突板合板とは|メリット・デメリットから無垢材との違い、材料選定のコツを解説

突板合板とは|メリット・デメリットから無垢材との違い、材料選定のコツを解説

内装の木質化に欠かせない建築材料が「突板合板」です。

住宅から公共的な建築物まで、幅広い用途の空間に内装材として使われています。

しかし、突板合板の持つ“本当の”メリットやデメリットまではあまり理解されていません。

そこで今回は、「突板合板」のメリット・デメリットや無垢材との違いについて詳しく解説します。

内装材を選ぶ際のチェックポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

コラムのポイント

● 突板合板は施工面・コスト面などにおいてメリットがあります。

● 突板合板を選定する際は、事前にデメリットや注意点とその対策について知っておくことが重要です。

●「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、高品質な木質建材や技術開発支援をお客様に提供しております。


突板合板とは

突板合板とは

突板(ツキイタ)とは、天然木を厚さ0.2〜2mm程度に薄くスライスした素材で、化粧合板の「表面材」として用いられるのが一般的です。

突板を合板や不燃パネルなどの「基材(キザイ)」に接着すると、私たちのよく目にする突板合板になります。

突板合板の構造

突板合板の構成は一般的なフローリング(※)と似ています。

※無垢フローリング材除く

突板合板の主な用途は以下の通りです。

  • 室内の天井・壁仕上げ材
  • 造作家具の表面材
  • 造作家具の扉面材
  • 巾木や框などの造作部材
  • 内装ドアの面材
  • パーテーションの面材



突板合板のメリット|無垢材との違い

突板合板のメリット

設計の現場では「無垢材にこだわりたい」というクライアントも多いですが、実際にはコスト・施工性などの観点から最終的に突板合板を選ぶケースは珍しくありません。

では、突板合板の具体的なメリットを紹介します。

変形しにくい

無垢材は空気中の湿気(水分)を吸収・放出するため、保管環境や施工場所によっては含水率(※)が変動して反りや歪み、伸縮などの変形が起こります。

※含水率(ガンスイリツ):材料に含まれる水分量の割合。木の生きている状態では含水率100~200%だが、建材は15〜20%以下が標準。

突板合板は天然木の部分が薄いため、含水率変動によって変形する可能性を無垢材よりも抑えられます。

軽量で運搬・施工・加工しやすい

無垢材は薄いほど変形しやすく強度も確保できませんが、突板合板の場合、基材の種類によっては薄くても変形を抑えて高強度を発揮できます。

そのため材料を軽量化できて、運搬・施工・加工において無垢材よりも有利になるケースは少なくありません。

希少・高価な樹種は無垢材より安価

無垢材よりも天然木の使用量が少ない突板合板は、希少で高価な樹種を仕上げに取り入れやすい点も重要なポイントです。

コスト面で無垢材ではなく突板合板を採用する事例は多く、デザイン性の求められる店舗やホテルなどの施設にも多く採用されています。

同じ風合いのまとまった材料を入手しやすい

突板は天然木を薄くスライス(※)して作られます。

※丸太を回転させながら“桂むき”の要領でスライスするロータリーという方法と、回転させずにスライスするフリッチという方法があり、それぞれ現れる木目が異なります。

そのため、無垢材よりも1本の木から採取できる面積が大きく、同じ樹種・木目・色合いの材料をまとまった量を入手しやすい点も重要なメリットです。

突板合板は広い面積を同じ仕様で施工する必要のある大規模建築物の内装仕上げに多く用いられます。

木材価格高騰の影響が少ない

2021年には世界的な新型コロナウイルス感染拡大を受けてウッドショックが始まりました。

第三次ウッドショックの因果関係
(引用:公共財団法人 森林文化協会|ウッドショックはなぜ起こったのか?

ウッドショックが住宅業界・建築業界に与えた大きな影響はまだ記憶に新しいでしょう。

突板合板は主な原材料を合板やMDFとしており天然木の割合が少ないことから、無垢材よりも木材価格の高騰による値上げリスクを抑えられます。

内装制限に対応できる不燃化粧板もある

特殊建築物(※)に該当する建物では、内装制限によって天井や壁に防火材料を使用する必要があります。

※詳しくは「〈内装制限〉建築基準法を分かりやすく解説|建物種類・不燃材料・2025年建築法改正についても」「〈内装制限の緩和〉対象条件や住宅・店舗・オフィスの違い、消防法との関係性を解説」をご覧ください。

