人気上昇中の「木製サッシ」メリット・デメリットと後悔しないためのポイント

人気上昇中の「木製サッシ」メリット・デメリットと後悔しないためのポイント

住宅・非住宅問わず、木製サッシを採用する事例が増えています。

外窓に加えて、室内窓を木製にするケースも珍しくありません。

木製サッシを採用する際は事前に知っておいていただきたいメリットとデメリットがあります。

また、設置部位の環境条件によっては材料選びに工夫が必要です。

そこで今回は「木製サッシ」についてアルミサッシ・樹脂サッシとの違いやメリット・デメリット、さらに塗装や腐食・カビ、防火地域になど多くの方からいただくご質問にもお答えします。

「木製サッシの開発を進めたい」というサッシメーカー様や、「自社の規格に合う木製サッシを検討したい」というハウスメーカー様におすすめのサービスも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

コラムのポイント

● 木製サッシには、デザイン面・性能面・環境面におけるメリットがある一方で、コスト面などのデメリットもあります。

● 木製サッシを長持ちさせるためには、表面保護塗料選びが重要です。

● 私たち「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、国内外から上質な木材を仕入れて高品質な木質建材を製造販売しております。



木製サッシとは|アルミサッシ・樹脂サッシとの違い

木製サッシとは|アルミサッシ・樹脂サッシとの違い

木製サッシとは、主に湿度や温度の変化による変形リスクが低い集成材を用いて作られる窓サッシです。

主に以下の場所に設置されます。

  • 間仕切り壁に取り付ける「室内窓
  • 窓の断熱性を高めるための「二重窓
  • 屋外に直接面する「外窓


ここで注目すべきなのは、外窓に木製サッシを採用する事例が増えている点です。

日本では住宅の窓にアルミサッシやアルミ樹脂複合サッシ、公共的な建築物の窓にはスチールサッシが採用されますが、近年住宅分野を中心に木製サッシを取り入れる事例は少なくありません。

外窓として設置する木製サッシは、従来のアルミサッシなどと同様の「水密性・気密性」を持ちます。

では、主に住宅へ採用される木製サッシ・アルミサッシ・樹脂サッシの違いを紹介します。

サッシの種類価格性能耐用年数
(寿命)
デザイン性
木製サッシ断熱性 ◎
気密・水密性 ◯
アルミサッシ断熱性 △
気密・水密性 ◯
樹脂サッシ断熱性 ◎
気密・水密性 ◯

最近の新築住宅へ標準採用されている樹脂アルミ複合サッシは、アルミサッシの欠点である断熱性の低さを樹脂でカバーした窓です。

ポイント

木製サッシには、断熱性・寿命の長さ・デザイン性においてメリットがある反面、価格が高いなど注意しなくてはいけないデメリットがあります。


木製サッシのメリット

木製サッシのメリット

木製サッシの採用事例が増えている理由は、デザイン面・性能面、そして環境面においてメリットがあるからです。

では、具体的に木製サッシのメリットをそれぞれ詳しく解説します。

ナチュラルで温かみのある見た目と質感

木製サッシの最も大きな魅力は、そのナチュラルで温かみのある見た目と質感です。

最近のトレンドである無垢材を基調としたインテリアに、無機質なアルミサッシが馴染まないと感じる方も多いでしょう。

そのような場合にも木製サッシはおすすめです。

木製サッシは自然素材にこだわるインテリアや古木材を取り入れたラスティックインテリア(※)、ヴィンテージデザインとの相性も良いため、細部にまでデザインにこだわりたい方から注目されています。

※ラスティックインテリア:ラスティック(英:rustic)が意味する「素朴な・牧歌的な・田舎風な」インテリアデザインを指し、欧米から流行し始めて日本でも住宅から店舗まで幅広く採用されている。

ヨーロッパを中心に海外では木製サッシの普及率が高いことから、海外風デザインを追求したい人からも人気です。

重厚感・高級感

木製サッシはその構造上アルミサッシよりもフレームが太くなるため、窓の重厚感や高級感が増します。

木の色味によって和風建築と洋風建築どちらにも馴染む点もポイントです。


高い断熱性・結露防止効果

木材は金属であるアルミニウムよりも熱伝導率(※)が低いため、外気温の影響を受けにくく断熱性が高い素材です。

※熱伝導率:物質の熱の通しやすさ(伝えやすさ)を表し、数値が低いほど断熱性が高いことを示す。木質合板は「0.16」、アルミニウム合金は「200」程度とされており、素材の断熱性に大きな差がある。

