突板の厚みはどのくらい?無垢材・挽板との違いとフローリング・合板の種類を解説

突板(ツキイタ)は化粧板などの表面材に用いられる素材ですが、その厚さによって特徴は異なります。
また、実は同じ木質建材である無垢材や挽板(ヒキイタ)とは違いがあるため、材料選定の際にはそれぞれのメリットとデメリットを知っておくことが肝心です。
そこで今回は、「突板」の厚さや無垢材・挽板との違い、フローリング・合板の種類について、“木材のプロ”が詳しく解説します。
突板の経年変化や不燃認定など、多くの方からいただく質問にもお答えしますので、設計デザインの材料を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
● 突板はフローリングや合板(化粧板)の表面材に用いられる材料で、厚さによって特徴は異なります。
● 突板は無垢材や挽板と比べて、優れる点と劣る点があります。
●「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、高品質な木質建材や技術開発支援に努め、無垢材・不燃木材・突板化粧板(非不燃・不燃)の全てを取り扱っています。
コンテンツ
突板(ツキイタ)とは|厚みの種類と特徴

突板とは、天然木を薄くスライスしたシート状の素材で、そのままで使われるのではなくフローリング材や合板などの表面材に用いられます。
突板は厚さによって主に4種類に分けられます。
突板の種類 | 厚さ |
---|---|
薄突板 | 0.18~0.30mm |
厚突板 | 0.40~0.60mm |
本厚突板 | 0.60~0.80mm |
特殊厚突板 | 1.00~2.00mm |
「突板が厚い」
- 厚くなるほど無垢材の量が増えるので、価格が高くなりがち
- 無垢材の触り心地に近づく
- 耐傷性や耐摩耗性が高い
- 温度・湿度変化による伸縮で割れるリスクが高まる
- 様々な基材に接着できるが、シート材とは貼り合わせられない
(集成材や合板など小さな凹凸がある材料に接着しても、平滑な見た目に仕上がる)

「突板が薄い」
- 薄くなるほど無垢材の量が少ないので、価格を抑えられる
- 触り心地は硬く冷たくなる
- 耐傷性や耐摩耗性が高い
(ただし、表面塗装でその点はカバー可能) - 温度・湿度変化による伸縮で割れるリスクは低くなる
- 貼り合わせられる基材は限られるが、曲面に施工可能なシート材にも加工可能
(MDFなど表面が平滑な材料には接着できるが、集成材や合板に接着すると凹凸が表面に現れてしまう)
これらの特徴から、質と価格のバランスから建築用化粧板や合板には主に「薄突板(厚さ0.18~0.30mm)」が用いられます。
ただし、厚い突板を用いながら割れのリスクを軽減する方法として、複数の突板を貼り合わせる方法もあります。
例えば、0.5mm・1mmの突板を2枚張り合わせることでトータルの厚さは1mm・2mmになりますが、1枚の突板(1mm・2mm厚)よりも割れるリスクを抑えられるのです。
ただし、高い接着技術がないと突板同士が剥離する可能性があるため、取り扱える業者は限られます。
「柏田木材」は、長年培った“木材の質を見極める技術”と“広いネットワーク”を活用し、高品質の複層単板(複数枚の突板を貼り合わせた素材)を仕入れ、デザイン性・耐久性の高い突板化粧板を製造しております。
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突板と無垢材・挽板との違い