無垢材を用いて内装制限をクリアするためには、国土交通大臣から個別認定を受けた不燃木材を選ぶ必要があり、コスト面・施工面などのハードルは決して低くありません。

対して、突板はとても薄くすぐに燃え尽きてしまうため、基材が不燃材であれば内装制限の対象範囲にも使用できます。

柏田木材では良質な突板を使った不燃パネルを製造しておりますので、ぜひご検討ください。

【主な樹種】
杉・桧・米栂・米松・オーク・バーチ・メープル・ウォルナット・チーク・チェリー・アッシュ・カリン・カバ(その他40樹種以上対応可能)

製品種類サイズ塗装
突板の貼り方
規格サイズ厚さ:6mm・9mm
幅(奥行き):450mm
長さ:1818mm・2424mm
塗装:ウレタン塗装(艶の調整可能)
突板の貼り方:ランダムマッチ(※)
特注サイズ厚さ:〜90mm
幅(奥行き):〜1,220mm
長さ:〜2424mm
塗装:ウレタン塗装(艶の調整可能)
突板の貼り方:ランダムマッチ・スリップマッチ(※)・ブックマッチ(※)

※ランダムマッチ:木目の模様と向きが揃わないように突板を並べる貼り方で、よりナチュラルな仕上がりになる
※スリップマッチ:木目の模様と向きが同じ突板を並べる貼り方で、規則性があり整然とした仕上がりになる
※ブックマッチ:木目の模様と向きが反転するように突板を並べる貼り方で、規則性がありながらも装飾的な仕上がりになる

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ポイント

柏田木材は1950年創業以来培った知識と技術を活かして、「不燃木材の加工」「不燃パネルの製造」を手がけております。

内装制限の対象となる建物の内装材選びにお悩みの方は、お気軽に弊社までご相談ください。



突板合板のデメリット・注意点と対策

突板合板のデメリット・注意点と対策

突板合板はいくつもの観点からメリットがありますが、設計プランへ採用する前に知っておいていただきたいデメリットや注意点もあります。

対策とあわせて押さえておきましょう。

耐水性・耐汚性・耐キズ性は高くない

無塗装の突板合板は、耐水性・耐汚性・耐傷性があまり高くありません。

そのため、水ハネの多いキッチンや給湯室、トイレなどの壁材やパーテーションの面材に突板合板を採用する事例は限られます。

また、雨の影響を受ける屋外にも原則として突板合板は施工できません。

ポイント

屋外には防腐処理済み木材を、水ハネやキズ・汚れの付きやすい部分はメラミン化粧板をなど、施工部位によって材料を使い分けましょう。

ただし、耐水性の高いオレフィン化粧板やメラミン化粧板は木目が印刷で質感は人工的です。

天然木の風合いにこだわるなら、表面の耐摩耗性が高い「UV塗装済み突板合板」をおすすめします。


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表面の補修が難しい

突板合板の表面材は厚さ0.2〜0.3mm程度ととても薄いため、傷やシミがついても研磨(サンディング)による補修はできません。

また、深い傷がつくと色のことなる基材が見えてしまいます。

ポイント

人の手に触れる壁材や家具・ドアの面材に突板合板を用いる場合は、ウレタン塗装・UV塗装など表面コーティングを施した製品を選びましょう。

ただし、塗膜の厚いウレタン塗装やUV塗装品は、燃焼時に塗膜によって表面温度が上昇しすぎるため、不燃・準不燃・難燃材料としての認定を受けられません。


経年や日焼けによって変色する

突板合板は無垢材と同様に紫外線によって経年変色したり日焼けしたりします。

また、樹種によっては金属汚染(※)や酸汚染(※)、アルカリ汚染(※)による変色が起こる可能性もあるので注意しましょう。

※金属汚染:湿気のある場所で金属(鉄など)と長時間接触すると、木材に錆が付着する現象
※酸汚染:強酸性物質に触れるとシミが残る現象
※アルカリ汚染:アルカリ性物質に触れると部分変色する現象