建物における熱エネルギーの流入出はその約60〜70%が窓などの開口部からとされています。(参考:資源エネルギー庁|住宅による省エネ|開口部の断熱

そのため、窓の断熱性は建物全体の省エネ性・快適性を高める上で欠かせません。

ペアガラス・トリプルガラスを採用するとガラス面の断熱性は向上しますが、サッシ枠から熱の出入りがあると断熱効果は激減します。

そのため、サッシ枠ごと高断熱仕様にできる木製サッシの採用件数が増えているのです。

サッシ全体の断熱性が高まると、結露の発生も抑制でき、室内のカビ・ダニ繁殖を防げます。

窓サッシの仕様熱貫流率の目安
W/(㎡・K)
木製サッシ・樹脂サッシ+複層ガラス2.91〜3.49
アルミ樹脂複合サッシ+複層ガラス3.49〜4.07
アルミサッシ+複層ガラス4.07〜4.65
(参考:一般社団法人日本サッシ協会|わかりやすいサッシ・ドアの性能


大開口の実現性

アルミ・樹脂サッシは素材の強度特性によりあまり大きな開口サイズは製作できませんが、木製サッシは大開口を実現できます。

サッシ枠が室内からの景観を妨げず、陽の光をたっぷり取り込めるのです。

窓サッシの仕様最大サイズの目安
木製サッシH:2,500mm
W:6,000mm
アルミサッシH:2,500mm
W:5,500mm
(4枚建て)
樹脂サッシH:2,500mm
W:2,500mm
※メーカーにより製作可能サイズは異なります



サイズ・デザインの自由度

木製サッシは窓のサイズだけではなく、形状や塗装も自由に選択できます。

またオーダー製作できるメーカーもあり、アーチ窓を採用するために木製サッシを選ぶケースも珍しくありません。

さらに、設置して数年経った後に塗装でカラーを変えられる点もポイントです。

耐用年数(寿命)の長さ

木製サッシは、神社仏閣など歴史的建造物に設置されていることからも、適切なメンテナンスを行えばを施せば100年以上使い続けられることが分かっています。

対して、アルミサッシの寿命は20〜30年、樹脂サッシの寿命は30〜50年程度です。

ただし、木製サッシの耐用年数を長くするためには、定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。

環境に優しくサスティナブル

木製サッシは断熱性の高さから空調効率と建物の省エネ性を向上させます。

また、アルミサッシや樹脂サッシよりも製造過程における消費エネルギー量を抑えられる点も重要なポイントです。

LCCO2(※)【製造におけるCO2排出量―木の炭素貯蔵量=炭素放出量】がアルミサッシの1/30以下であるというデータもあることから、木製サッシの普及は地球温暖化問題解決につながると言っても過言ではありません。

※LCCO2:製造に関するライフサイクル全体を通したCO2総量

木製サッシの普及は木材利用促進、ひいては森林循環の活性化をもたらし、地球環境の持続可能性を高めることが期待されています。

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木製サッシのデメリット・注意点

木製サッシのデメリット・注意点

木製サッシには様々な観点でメリットがある反面、欧米諸国に比べると普及率は圧倒的に低いのが現状です。

ヨーロッパの木製サッシ率は45〜95%程度と非常に高いのに対して、日本国内の木製サッシ率は1%程度にとどまっています。(参考:日本サッシ協会|2024年3月版『住宅用建材使用状況調査』

季節ごとの寒暖差が激しく窓の断熱性が求められる日本において木製サッシの普及が進まない理由として、いくつかのデメリットが関係します。

価格が高い

メーカーや窓のサイズ、開閉方法によっても異なりますが、一般的な掃き出し窓の相場を見ると木製サッシの価格が高めな傾向は否めません。

窓サッシの仕様最大サイズの目安
木製サッシ約6〜30万円/カ所
アルミサッシ約3〜5万円/カ所
樹脂サッシ約9〜18万円/カ所
※腰窓・複層ガラスの場合


ポイント

初期コストを比較すると木製サッシはコストがかかりますが、建物の長寿命化が進んでいる昨今、将来的な取り替え費用を踏まえると耐用年数の長い木製サッシはトータルコストを抑えられる可能性があります。


