白木(しらき)木材|特徴からメリット・デメリット、種類・特徴・塗装まで徹底解説

和室建築などでよく見かける白木(しらき)ですが、洋風なインテリアにも多く採用されます。
しかし、白木には思わぬデメリットもあるため注意が必要です。
そこで今回は、「白木(しらき)」木材の特徴からメリット・デメリット、建材を選ぶコツについて詳しく解説します。
おすすめの内装建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
● 白木材は、天然木の持つ美しい色合いや木目と滑らかな質感を持つ魅力的な建築材料です。
● 白木材を採用する際には、デメリットや注意点を踏まえて、場合によってはそれらを解決できる他の木質建材を採用しましょう。
●「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、高品質な木質建材や技術開発支援をお客様に提供しております。
コンテンツ
白木とは

白木(しらき)とは、原木を乾燥させて樹皮を剥がした後に製材したままの木材を指し、木目・色合い・質感はまさに天然木そのままです。
古い神社仏閣に使用されている木材は経年で変色していますが、ほとんどの部位に白木が用いられています。
和風・洋風問わず様々な建物の内装へ採用されている建築材料です。
特徴
白木は軽く柔らかい上に木肌が滑らかな樹種が多いことから、主に彫刻や接合部分の細工を必要とする部位に採用されてきました。
また、無塗装の魅力を活かすために色の明るい樹種が白木として使われるケースが大半です。
マットなクリア塗装を施した無垢材も白木と似た見た目ですが、これはあくまでも"白木調”木材と呼ばれます。
寿命
白木の寿命は樹種や品質のグレード、周辺の温度や湿度環境の影響を受けて変動しますが、適切な条件が揃うと「100年以上」も強度や見た目を維持します。
特に日本で古くから建築材料として使われてきたヒノキは、伐採後200年間は徐々に強度が高まり、その後1000年かけて弱くなるというデータもあるほどです。(参考:木づかい.com|法隆寺を支える材はヒノキ)
実際に607年に建立された奈良の法隆寺は、過去に焼失による再建や度重なる改修を経ていますが、建てられた時の白木構造材はまだ現存しています。
白木の用途

白木は主に以下の用途で使用されます。
- 和室の“あらわし”構造部(柱・梁など)
- 和室の造作部材(鴨居・敷居・長押(なげし)・窓枠など)
- 和室の内装仕上げ材(天井・板張り部分の床など)
- 洋室の造作部材(巾木・廻り縁・ドア枠・窓枠など)
- 洋室の内装仕上げ材(天井材・床材・壁材など)
- 木質製品の材料(位牌・木箱・浴槽など)
これまで白木は和室や神社仏閣の材料として採用されるケースが大半でしたが、近年は和モダンデザインやシンプルデザインの台頭によって、住宅のみならず店舗などの公共的な建築物の内装へも用いられています。
白木の種類と強度

白木と総称されますが、その樹種は国産材・輸入材でそれぞれ複数あり、強度は異なります。
ここでは木材の硬さや強度を評価する指標のうちの一つである気乾比重の値を見てみましょう。
※気乾比重が大きいほど重く硬いことを示しますが、「曲げ強度・圧縮強度・せん断強度」すべてが必ずしも高いとは限りませんのでご了承ください。
国産材
樹種 | 気乾比重(※) |
---|---|
杉(スギ) | 0.38程度 |
桧(ヒノキ) | 0.41程度 |
桐(キリ) | 0.29程度 |
シナ | 0.50程度 |
ヒバ | 0.41程度 |
モミ | 0.44程度 |
トドマツ(椴松)※ | 0.44程度 |
国産材の中でも「秋田杉・吉野杉・吉野桧・木曽桧・東濃桧・青森ヒバ・気仙杉・天竜杉」などのブランド樹種は、その品質の高さから世界へ多く輸出されています。(参考:林野庁|第1部 第4章 第1節 木材需給の動向)
輸入材
樹種 | 気乾比重(平均値) |
---|---|
米栂(ベイツガ) | 0.46程度 |
スプルース | 0.46程度 |
米ヒバ | 0.51程度 |
米桧(ベイヒ) | 0.47程度 |
ハードメープル | 0.70程度 |
ファー | 0.43程度 |
輸入材は同じ樹種でも産地によって気乾比重や色合いに違いがあるため、材料選定の際にはどこで育った木なのかも確認することをお勧めします。
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白木のメリット

白木のメリットは、デザイン面や性能面など多岐にわたります。
- 明るい色味
- 柔らかく滑らかな質感
- ナチュラルな艶感(※)
- 自己表面保護効果(※)
- 木本来の持つ調湿効果
- 木の香りによるリラックス効果(血圧や脈拍の安定)
※スギ・ヒノキなど精油成分を多く含む樹種は、経年によって表面に油分が染み出し、独特な光沢や表面保護効果が生まれます。
調湿効果や木の香りによるリラックス効果は、塗装済み木材と比べると白木の方が高いことがわかっています。(参考:林野庁|木材は人にやさしい)
そのため、学校や幼稚園で、天井材などに塗装済み木材ではなく白木を採用する事例は珍しくありません。
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白木のデメリット