突板と同じく美しい木目を持つ建築材料として、無垢材と挽板が挙げられます。
それぞれ突板と比べて「優れる点・劣る点」がありますので、材料選定の際にはポイントを押さえておきましょう。
無垢材との違い
無垢材は天然木を様々なサイズにカット加工した建築材料で、別の材料と貼り合わせず(※)パネル材として使用可能です。
※突板は“素材”であり、基材と貼り合わせて初めて建築材料として施工できるようになります。
突板と比べて優れる点 | ●触り心地が柔らかく冷たくない ●調湿性や吸音性、吸光性がある (突板にもあるが性能は低い) ●樹種によっては“木の香り成分”によるリラックス効果がある (突板にもあるが効果は低い) ●表面に深いキズがついても研磨補修できる (突板は基材と素材が異なるため研磨補修できない) ●厚さやサイズは加工次第なので、選択肢が豊富 ●現場塗装できる塗料が豊富 (突板は塗料が限られる) |
突板と比べて劣る点 | ●温度や湿度の変化によって変形(反り・ねじれ・割れ・伸縮)しやすい ●樹種によっては重くて施工効率が落ちる (比重が小さい樹種は突板の方が重くなる) ●樹種によっては価格が高い (安価な樹種は突板の方が高価になるので要注意) ●良質で木目や色合いの近い材料を大量に確保しにくい (突板は1本の丸太から広い面積を製造できる) ●薄くしすぎると十分な強度を発揮できない |
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挽板との違い
挽板とは、天然木を厚さ3mm程度の薄い板状にスライスした素材で単体では施工できず、用途は突板と似ておりフローリング材や合板の表面材に用いられます。
突板と比べて優れる点 | ●触り心地が柔らかく冷たくない (無垢材よりも突板に近い) ●調湿性や吸音性、吸光性がある (無垢材よりも突板に近い) ●樹種によっては“木の香り成分”によるリラックス効果がある (無垢材よりも突板に近い) ●表面についたキズが浅ければ、研磨補修できる (深いキズは突板と同様の理由で研磨補修できない) |
突板と比べて劣る点 | ●温度や湿度の変化によって変形(反り・ねじれ・割れ・伸縮)しやすい (無垢材よりリスクは低いが、突板よりは高い) ●価格が高い (場合によっては無垢材よりも高くなる場合も) |
「柏田木材」は無垢材・不燃木材・突板合板(不燃・非不燃)の全てを取り扱っておりますので、木質系建材の選定にお悩みの方はお気軽に弊社までご相談ください。
突板フローリングと突板合板|厚みの種類

日本で使用される突板は、厚いものでも2mm程度なので、突板自体の厚みはフローリングや合板の厚さにそれほど影響はありません。(※)
※突板の厚さを選ぶ際は、主に材料コストと質感が重視されます。
そのため、フローリングや合板の厚みは基材の種類によって異なります。
突板フローリングの厚み
突板フローリングの厚みは3〜15mmのレパートリーがあり、12mmが標準的な厚みです。
3mm程度の薄いフローリング材は、主にリフォームなど既存床へ上貼りするケースに採用されます。
厚みによって「耐久性・踏み心地・吸音性・施工性」に違いがあるので注意しましょう。
耐久性 | 厚いほど耐久性は高い |
踏み心地 | 厚いほど踏み心地が良く、足腰への負担が少ない |
吸音性 | 厚いほど足音が下に響きにくい |
施工性 | 厚いほど設計納まりが限定され、細かく加工しにくい |
突板合板の厚み
突板合板(突板化粧板)の厚みは、基材の種類によって変わります。
- 非不燃タイプ=MDF(中質繊維板)・木質合板・シート材(※)など
- 不燃タイプ=火山性ガラス質複層板などの不燃パネル
※シート材:粘着シートを指し、曲面や細かい部分に使用され、厚みは1mm以下になります。
一般的な厚さは6mm・9mmで、特注によって3mm・12mm・15mmと薄くしたり厚くしたりすることも可能です。
合板の場合は基材の種類によって耐久性・吸音性・施工性は異なりますので、事前にメーカーへ詳細を確認しましょう。
「柏田木材」は、突板製品の加工を全て自社工場で行なっているため、細かい特注やOEM製造にも対応できます。
【FAQ】突板に関するよくある質問

