不燃パネルとは|材質の種類やメリット・デメリットを解説、天然木を使った化粧板についても
内装制限の対象となる公共施設や防火性能が求められる中規模以上の建物において、不燃性の高い建材は欠かせません。
その中でも壁や天井の仕上げ材として使われる不燃パネルは、デザイン性に影響します。
そこで今回は「不燃パネル」の基礎知識や用途、認定基準や防火性能、種類別のメリット・デメリットについて解説します。
ナチュラルな木目を生かした設計デザインを検討中の方におすすめの材料も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
● 不燃パネルは内装制限の対象部位などに使われる防火性の高い仕上げ材です。
● 不燃パネルには材質によっていくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
● 自然な木目を生かしたい場合には、不燃突板貼り不燃パネルがおすすめです。
● 私たち「柏田木材」は1950年に奈良県で創業して以来、国内外から上質な木材を仕入れて不燃突板貼り不燃パネルを含む高品質な木質建材を製造販売しております。
コンテンツ
不燃パネルとは|基本概要と用途
不燃パネルとは火災時の延焼を防ぐための建築材料で、火山性ガラス質複層板※不燃下地材に表面材を貼り合わせた化粧パネル材です。
※火山性ガラス質複層板:非木質ボードの一種で二酸化珪素を含む火山噴出物を主原料にロックウールやグラスウールで強化されているパネル材。不燃性・耐久性・軽量性・寸法安定性に優れている。日本工業規格 (JIS A 5440)
そのため、内装制限の対象となる壁・天井の仕上げ材やキッチンや給湯室など特に耐火性が求められる場所の壁材やパーテーションの面材へ使用されるのが一般的です。
また、表面材によっては外装仕上げ材として用いられたり、大判サイズのものはデザインウォールやデザインパネルと呼ばれてマンションの共用部や商業施設・福祉施設・教育施設など、公共性の高い場所に採用されるケースが多くあります。
そのほか、金属やガラスを主原料としているものや天然木材に不燃薬剤を注入加工している材料もあり、表現したいデザインによって使い分けられています。
不燃パネルの材質種類別メリット・デメリット
不燃パネルは、表面材の違いによって以下の種類に分けられます。
- メラミン化粧板・オレフィン化粧板
- 不燃突板化粧板
さらに、基材に火山性ガラス質複層板を用いていないタイプの不燃仕上げ材もあり、これらも特徴は全く異なりますので注意しましょう。
- 金属製不燃パネル(アルミなど)
- ガラス不燃パネル
- 不燃木材
それぞれメリットとデメリットがあるため、材料選定の際には注意しましょう。
メラミン化粧板・オレフィン化粧板
メラミン化粧板はメラミン樹脂とフェノール樹脂を染み込ませた紙を積層して高温高圧でパネル状に固めたもので、平均的には耐熱温度120℃程度、熱変形温度は180℃程度とされており高い耐火性を持ちます。
オレフィン化粧板は、表面材にポリプロピレンやポリエチレンなどからできたオレフィンシートを用いており、基材を不燃材をすることで耐火性を高められます。
オレフィンは原料に塩化ビニルを含んでいないため、燃焼時に有毒ガスが出ず、環境配慮型建材として採用されるケースも珍しくありません。
どちらも印刷技術による豊富なカラーバリエーションが魅力ですが、木目調・石目調などもプリントなのでリアル感は欠けます。
天然木突板不燃パネル
突板とは原木を0.2〜0.3mm程度に薄くスライスした素材で、それ自体に不燃性はありません。
しかし突板を不燃材へ接着したものが不燃材料などとして国土交通大臣の個別認定を受けています。
なぜなら、突板は極薄で火災時にも周囲へ延焼する前にすぐ燃え尽きてしまうからです。
突板を表面材としているためレパートリーは木目に限られますが、様々な樹種の突板不燃パネルがあります。
木目や質感はまさに天然木そのものなので、意匠性が求められる建物の内装材として採用されています。
ただし、触り心地は木材と比べると少々硬めです。
柏田木材では、様々な樹種の天然木突板貼り不燃パネルを製造販売しています。
突板の貼り方もお選びいただけますので、意匠性と不燃性を兼ね備えた内装仕上げ材をお探しの方はご相談ください。
アルミ製不燃パネル
