【木材】現場塗装・工場塗装はどちらがいい?それぞれのメリット・デメリットと最新塗料を解説

木材の耐久性を維持するために欠かせない工程が「塗装」です。
現場で塗装するケースと工場で塗装された材料を使うケースに分かれます。
ここで重要なのは、現場塗装と工場塗装は単に作業する場所が違うだけではなく、長所短所や適切なケースが異なるという点です。
そこで今回は、「現場塗装・工場塗装」それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説します。
木材塗装の最新機能性塗料も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
● 木材を現場塗装する場合と工場塗装する場合では、それぞれにメリットとデメリットがあります。
● 現場の状況やプラン、予算に応じて最適な塗料と塗装方法を選ぶことが重要です。
●「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、高品質な木質建材や技術開発支援をお客様に提供しております。
コンテンツ
現場塗装・工場塗装とは

現場塗装と工場塗装は塗装を施す場所の違いだけではなく、使用する道具が異なります。
現場塗装 | 無塗装の木材を現場にて行う方法で、木部塗装はハケかローラーを用いるのが基本 |
工場塗装 | 木材を工場で塗装してから現場へ納品する方法で、スプレー・ロールコーター塗装が基本で、ごく一部の工場ではフローコーター塗装真空塗装設備をもつ |
この違いによってそれぞれにメリットとデメリットがあるため、現場の規模や状況によって適した塗装方法を選ぶことが重要です。
現場塗装のメリット・デメリット

では、現場塗装の具体的なメリットとデメリットを紹介します。
メリット
- 少量の塗装範囲に対応しやすい
- 木材を加工してから塗装できる
- 現場で色選定などの詳細まで打ち合わせでき、照明光・自然光に当たった際の見え方を確認できる
- 全体の工程を把握しやすく、工程変更にも臨機応変に対応できる
現場塗装は「コストが安い」と思う方も多いですが、それは現場塗装で扱える塗料に安価なものが多いことが所以です。
施工面積によっては工場塗装よりも費用のかかる事例は珍しくありません。
デメリット
- 使用できる塗料や塗装方法が限られる(有毒性のある防腐塗料やUV塗料、不燃塗料は使えない)
- 塗料が木材の中央部まで浸透せず、耐用年数が短い(塗り替えのスパンが短い)
- 属人的な方法なので、仕上がりにムラが出やすい
- 完全に乾燥するまでの間、天候・湿度の影響を受けやすい(仕上がり・コスト・工期に影響が出る)
- 工程や天候との兼ね合いで、材料が納品されてからすぐに塗装できない場合がある
- 塗装部位によっては養生代などの仮設費が高くなる
- 塗料の臭いで近隣トラブルになる可能性がある
木部への塗装は、塗料ごとに設定されている適した温度・湿度環境を保てないと、きれいに仕上がらなかったり硬化不良を招いたりする可能性があります。
また、外部の木部は長雨が続いて施工後に塗装できない期間が長引くと、木材が水分を吸収して変形したり劣化が早まったりするケースも十分考えられるでしょう。
UV塗料の中には現場へ持ち運びできるハンディタイプのUV照射機で硬化するタイプもありますが、工業用の塗料と比べると性能は劣ります。
不燃木材の防火性を維持する上で欠かせない不燃塗料は、塗布量を厳密に管理しなければならず、塗装には自動塗装ガンを利用することが原則です。
現場で不燃木材を使用する事例もありますが、塗布量を正確に把握できないため、国土交通省による監査で指摘を受ける可能性があるため注意しましょう。
工場塗装のメリット・デメリット

現場塗装は工程や現場の状況に合わせてフレキシブルに対応できる点がメリットですが、一方でデメリットもあります。
現場塗装のデメリットを解消できるのが、工場塗装です。
メリット
- 塗料ごとの最適な乾燥時間・温度に合わせて最良の状態で塗装できる
- 現場塗料では対応できない塗料・塗装方法を選べる(高耐久な塗料の中には工場でしか扱えないものが多い)
- 防腐・防虫剤を加圧注入できるため、深部まで薬剤が浸透して効果の持続性が高い
- 天候や気温・湿度に左右されない
- 機械による自動塗装のなので、品質ムラが少ない
- 一定の塗膜厚さを確保できるため、耐用年数が長い
- 工程・コストを正確に管理しやすい
- 納品されたらすぐに一斉施工できる
- 現場養生代などの仮設費を抑えられる
- 工場では一日に大量の材料が塗装されるため、コストにおいて人件費の占める割合が少ない
工場塗装の最も大きな利点は、「安定した品質」と「塗膜の高い保護効果」にあります。(参考:林野庁|屋外での利用に適した耐久性の高い材料の利用)
安定した品質の製品は劣化しにくく、長寿命でメンテナンス計画を立てやすい点がポイントです。
デメリット
- 製品の運搬コストがかかる
- 特注塗装品は納期がかかる
- 現場でカット加工するとタッチアップ塗装が必要
工場で塗装されたものを運搬するため、現場の場所によっては運搬コストがかかる可能性は否めません。
ただし、塗装作業にかかるコストは工場塗装の方が安いので、無塗装品を現場塗装する場合とトータルコストはほとんど変わらないケースが大半です。
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現場塗装・工場塗装で迷った際のチェックポイント

