さえましょう。

• 無塗装品は汚れが定着しやすい
• 窓辺の床は乾燥・日焼けしやすいので、乾燥防止・日焼け抑制の塗装オプションが選べる材料がおすすめ（汚れ・キズ防止や滑り止め機能をプラスできる塗料も）
• 無垢フローリングと複合フローリングの両方を比較検討する（メリットとデメリットがそれぞれ異なるため）
• フローリングと壁・天井に同系の木目を取り入れるインテリアデザインが人気（色・素材を合わせるリンクコーディネート）

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家具の材料

突板化粧板は造作家具の材料としても広く採用されていますが、設計デザインを忠実に再現できて長持ちする家具にするためには、材料選定の際に以下の点を確認する必要があります。

• プランに合う厚さの突板化粧板を選ぶ（厚さのレパートリーが豊富な製品がおすすめ）
• 化粧板とカウンター材・棚板の素材を揃えられる製品を選ぶ（トータルコーディネートが可能）
• 家具の表に出る部分や人の手に触れる部分には耐摩耗性・耐久性が高いUV塗装化粧板を選ぶ
• できるだけ化粧板の木口が見えない納まりにして、見える場合は処理方法を選べる化粧板を選ぶ

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テーブル天板

テーブルの天板は熱い物を置いたり水拭きしたりするなど、過酷な環境にさらされます。

そのため、以下のポイントを押さえて材料選定しましょう。

• 比較的耐水性が高いウレタン塗装品を選ぶ（塗膜が厚く均一な工場塗装品がおすすめ）
• 無垢材と突板貼りで迷う場合は、天板サイズの重さや質感を確認する（無垢材は重く大判材は高価だが質感が柔らかくキズ補修しやすく、突板貼りは軽量で大判材もリーズナブルだが触り心地は固めでキズ補修が困難）
• 他の造作家具や内装仕上げ材と木目や色味を揃えたい場合は、サイズ・形状のレパートリーが豊富な突板貼り製品がおすすめ

【FAQ】突板に関する“よくある質問”

柏田木材は、1950年に林業・製材業が盛んな奈良県で創業して以来、高品質な「フローリング・無垢材・突板化粧板（不燃・非不燃）・不燃木材・集成材」を取り扱ってきました。

そこで、弊社に寄せられる突板に関する質問を紹介します。

Q.「突板と挽板の違いは？どちらがいい？」

A.「挽板（ひき板）は2〜3mmの板状に切り出した素材で、突板と同様にフローリングや化粧板の表面材に用いられます。」

突板と挽板はどちらも見た目は無垢材に近く、同じような目的で内装仕上げ材に加工されますが、特徴に違いがあります。

突板	【質感・触り心地】挽板より硬い 【変形】挽板より湿度変化による変形リスク（反り・伸縮・ヒビ等）は低い 【加工】挽板より細かい加工をしやすい 【表面補修】挽板より表面材として薄いため、研磨補修しにくい
挽板	【質感・触り心地】突板より柔らかく、無垢材に近い 【変形】突板より湿度変化による変形リスク（反り・伸縮・ヒビ等）が高い 【加工】突板より細かい加工をしにくい 【表面補修】突板より表面材が厚いため、多少は研磨補修が可能

柏田木材では一部の樹種で挽板の取り扱いもありますので、お気軽にご相談ください。

Q.「突板貼りの複合フローリングや突板化粧板の寿命はどのくらい？」

A.「一般的に、複合フローリング（突板貼り）の寿命は『10〜20年程度』、造作家具などに使われる突板化粧板の寿命は『10〜15年』程度です。」

無塗装品を採用する場合や、湿度・温度の変化が激しい場所では、目安の寿命よりも早く劣化する可能性があります。

用途（施工部位）や使用環境によって表面（突板）の寿命は異なりますので、詳しくはメーカーにご確認ください。

突板貼りのフローリングや化粧板を長持ちさせるためには表面保護が必要で、塗膜が均一な工場塗装品がおすすめです。

【塗料・色・艶を選べる】レパートリー豊富な “柏田木材”の木質建材

柏田木材は、林業・製材業で世界的に有名な奈良県五條市で「無垢材・不燃木材・突板化粧板・不燃パネル」を取り扱う建材メーカーです。

「無垢フローリング材と複合（突板）フローリング材で迷っている」「どんな木質仕上げ材がベストか知りたい」という方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