白木を内装材として採用する際には、デメリットや注意点を知っておくことが重要です。
変形しやすい
白木は塗装済み木材よりも調湿性が高い点はメリットですが、それゆえに空気中の水分を吸収・放出しやすく含水率が変動しやすい点は否めません。
木材は含水率の変化によって、反り・ねじれ・伸縮・木割れなどの変形を引き起こすため、無塗装の白木材は保管環境や施工環境の温度・湿度に細心の注意が必要です。
キズ・汚れ・シミがつきやすい
白木材は比較的柔らかい針葉樹が多く、表面の耐摩耗性を高める塗装は施されていません。
そのため、キズや手垢などの汚れ、シミがつきやすいので注意しましょう。
水が少量垂れただけでもシミが残る可能性もあります。
施工・メンテナンスが難しい
まだ新しい白木材は、木材に含まれる油分による表面保護効果はなく、水拭きすると水と汚れが一緒に染み込んでシミとして残る可能性があります。
また、素手で施工すると手の油分が定着し、数年経った後に手形が目立つケースも珍しくありません。
そのため、白木は塗装済み木材以上に施工やメンテナンスに注意が必要です。
施工後のお手入れは乾拭きでホコリを落とす程度にとどめましょう。
経年劣化・経年変色する
フローリングや家具など表面に摩擦力を受けやすい場所へ白木を採用すると、樹種によっては表面が乾燥してひび割れやささくれなどの経年劣化を引き起こします。
また、白木は総じて明るい色の樹種が多く、紫外線を受けると濃色化するものが大半です。
そのため、窓辺など直射日光を受けやすい場所では、1〜2ヶ月で部分的に変色して、日が当たらない部分との色違いが目立つ場合があるので注意しましょう。
良質な木材は価格が高い
白木は無塗装の状態でも美しい見た目を保つため、高品質な銘木と呼ばれるブランド樹種は比較的高価です。
特に、希少な樹種や美しい木目(杢目)を保つ白木材や、無垢の長尺材は入手困難な可能性もあります。
まとまった量を確保しにくい
白木材は塗装で色を揃えることが難しく、さらに内装用は表面の質感が滑らかなものを選ぶ必要があります。
そのため、品質や見た目のムラがない白木材をまとまった量入手するのが困難な可能性もあるので注意しましょう。
屋外・半屋外には施工できない材料が多い
桧やヒバなど屋外・半屋外でも使用できる白木材はあり外装材として用いられますが、美しさと強度を保つためにはやはり塗装による表面保護が必要です。
ただし、塗装すると白木独特の美しさが半減するというデメリットもあります。
桧・ヒバ以外の樹種でも防腐剤や防虫剤が注入された白木材は湿度の高い環境に強いですが、その効果は永続的ではありません。
耐火性能がない(採用できる部位が限られる)
白木材を含む全ての木材は不燃処理されたものを除いて原則として耐火性能はありません。
特に、比重が小さい白木は特に燃えやすいと言えるでしょう。
そのため、そのままでは内装制限の対象範囲である天井や壁に使用できません。
内装制限とは、不特定多数の人が利用する公共性の高い建築物において火災時に建物利用者が避難できる時間を確保するために、居室と通路の天井・壁に耐火性のある材料を使用するというルールです。
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白木のデメリットを解決できる木質建材