プロジェクトによっては「現場塗装と工場塗装どちらにすべきか迷う」というケースもあるでしょう。
そこで、迷った時のチェックポイントを紹介します。
「木材の表面耐久性を重視する」 | ▶︎YES=工場塗装 ▶︎NO=現場塗装 |
「木材は屋外に施工する」 | ▶︎YES=工場塗装 ▶︎NO=現場塗装 |
「工期が厳しい」 「工期が天候の影響で遅延している」 | ▶︎YES=工場塗装 ▶︎NO=現場塗装 |
「品質ムラを抑えたい」 「均一な仕上がりにしたい」 | ▶︎YES=工場塗装 ▶︎NO=現場塗装 |
「特殊塗装や機能性塗料を採用したい」 | ▶︎YES=工場塗装 ▶︎NO=現場塗装 |
「現場での作業スペースを確保できない」 | ▶︎YES=工場塗装 ▶︎NO=現場塗装 |
「品質よりもコストの安さを重視する」 | ▶︎YES=現場塗装 ▶︎NO=工場塗装 |
「部分的な改修プロジェクトに伴う木材塗装である」 「塗装する面積が小さい」 | ▶︎YES=現場塗装 ▶︎NO=工場塗装 |
「既存部分との取り合い部分に施工する木材である」 「現地での微調整や加工が多い」 | ▶︎YES=現場塗装 ▶︎NO=工場塗装 |
現場塗装と工場塗装のどちらにするか判断しづらい場合は、上記のポイントに沿って製品選びをご検討ください。
柏田木材は1950年創業以来、奈良県で高品質な木質建材をつくりつづけています。
多くの現場で採用されるウレタン塗装からUV塗装をはじめとした特殊塗装まで、全て自社工場にて作業しておりますので、表面加工も含めてトータル的な製品クオリティをお約束いたします。
工場塗装済みの木質建材をお探しの方は弊社までお気軽にご相談ください。
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柏田木材では、無垢材・不燃木材・突板合板を取り扱っており、塗装仕様の選定から現物サンプルの作成、オリジナル色の調色も承っております。
ウレタン塗料はもちろん、UV塗料・オイル塗料・屋外用塗料などの多種多様な塗料を使いこなし、これまで300色以上の調色に対応してきた実績があることが弊社の強みです。
他社では取り扱いのない特殊な塗料も扱っておりますので、材料選定の際にはぜひ弊社までお問い合わせください。
【UV塗料】
短時間で硬化するため、分厚い塗膜を形成できて表面強度が高まります。
防汚性や耐薬品性も高いため、床や壁に施工する木材におすすめです。
【オスモUVオイル塗料】
安全性の高い植物油を原料とした塗料でありながら、ウレタン塗料と同等の防汚性・耐薬品性を持ち、木材の調湿性も維持できます。
国産材の杉・桧との相性が非常に良いため、多くのお客様からお問い合わせいただいている人気の塗料です。
【難黄変2液型ウレタン塗料】
ウレタン塗料は硬化後も紫外線や排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の影響で段々と黄変してしまいます。
弊社では黄変しにくく傷にも強い難黄変2液型ウレタン塗料を基本仕様としています。
一般的なウレタン塗料と比べると少々高価ですが、施工時の美しさを長く保てる点がメリットです。
【キシラデコール】
現場塗装やDIYでも一般的に使用されている浸透系屋外用塗料ですが、弊社ではスポンジロールコーター(※)を用いた塗装によって、手作業の塗装よりも均一かつ高精度な仕上がりを提供しております。
※スポンジロールコーター:スポンジロールを用いて塗料や薬品を均一に塗布する機械
【木材保護塗料 S-100】
高耐久でありつつ木目を活かした塗装が可能な水性造膜系塗料です。
通常の塗料よりも耐用年数が長く撥水性・潤滑性が非常に高いため、施工後も汚れが付きにくく長期間にわたり美しさを保てます。
【レナー社の屋外用水性塗料】
レナー(RENNER)社は2004年に木材用塗料を中心に手がけるメーカーとしてイタリアで創業し、急成長を遂げている優れた塗料メーカーです。
レナー社の屋外用水性塗料は、国内メーカーの塗料と比べても「変色・白亜化・ひびわれ・水脹れ・質量変化」が起こりにくく、木材を紫外線や雨風、汚染・塩害・低温・高温から守ることができます。
日本では利用実績がまだそれほど多くなく、取り扱っている建材メーカーは少ないですが、大注目の高性能塗料です。
柏田木材では、現場やご予算・工期に合わせて最適な塗装を施した木質建材を提供しております。
● レパートリー豊富な「塗装・表面加工ラインナップ」
● 木材の切削・接着・着色・塗装を全て自社工場で行うことによる「高い品質安定性の確保」
● 木材産地に近い立地による「リーズナブルな価格の実現」
● SDGsやカーボンニュートラルの実現につながる「国産材(県産材・地域材)の活用」
● “こだわり”を実現できる「特注加工・開発支援・OEM製造」
● 施工効率性アップを実現できる「自動倉庫管理のオンタイム納品」
柏田木材が、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫してサポートいたしますので、「こんな材料があればいいのに」「既製品ではうまく納まらない」とお悩みの方は、ぜひ一度弊社までご相談ください。
まとめ
木材を現場塗装する場合と工場塗装する場合では、それぞれにメリットとデメリットがあります。
そのため、現場の状況やプランに応じて最適な塗料と塗装方法を選ぶことが重要です。
柏田木材は1950年創業以来、時代と共に様々な木質建材の製造・販売を行ってまいりました。
多様な塗料を扱い、高品質な塗装済み木質建材を提供しておりますので、材料選定に迷っている方はぜひご相談ください。