ポイント

金属汚染・酸汚染・アルカリ汚染による変色は、ウレタン塗装である程度防止できます。

日焼けによる変色を防ぎたい場合には、「日焼け防止塗装品」がおすすめです。

ただし、日焼け防止塗装を施した突板合板を扱うメーカーは限られるので、材料選定の際には事前に確認しましょう。

柏田木材では、特注で日焼け防止塗装品を提供しております。


木口処理が必要

突板合板は表面材と基材の素材が異なるため、パネルの断面を見ると色の違いが目立ちます。

そのため、納まりによっては木口の処理が必要です。

ポイント

柏田木材では様々な納まりにも対応できるように、以下のオプションを取り扱っています。

● 表面材と同様の突板を貼る「木口貼り」
● 表面と同じ塗料を使った「木口着色」
● 木口をなめらかに仕上げる「面取り加工」




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木口部分は衝撃に弱い

突板合板は表面材と基材を接着しているため、木口に強い衝撃を受けると、欠けたり表面材が剥がれたりする可能性があります。

ポイント

上質な突板合板は木口への衝撃にも強いので、通常の施工方法や施工環境であれば表面材が欠けたり剥がれたりするケースはあまりありません。

しかし、不特定多数が利用する施設や物や人がぶつかりやすい出隅(ですみ)部分には、コーナー材などの造作部材でカバーすると安心です。

また、部位によって突板合板と無垢材を使い分けるプランを採用するケースもあります。

柏田木材は無垢材と突板合板の両方を取り扱っており、塗装による色合わせも承っております。



木目が分断される

突板合板を製造する過程で突板の幅は段々と狭くなっていき、最終的には複数の突板を並べて合板などに接着します。

そのため、無垢材のような継ぎ目のないダイナミックな木目は表現できません。

突板の幅は広いものでも300mm程度、ほとんどは100mm幅程度です。

ポイント

突板同士の継ぎ目が目立たないデザインにしたい場合は、直線的な木目が連なる柾目(まさめ)の突板合板がおすすめです。

ただし、最近は柄の異なる板目(いため)を並べた個性的な突板合板もデザイン性の高い建物へ多く採用されています。

柏田木材の突板合板は、柾目・板目の選択肢に加えて、突板の並べ方(ランダムマッチ・スリップマッチ・ブックマッチ)もご指定いただけます。※一部特注


柾目
板目


質感が硬く冷たい

突板合板は天然木が厚い無垢材と比べると、どうしても触り心地が硬く冷たく感じます。

そのため、人が座ったり立ったりする場所に採用する場合は注意しましょう。

ポイント

人が靴を履かずに歩いたり立ったりする場所には、硬すぎない「無垢フローリング材」がおすすめです。

柏田木材では、林業の歴史が長い奈良県で育った良質な杉材を用いて無垢フローリング材を製造しております。

厚み・幅・長さのレパートリーが豊富な点に加えて、分厚い塗膜を形成できる自然塗料「オスモUVオイル塗装」をはじめとした機能性塗料仕上げをお選びいただける点も強みです。



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突板合板・無垢材どちらも“柏田木材”へご相談ください

突板合板・無垢材どちらも“柏田木材”へご相談ください


柏田木材は1950年に林業が盛んな奈良県で創業し、それ以降多彩な木質建材を製造・販売しております。


種類厚みmm幅mm長さmm塗装
規格サイズUV塗装:3〜
ウレタン・無塗装:3〜
UV塗装:60〜450
ウレタン・無塗装:〜1220
UV塗装:1500〜4000
非不燃:〜4000
UV塗装
ウレタン塗装
無塗装
特注サイズ〜90〜1,220〜2424
※不燃化粧板はUV塗装非対応です。ご了承ください。

非不燃仕様の突板合板は、規格サイズ・特注サイズともにウレタン塗装に加えてUV塗装もお選びいただけます。

柏田木材の“強み”

● レパートリー豊富な「塗装・表面加工ラインナップ」
● 木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行うことによる「高い品質安定性の確保」
● 木材産地に近い立地による「リーズナブルな価格の実現」
● SDGsやカーボンニュートラルの実現につながる「国産材(県産材・地域材)の活用」
● “こだわり”を実現できる「特注加工・開発支援・OEM製造」
● 施工効率性アップを実現できる「自動倉庫管理のオンタイム納品」

柏田木材が、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫したサポートを提供いたしますので、「こんな材料があればいいのに」「既製品ではうまく納まらない」とお悩みの方は、ぜひ一度弊社までご相談ください。



まとめ

突板合板は木目を生かした内装デザインを実現する上で欠かせない建築材料です。

無垢材と比べて施工面・コスト面などにおいてメリットがあります。

ただし、採用前に知っておくべきデメリットや注意点もあり、施工部位によっては無垢材などその他の建材と使い分けた方がよい事例も少なくありません。

柏田木材は1950年創業以来、時代と共に様々な木質建材の製造・販売を行ってまいりました。

無垢材から不燃木材、不燃・非不燃突板合板まで多彩な製品を取り扱っていますので、木質材料の選定についてぜひご相談ください。

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