アルミニウムの厚さが0.5mm以上であれば、建築基準法によって不燃材料として認定されています。
そこに化粧シートを貼ってそのまま仕上げ材として施工できるスパンドリル材やフラットパネル材が一般的です。
軽量な点と高い寸法安定性がメリットですが、表面の色柄はプリントで質感は固く冷たいため、人の手の触れる範囲にはあまり採用されません。
ガラス質不燃パネル
ガラスは建築基準法で定める不燃材料に含まれます。
それを化粧パネルに加工したのがガラス質不燃パネルです。
他の不燃パネルでは表現できない透明感が最大のメリットですが、コストが高いためアクセントとしてごく一部に使われるケースが一般的です。
不燃木材
不燃木材とは、天然木材にホウ酸やリン酸アンモニウムなどの不燃薬剤を注入した材料で、そちらを仕上げ材として使うケースも増えています。
見た目や質感はまさに無垢材そのものですが、経年によって表面へ溶け出した薬剤が結晶化して現れる白華現象が起こる可能性があり、分厚くなるため仕上げ材としては施工効率性や納まりの点で採用が難しくなるケースは少なくありません。
ただし、白華現象が起こりにくい薬剤や白華現象を低減する塗料なども開発されていることから、不燃木材の採用事例は増えています。
〈おすすめコラム〉
【不燃木材】メリット・デメリットや建築基準法との関係について解説
木材は塗装で“不燃化”できる?建築基準法との関係や塗料の種類を解説
柏田木材は、不燃木材の不燃塗装を自社工場にて行なっています。
不燃木材や木質建材の選定に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
不燃パネルの認定基準と性能
不燃材料は防火材料のうちの一つであり、性能基準は建築基準法によって規定されています。
防火材料は、“一定時間”以下の状態を維持できる性能を持つ材料を指し、国土交通大臣によって素材ごと・製品ごとに認定を受けます。
- 燃焼しないものであること
- (火災時に)防火上有害な変型、溶融、き裂、その他の損傷を生じないものであること
- (火災時に)避難上有害な煙またはガスを発生しないものであること
(参考:建築基準法施行令第108条の2「不燃性能及びその技術的基準」)
防火材料は、上記性能を維持できる時間に応じて「不燃材料(加熱開始後20分)・準不燃材料(加熱開始後10分)・難燃材料(加熱開始後5分)」に分けられます。
防火材料の種類 | 性能基準 | 認定材料 |
---|---|---|
不燃材料 | 加熱開始後20分以上要件を満たす | コンクリート・モルタル れんが 瓦 陶磁器質タイル 繊維強化セメント板 厚さが3mm以上のガラス繊維混入セメント板 厚さが5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板 鉄鋼アルミニウム 金属板 ガラス 漆喰 石材 厚さが12mm以上の石膏ボード(ボード用原紙の厚さが0.6mm以下) ロックウール グラスウール板 (参考:国土交通省|不燃材料を定める件(建設省告示第1400号)) |
準不燃材料 | 加熱開始後10分以上要件を満たす | 不燃材料に該当する材料 厚さが9mm以上の石膏ボード(ボード用原紙の厚さが0.6mm以下) 厚さが15mm以上の木毛セメント板 厚さが9mm以上の硬質木片セメント板(かさ比重0.9以上) 厚さが30mm以上の木片セメント板(かさ比重0.5以上) 厚さが6mm以上のパルプセメント板 (参考:国土交通省|準不燃材料を定める件(建設省告示第1401号)) |
難燃材料 | 加熱開始後5分以上要件を満たす | 不燃材料・準不燃材料に該当する材料 難燃合板で厚さが5.5以上のもの 厚さが7nn以上の石膏ボード(ボード用原紙の厚さが0.5mm以下) (参考:国土交通省|難燃材料を定める件(建設省告示第1402号)) |
防火材料の耐火性能は「不燃 > 準不燃 > 難燃」であるため、不燃材料は全ての規定範囲(内装制限・外装に関する防火規定)に対応できます。
告示で定められているのは“素材”のみであり、認定材料以外でも性能試験にクリアした製品は国土交通大臣より「個別認定」を受けられます。
製品ごとに認定番号が与えられ、その番号を見ると不燃・準不燃・難燃どれで認定されているかが分かります。(NM-◯◯◯◯=不燃材料)