定期的なメンテナンスが必須

木製サッシ、特に屋外に面した外窓は「3年~5年ごと」に再塗装のメンテナンスが欠かせません。

メンテナンスを怠ると、表面が経年劣化して腐食などによる雨漏りのリスクが高まります。

そのため、適切な下処理と塗料選びが重要です。

誤った方法では塗膜が短期間で剥離して表面保護の効果を失う可能性があるので注意しましょう。(参考:日本住宅・木材技術センター|住宅部材安全性能向上事業報告書(木製サッシ塗装技術開発事業)

ポイント

柏田木材では、木製サッシパーツの塗装を承っております。

1950年創業以来培った塗装技術を用いて、「溶剤系塗料・水系塗料」と「スポンジコータ―塗装・スプレー塗装・浸漬塗装」などの塗装方法を組み合わせ、お客様が希望される価格・納期・性能・仕上りに合わせた塗装を提供いたします。

お気軽にご相談ください。


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高断熱ガラスとの組み合わせが基本

いくらサッシ枠の断熱性が高くてもガラス面から多くの熱エネルギーが出入りすれば意味がありません。

そのため、木製サッシには高断熱なLow-E複層ガラスやトリプルガラスなどを組み合わせましょう。

ガラスの仕様を高めなければ断熱面のメリットを得られない点も、窓のコストが高くなる一因です。

ポイント

木製サッシと高断熱ガラスを組み合わせることで、空調にかかる光熱費を削減できます。

経済産業省の公表した「電力需給対策広報調査事業調査報告書」では、一般家庭の光熱費において空調に係る電気料金の割合は多く、冬の暖房は全体のおよそ15%を占めます。

そのため、初期費用をかけて窓全体の断熱性を高めることは、長い目で見ると決して損とは言い切れません。


輸入サッシは設置・部品交換が難しい

木製サッシを採用する際、輸入サッシを選ぶ場合は注意が必要です。

日本の建築寸法規格と合っていないものも多く、納まりに工夫が必要になったり窓枠などの材料ロスが発生したりする可能性があります。

また、故障した際の部品取り寄せが困難なケースや、普及率の高いアルミサッシのようにメーカーによるメンテナンスサービスを受けられないケースも珍しくありません。

大開口サッシは開け閉めが重い

木製サッシは開放的な大開口サッシを実現できるメリットがある一方で、開閉時の重さが気になるという方もいらっしゃいます。

戸車などの金具は進歩しているもののサイズが大きくなるほど開け閉めが大変になる可能性があるため、ショールームで操作性を確認しましょう。

雨・日光が直接当たる部分は劣化が早い

木材は雨や紫外線の影響を受けやすく、表面の風化や木材腐朽菌・カビの繁殖など様々なリスクがあります。

それらのリスクを軽減するために、木製サッシは日除けできる深い庇の下や軒下に設置することをおすすめします。

ただし、日当たりや風通しの悪い場所や植栽の近くに設置すると、湿度が上がり木材腐朽菌・カビの繁殖をもたらす可能性があるため注意しましょう。

補助金対象の製品が少ない

建物の省エネ化促進に伴い、断熱窓に対する補助事業がいくつも実施されています。

しかし、その多くは補助対象となる木製サッシはアルミ・樹脂サッシよりも少ないので注意しましょう。

補助金・助成金制度や減税制度を利用したい場合は、事前に対象要件を慎重に確認してください。



木製サッシの耐候性を高める塗装も重要

木材の耐候性を高めるRENNER塗装

外窓として木製サッシを設置する場合に重要となるのが「耐候性」です。

そこでおすすめするのが、RENNER(レナー)社の水性木材塗料です。

RENNER社は2004年に木材用塗料を中心に手がけるメーカーとしてイタリアで創業し、その後急成長を遂げてヨーロッパにて木材用塗料トップシェアを獲得しています。

実験結果では、国内メーカーの塗料と比べても「変色・白亜化・ひびわれ・水脹れ・質量変化」が明らかに起こりにくいことが分かっており、紫外線や雨風だけではなく、汚染・塩害・低温・高温への耐性が証明されています。