ここでは、突板について多くのお客様よりいただくご質問にお答えします。
Q.「突板は経年劣化する?」
突板も無垢材と同様に紫外線による褪色や変色(濃色化・淡色化)が起こります。
また、直射日光が長時間当たると、乾燥してヒビ割れする可能性もあるため注意が必要です。
ただし、塗装によって日焼け(※)や乾燥を防止できるため、材料選定の際には表面塗装の種類にもこだわりましょう。
※不燃突板化粧板には、日焼け防止塗装はできません。
安価な突板化粧板は経年によって接着剤が劣化して剥離するケースもあるので、長持ちさせたい場合は良質な材料選定も重要になります。
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Q.「突板化粧板はどうして不燃認定を受けられるの?」
突板は不燃処理されていない木材から作られますが、とても薄く火災時でもすぐに消失することから、基材が不燃材料であれば国土交通大臣の個別認定を受けられます。
柏田木材の「天然木突板貼り不燃パネル(不燃突板化粧板)」は、不燃認定(NM-1276)を取得した不燃材料で、規格サイズ・特注サイズともに40樹種以上の突板に対応しております。
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Q.「突板フローリングや突板合板は塗装できる?」
突板フローリングや突板合板への塗装は、工場塗装が原則(※)です。
※無塗装の不燃木質パネル材も出荷可能ですが、現場塗装すると国土交通省の監査で指摘を受け、不燃材料として認められない可能性があるためご注意ください。
工場塗装は機械による均一でムラのない塗装が可能で、天候に左右されないため工程管理しやすく、さらにUV塗装などの特殊塗装にも対応できます。
柏田木材では、特殊塗装も含めた塗装工程を全て自社工場で行っており、オリジナル色の調色や艶の調整、環境配慮型塗料の選定も可能です。
種類 | 塗装レパートリー |
---|---|
フローリング 非不燃突板合板(化粧板) | オイル塗装 ウレタン塗装(クリア・着色) UV塗装 ※上記以外の特殊塗料も取り扱い可能 |
不燃突板合板(化粧板) | ウレタン塗装(クリア・着色) ※オイル塗料とUV塗料は、加熱時に表面温度が上がるため、不燃・準不燃・難燃認定を受けられない |
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突板合板・無垢材どちらも“柏田木材”へご相談ください

柏田木材は、無垢材・不燃木材・突板化粧板(非不燃・不燃)の全て扱っているからこそ、お客様のご要望やプラン・現場の条件に最適な材料を提案できます。
● レパートリー豊富な「塗装・表面加工ラインナップ」
● 木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行うことによる「高い品質安定性の確保」
● 木材産地に近い立地による「リーズナブルな価格の実現」
● SDGsやカーボンニュートラル実現に貢献できる「国産材(県産材・地域材)の活用」
● “こだわり”を実現できる「特注加工・開発支援・OEM製造」
● 施工効率アップにつながる「自動倉庫管理のオンタイム納品」
無垢材(羽目板)

対応樹種:杉・桧・唐松
樹種 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
杉・桧 | 10〜18mm | 70〜180mm | 1,500〜4,100 | 無塗装 ウレタン塗装 オイル塗装 UV塗装 オスモUVオイル塗装 |
唐松 | 要相談 | 要相談 | 要相談 |
突板化粧板(非不燃・不燃)

対応樹種:杉・桧・米松・オーク・バーチ・メープル・ウォルナット・チーク・チェリー・アッシュ・カリン・カバなど40樹種以上
【不燃タイプ】
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
規格サイズ | 6・9 | 450 | 1818・2424 | ウレタン塗装 |
特注サイズ | 3〜90 | 〜1,220 | 〜2424 |
【非不燃タイプ】
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
規格サイズ | 6・9 | 450 | 1818・2424 | UV塗装 ウレタン塗装 無塗装 |
特注サイズ | 3〜90 | 〜1,220 (UV塗装品は60〜450) | 〜4000 (UV塗装品は1500〜4000) |
不燃木材

対応樹種:杉・桧
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
羽目板 ルーバー | 12~90 | ~450 | 1500~ | 無塗装 不燃ウレタン塗装(白華抑制タイプ) |
まとめ
突板の厚さは何段階かあり、厚い・薄いものでは特徴やメリット・デメリットが異なります。
触り心地・コスト・施工性のバランスに加えて、突板フローリング・突板合板の品質や表面塗装にもこだわりましょう。
柏田木材は1950年創業以来、時代と共に様々な木質建材の製造・販売を行ってまいりました。
無垢材から不燃木材、不燃・非不燃突板合板まで多彩な製品を取り扱っていますので、木質材料の選定についてぜひご相談ください。