(参考:国土交通省|建築基準法に基づく構造方法等の認定に係る帳簿等)
そのため、内装制限やその他様々な防火規定がかかわる公共建築・中規模以上建築の材料選定をする際は、素材だけではなく製品ごとの個別認定番号も確認しましょう。
〈おすすめコラム〉
【内装制限】建築基準法を分かりやすく解説|建物種類・不燃材料・2025年建築法改正についても
【内装制限の緩和】対象条件や住宅・店舗・オフィスの違い、消防法との関係性を解説
1950年創業「柏田木材」の天然木突板貼り不燃パネル|厚み・サイズ
柏田木材は吉野杉や吉野桧の産地として知られている奈良県で1950年に創業して以来、良質な原木を仕入れて様々な建築木材へ加工販売する木質建材メーカーです。
これまで培った知識とネットワークを活かし、国産材・地域(地産)材の活用や不燃パネルの製造、不燃木材の加工、その他特殊塗装にも対応できる製品を取り扱っております。
当社の不燃パネル(個別認定番号:NM-1276)は、豊富な樹種とサイズ展開が強みです。
製品種類 | サイズ | 塗装 突板の貼り方 |
---|---|---|
規格サイズ | 厚さ:6mm・9mm 幅(奥行き):450mm 長さ:1818mm・2424mm | 塗装:ウレタン塗装(艶の調整可能) 突板の貼り方:ランダムマッチ※ |
特注サイズ | 厚さ:〜90mm 幅(奥行き):〜1,220mm 長さ:〜2424mm | 塗装:ウレタン塗装(艶の調整可能) 突板の貼り方:ランダムマッチ、スリップマッチ※、ブックマッチ※など |
※ランダムマッチ:木目の模様と向きが揃わないように突板を並べる貼り方で、よりナチュラルな仕上がりになる
※スリップマッチ:木目の模様と向きが同じ突板を並べる貼り方で、規則性があり整然とした仕上がりになる
※ブックマッチ:木目の模様と向きが反転するように突板を並べる貼り方で、規則性がありながらも装飾的な仕上がりになる
規格サイズ・特注サイズともに40樹種以上の突板に対応しておりますので、多彩なデザインを実現できます。
【主な樹種】杉・桧・米栂・米松・オーク・バーチ・メープル・ウォルナット・チーク・チェリー・アッシュ・カリン・カバ
柏田木材の天然木突板貼り不燃パネルは、樹種や突板の貼り方をお選びいただける点に加えて、様々なオプション加工にも対応できます。
- 木口貼り
- 木口着色
- 面取り加工
- 突板の板目※・柾目※指定
※板目(いため):山形が連なる木目で、年輪の接線に沿って切り出すと現れる
※柾目(まさめ):直線的なラインが並ぶ木目で、年輪の接線に直行する部位を切り出すと現れる
柏田木材は、自社製品を販売するだけに留まらず、お客様のご要望や課題を伺いながら仕様を共に決めていく“開発支援”や、“特注製造”も行っています。
そのため、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫したサポートを提供できる点が弊社の強みです。
「こんな材料があればいいのに」というお悩みを解決するお手伝いをいたします。
〈おすすめコラム〉
〈ウレタン塗装+木材〉メリット・デメリットや経年変化、その他塗料との違いを解説
まとめ
不燃パネルは主に内装建材の対象となる場所の仕上げ材として使われる防火性の高い建築材料です。
素材によって特徴やメリット・デメリットは異なりますので、デザインやご予算に応じて適切なものを選びましょう。
自然な木目を生かした設計デザインにしたい方には、天然木突板貼り不燃パネルがおすすめです。
“柏田木材”は、良質な原木を仕入れて多種多様な商品を製造しているからこそ、木材のプロとしてお客様のご予算・設計デザインに合う木質建材を提案いたします。
「どのような経年変化が現れるか心配」
「既製品の材料では設計デザインにフィットしない」
「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」
「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」
「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」
そんなお悩みを抱えている企業様を、私たちがしっかりサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。