※回転式耐候性促進試験機による実験結果より

ポイント

柏田木材では、国内でも早くからRENNER社の「透明造膜・着色造膜・着色浸透」タイプの塗料を取り扱っており、工場塗装による高品質でムラのない木材を提供しております。

木製サッシの耐候性を高めて長期間耐久性と木目の美しさをキープしたい方は、ぜひ柏田木材へご相談ください。




【FAQ】木製サッシに関する気になる疑問

【FAQ】木製サッシに関する気になる疑問

最後に、木製サッシに関してよくある質問を紹介します。

 Q.「雨漏りしたり変形したりしない?」

近年、木製サッシの技術向上によって断熱性だけではなく気密性・水密性も向上しています。(参考:日本住宅・木材技術センター|木製サッシ設計・製造・性能規格

そのため、雨漏りの発生リスクがアルミサッシや樹脂サッシよりも高いことはありません。

また、木材が温度や湿度変化に伴い変形しても気密性・水密性を維持できる構造になっているため、昔の木製サッシのように雨の後に建て付けが悪くなるようなこともほとんどなくなりました。

Q.「腐食・カビ・シロアリのリスクはない?」

木製サッシは組み立てられる前のパーツの状態で、防腐剤・防カビ剤・防虫剤が注入されるため、基本的にはすぐに腐食やカビ、シロアリが発生することはありません。

しかし、これらの薬剤効果は永続的ではないため表面を保護するための塗装が必要になります。

木材保護塗料の進化によって、木製サッシのメンテナンスサイクルは長くなり、腐食などにも強くなっています。

木製サッシの表面保護塗料にどのようなペイント剤を選ぶかという点が重要なポイントです。

Q.「防火地域・準防火地域でも木製サッシは設置できる?」

防火認定(個別認定)を受けている木製サッシもあるため、防火地域・準防火地域でも設置は可能です。

ちなみに、不燃木材によって木製サッシは作れないかというご質問もいただきます。

技術的には可能ですが、白華現象(※)のリスクが高いためあまりおすすめしません。

※白華現象:不燃木材に注入されている薬剤が空気中の水分に反応して結晶化し、それが表面に粉状となって現れる現象

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木製サッシのパーツ制作は「柏田木材」へご相談ください

オリジナル木製サッシは「柏田木材」へご相談ください

柏田木材は1950年創業以来、時代と共に様々な木質建材の製造・販売を行ってまいりました。

これまで培った技術と経験を活かし、木製サッシの木材手配・パーツ加工・塗装を承っております。

※組み立ては別途ご手配ください。

ポイント

柏田木材はこれまで様々な種類の木材を扱い続けてきたため、木製サッシに適した材料・塗料の選定など、構想・開発段階から御社をサポートいたします。

木材加工だけではなく塗装も自社工場にて行い、自動倉庫での材料・完成品の保管代行も提供しておりますので、高品質な木製サッシをお求めの方は柏田木材までご相談ください。




まとめ

木製サッシには、デザイン面・性能面・環境面においてメリットがある反面、コストの高さなどからなかなか普及が進まない現状も否めません。

しかし、環境負荷が少なくサステナブルな建材であるため、今後はより一層注目度が高まることが予想されています。

「木製サッシの開発を進めたい」というサッシメーカー様や、「自社の規格に合う木製サッシを検討したい」というハウスメーカー様は、70年以上に渡り木材を扱い続けてきた“柏田木材”へご相談ください。

良質な原木を仕入れて多種多様な商品を製造しているからこそ、木材のプロとしてお客様のご予算・設計デザインに合う木質建材を提案いたします。

「どのような経年変化が現れるか心配」

「既製品の材料では設計デザインにフィットしない」

「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」

「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」

「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」

そんなお悩みを抱えている企業様を、私たちがしっかりサポートいたします。

お問い合わせに関して

当社では主にメーカー様、商社様、施工業者様、設計事務所様からのお問い合わせを承っております。
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