白木材をプランへ採用する際には、主に性能面で気をつけなくてはいけないデメリットがあります。
そこで、白木のデメリットを解消できる建築材料を紹介します。
塗装済み木材
白木はキズ・汚れ・シミがつきやすく、日焼けによる変色が目立つという欠点は無視できません。
これらの懸念点を解消できるのが、「塗装済み木材」です。
これまでは「塗装すると白木の魅力が失われる」とされてきましたが、近年は塗料が進化し、白木の質感や触り心地を損なわない白木塗装(白木仕上げ塗装)が普及しています。
白木塗装はウレタン塗装やオイル塗装のように濡れ色(※)にならず白木の美しさをそのまま活かせる上に、汚れ・キズがつくリスクを軽減できる点が魅力です。
※濡れ色:物体に液体が染み込むと色が濃くなる現象
柏田木材では、木材加工だけではなく特殊塗装も自社工場で行なっており、白木におすすめのペイント材をご指定いただけます。
【木肌一番】:白木の質感を残しつつも木の香りを保ち、風化・劣化を抑制して耐汚性がプラスされます。
【アクレックス素材感】:白木のナチュラルな質感を保ちながら、手垢などの汚れの浸透を防ぎ木材を日焼けから守れます。
【木材保護塗料・S-100】:造膜系塗料ですが、着色をできる限り抑えて木の風合いを残しつつ、撥水性と耐候性をプラスできるため外装材にも採用されています。
【レナー屋外用造膜水性塗料】:造膜系塗料ですが、紫外線・雨・汚染・塩分・氷・高温への耐性をプラスできるため、外装材にも採用されます。
柏田木材では、これらの塗料を施工部位やご予算に合わせて白木と組み合わせ、美しさを長期間維持できる木質建材を提供しております。
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突板化粧板
白木には無垢材ならではのメリットがある反面、変形リスクや施工の難しさなどのデメリットがあります。
そのデメリットを解決できる建築材料が突板化粧板です。
突板化粧板とは、天然木を0.2〜0.3mmにスライスした突板(つきいた)を表面材として、基材である合板などに貼り合わせたパネル材で、床・天井・壁の仕上げや、造作家具・内装ドアの面材など幅広く使われています。
突板化粧板のメリットは以下の通りです。
- 希少な樹種や美しい木目を採用しやすい
- 高価な樹種でも無垢材よりコストを抑えられる
- 工業製品なので品質ムラが少ない
- 無垢材よりも変形リスクが低い
- 材料を薄く・軽くしても強度を確保しやすい
- UV塗装などによって表面の耐キズ・耐汚性が高まる
- 色合いや木目の揃う材料を大量入手しやすい
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不燃木材
不燃木材とは、無垢材に不燃薬剤を注入した材料で、国土交通大臣の不燃個別認定を受けているものあり、内装制限など防火規定を受ける場所にも採用できます。
ただし、経年によって不燃薬剤が表面へ滲み出て結晶化する白華(はっか)現象が発生する可能性があるため、上から不燃塗料を施した材料がおすすめです。
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不燃パネル
不燃パネルとは、突板化粧板の基材(きざい)を不燃認定を受けた材料としたパネル材で、突板化粧板と不燃木材両方のメリットを持ちます。
ただし、不燃パネルには耐摩耗性を高めるUV塗装を施せないため、キズ・汚れのつきやすい場所へ採用する際には注意しましょう。
※UV塗装は加熱時に塗膜の表面温度が上がるため、不燃認定を受けられません。
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柏田木材では、「白木材・塗装済み木材・突板化粧板・不燃木材・不燃パネル木材」全てを加工・製造・販売しております。
突板合板・無垢材どちらも“柏田木材”へご相談ください

柏田木材は、無垢材・突板化粧板のどちらも取り扱っているからこそ、現場に最適な材料を提案できます。
不燃木材の加工や不燃パネルの製造、木質建材への特殊塗装を全て自社工場で手掛けているため、「内装制限に対応できる・表面耐久性が高い・変色しにくい・環境と人にやさしい」木質建材をお探しの方は、ぜひ弊社へご相談ください。
柏田木材では、現場やご予算・工期に合わせた最適な木質建材を提供しております。
● レパートリー豊富な「塗装・表面加工ラインナップ」
● 木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行うことによる「高い品質安定性の確保」
● 木材産地に近い立地による「リーズナブルな価格の実現」
● SDGsやカーボンニュートラル実現に貢献できる「国産材(県産材・地域材)の活用」
● “こだわり”を実現できる「特注加工・開発支援・OEM製造」
● 施工効率性アップを実現できる「自動倉庫管理のオンタイム納品」
これこそ弊社の強みです。
無垢材(羽目板)
対応樹種:杉・桧・唐松
樹種 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
杉・桧 | 10〜18mm | 70〜180mm | 1,500〜4,100 | 無塗装 ウレタン塗装 オイル塗装 UV塗装 オスモUVオイル塗装 |
唐松 | 要相談 | 要相談 | 要相談 |
突板化粧板(非不燃・不燃パネル)
対応樹種:杉・桧・米栂・米松・オーク・バーチ・メープル・ウォルナット・チーク・チェリー・アッシュ・カリン・カバなど40樹種以上
【不燃タイプ】
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
規格サイズ | 6・9 | 450 | 1818・2424 | ウレタン塗装 |
特注サイズ | 〜90 | 〜1,220 | 〜2424 |
【非不燃タイプ】
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
規格サイズ | 6・9 | 450 | 1818・2424 | UV塗装 ウレタン塗装 無塗装 |
特注サイズ | 3〜90 | 〜1,220 (UV塗装品は60〜450) | 〜4000 (UV塗装品は1500〜4000) |
不燃木材
対応樹種:杉・桧
種類 | 厚みmm | 幅mm | 長さmm | 塗装 |
---|---|---|---|---|
羽目板 ルーバー | 12~90 | ~450 | 1500~ | 無塗装 不燃ウレタン塗装(白華抑制タイプ) |
まとめ
白木材は、天然木の持つ美しい色合いや木目と滑らかな質感を持つ魅力的な建築材料ですが、採用する際にはデメリットや注意点も知っておくことが重要です。
また、施工部位や予算、メンテナンス計画によっては、白木の欠点を解決できる材料の採用も検討する必要があります。
柏田木材は1950年創業以来、時代と共に様々な木質建材の製造・販売を行ってまいりました。
無垢材から不燃木材、不燃・非不燃突板合板まで多彩な製品を取り扱っていますので、木質材料の選定についてぜひご相談ください。