無垢・複合フローリング

対応樹種：杉・桧・唐松

杉

種類	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
規格サイズ	12・15	120	1960・3960 1950・3950（厚み15のみ、エンドマッチ付き）	・無塗装 ・UV塗装 ・ウレタン塗装 ・オスモUV塗装（複合フローリングは表面の突板が0.55mm以上から対応可能）
特注サイズ	12〜	70〜	900〜

桧

種類	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
規格サイズ	15	110	1960・3960 1950・3950（エンドマッチ付き）	・無塗装 ・UV塗装 ・ウレタン塗装 ・オスモUV塗装（複合フローリングは表面の突板が0.55mm以上から対応可能）
特注サイズ	12〜	70〜	900〜

唐松

種類	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
規格サイズ①	15	105・140	1950・3900 1940・3890（エンドマッチ付き）	無塗装 UV塗装 ウレタン塗装 オスモUV塗装
規格サイズ②	15	120	1820（エンドマッチ付き）

無垢材（羽目板）

対応樹種：杉・桧・唐松

樹種	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
杉・桧	10〜18mm	70〜180mm	1,500〜4,100	・無塗装 ・ウレタン塗装 ・オイル塗装 ・UV塗装 ・オスモUVオイル塗装
唐松	要相談	要相談	要相談

突板化粧板（非不燃・不燃）

対応樹種：杉・桧・米栂・米松・オーク・バーチ・メープル・ウォルナット・チーク・チェリー・アッシュ・カリン・カバなど40樹種以上

【不燃タイプ】

種類	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
規格サイズ	6・9	450	1818・2424	・ウレタン塗装
特注サイズ	3〜90	〜1,220	〜2424

【非不燃タイプ】

種類	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
規格サイズ	6・9	450	1818・2424	・UV塗装 ・ウレタン塗装 ・無塗装
特注サイズ	3〜90	〜1,220 （UV塗装品は60〜450）	〜4000 （UV塗装品は1500〜4000）

不燃木材

対応樹種：杉・桧

種類	厚みmm	幅mm	長さmm	塗装
羽目板	12～90	～450	1500～	・無塗装 ・不燃ウレタン塗装（白華抑制タイプ）

ルーバー

無垢材・化粧貼り・集成材

厚み（mm）	20〜90
幅（mm）	45〜450
長さ（mm）	1500〜4000
塗装	・無塗装 ・ウレタン塗装 ・UV塗装 ・オイル塗装 ・屋外用塗装　など
樹種	【無垢材】 ・杉 ・桧 【化粧貼り】 ・杉 ・桧 ・オーク ・バーチ ・メープル ・ウォルナット　など 【集成材】 ・杉 ・桧 ・オーク ・アッシュ ・ゴム　など

不燃木材

厚み（mm）	20〜90
幅（mm）	〜450
長さ（mm）	1500〜
塗装	・不燃ウレタン塗装
タイプ	・レギュラータイプ ・白華抑制タイプ
樹種	・杉 ・桧

カウンター・棚板

厚み（mm）	20〜60
奥行き（mm）	45~450
長さ（mm）	1500~4000
塗装	・無塗装 ・ウレタン塗装 ・UV塗装 ・オイル塗装 ・ノンスリップ塗装 ・耐熱塗装　など
樹種	【集成材タイプ】 ・杉 ・桧 ・オーク ・アッシュ ・ゴム　など 【突板貼りタイプ】 ・オーク ・アッシュ ・ウォルナット ・メープル ・バーチ　など

まとめ

突板は、天然木の魅力を活かせる内装仕上げ材に欠かせない素材ですが、突板貼りのフローリングや化粧板を採用する際には、知っておいていただきたいデメリットや注意点があります。

フローリングや家具の材料、テーブルの天板などを検討する際には、用途別のポイントを押さえて材料を選定しましょう。

柏田木材は1950年創業以来、時代に合わせて様々な木質建材の製造・販売を行ってまいりました。

奈良県産材をはじめとした各地の銘木を取り扱い、木質建材の製造から塗装まで、全て自社工場にて行なっております。

無垢材・不燃木材、不燃・非不燃突板合板の選定でお悩みの方は、ぜひ柏田木材までご相談ください。