【針葉樹と広葉樹】建築木材としての違いや見分け方を徹底解説|木目・硬さ・加工性・用途・価格

【針葉樹と広葉樹】建築木材としての違いや見分け方を徹底解説

樹木には「針葉樹」と「広葉樹」があります。

それぞれ生物学的な違いだけではなく建築木材へ加工された際の特徴も異なり、どこに用いるのかによって適した材料を選ぶ必要があります。

そこで、今回は「針葉樹と広葉樹」について、それぞれの特徴と代表的な樹種、木目・硬さ・加工性・用途・価格などについて徹底比較します。

木の魅力を生かした設計デザインを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

コラムのポイント

● 針葉樹と広葉樹には性質や産地、価格に違いがあるため、施工する部位やコンセプト、ご予算によって適した材料を選ぶことが重要です。

● コストパフォーマンスの高い良質な木材にこだわりたい方には、国産の針葉樹材がおすすめです。

● 私たち「柏田木材」は、1950年に奈良県で創業して以来、国内外から上質な木材を仕入れ、高品質な木質建材を製造販売しております。



針葉樹と広葉樹とは|それぞれの特徴と代表的な樹木の種類

針葉樹と広葉樹はそれぞれ特徴が異なります。

建築材料として加工される代表的な樹種と合わせてその違いを紹介します。

針葉樹

針葉樹の特徴

針葉樹は、針のように細く尖った葉が一番の特徴で、幹が空に向かってまっすぐ育ち、枝分かれが少ない樹種が大半です。

幹の大半が細い仮道管※で形成されており、広葉樹と比べるときめ細かい滑らかな触り心地の木肌を持ちます。

※仮道管:水を根から樹幹を通して葉へ送る管

日本で育つ針葉樹スギ・ヒノキ・カラマツ・マツ・ツガ・ヒバ・モミなど
海内で育つ針葉樹アカマツ・イエローパイン・スプルース・ベイスギ・ベイヒバ・ベイマツ・レッドウッドなど
(建築木材へ加工される樹種)


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広葉樹

広葉樹の特徴

広葉樹は平たく大きな葉を持つ樹種が多く、幹は針葉樹よりも太く湾曲していて、太い枝が四方へ伸びていく特徴を持ちます。

針葉樹のような細い仮道管はなく、太くて硬い道管※が繊維の間にランダムに並んでいるため、木肌は比較的粗目です。

※道管:仮道管と同様に水を根から樹幹を通して葉へ送る管で、仮道管に比べて直径が太くて硬い

日本で育つ広葉樹カツラ・クスノキ・キリ・サクラ・ケヤキ・ツゲ・シナ・タモ・ニレ・ブナ・ナラなど
海内で育つ広葉樹マホガニー・ウェンジ・イエローバーチ・バーチ・メープル・チーク・ウォールナット・チェリー・オーク・アッシュなど
(建築木材へ加工される樹種)


ポイント

日本国内の人工林で育つ樹木のうち、約97%が針葉樹です。

スギ44%
ヒノキ25%
カラマツ10%
マツ類(アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ)8%
トドマツ8%
広葉樹3%
(参考:林野庁|森林の適正な整備・保全の推進(1)

そのため、広葉樹を加工して作られる建築材料の大半が輸入材を用いたものになります。


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針葉樹と広葉樹の違い|木目・色合い

針葉樹と広葉樹の違い|木目・色合い

針葉樹と広葉樹とでは、製材した際の見た目にも違いがあります。

針葉樹・木目が真っ直ぐで比較的間隔が均等
・木目(年輪)がはっきりしている
・淡褐色なものが多い(節が目立つ)
広葉樹・木目がカーブを描き間隔は不均等
・木目(年輪)がはっきりと見えない樹種が多い
・樹種によって特徴的な杢目を持つものが多い
・樹種によって淡褐色から濃褐色まで色のレパートリーが多い

これらの特徴から、白木の美しさを活かす和風建築の仕上げ材には古くから杉や桧などの針葉樹が使われ、広葉樹の中でも褐色が強い樹種を使うと洋風な印象が強くなります。

ただし、パイン材などフローリングへ多く加工される針葉樹はモダンなインテリアと相性が良く、和風・洋風問わず多くのケースで採用されているため、「針葉樹=和風デザイン」「広葉樹=洋風デザイン」とは限りません。





針葉樹と広葉樹の違い|硬さ・重さ・耐久性・加工性

針葉樹と広葉樹の違い|硬さ・重さ・耐久性・加工性

一般的に、「針葉樹=ソフトウッド」「広葉樹=ハードウッド」と呼ばれており、ハードウッドの方が硬くて重く耐久性が高いとされています。

硬さの違いは、木材の空隙率(くうげきりつ)※にあります。

※空隙率:木材おける総体積に対する隙間の体積割合

針葉樹と広葉樹の空隙率を比較すると、針葉樹が高く広葉樹が低い傾向がみられます。(一部例外あり)

空隙率が低く密度が高い樹種ほど、全乾比重※の数値が大きくなるのが通常です。

※全乾比重:木材に含まれる水分が0%の状態(=最も軽い状態)における比重

樹種空隙率(%)全乾比重(g/c㎥
スギ770.35
ヒノキ730.40
カラマツ690.46
ウォルナット660.51
オーク610.58
ブナ590.62
(産地や個体によって数値が異なる可能性あり)
矢印
針葉樹・軽い
・柔らかい
・キズがつきやすい(耐久性は低い)
・加工しやすく、施工効率が良い
広葉樹・重い
・硬い
・キズがつきにくい(耐久性が高い)
・加工が大変で、施工効率は悪い
(バルサなど一部例外あり)


このように、針葉樹と広葉樹それぞれにメリットとデメリットがあるため、構造材や内装材など施工する部位に合わせて適切な木材を選ぶことが重要になります。

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針葉樹と広葉樹の違い|用途

針葉樹と広葉樹の違い|用途

針葉樹と広葉樹には、耐久性や加工性において違いがあるため、用途も異なります。

針葉樹加工性が高く軽い上にまっすぐな材料が多いため、建物の構造材や仕上げ材(羽目板材、フローリング)、合板の材料、箱など小物の材料に用いられます。
広葉樹硬くて耐久性が高いため、仕上げ材(羽目板材、フローリング)に加えて、細工を施す装飾部材や家具、食器の材料に用いられます。
高価でまっすぐな材料を確保しにくいため、構造材にはあまり使われません。


針葉樹は国内で多く育つことから様々なシーンで使われているのに対して、広葉樹は希少性が高い上に重くて硬く加工や運搬が大変なので、針葉樹よりも用途は限られます。

しかし一方で広葉樹の方が色味や木目のレパートリーが多いことから、装飾的な部分へ採用されるケースは珍しくありません。





針葉樹と広葉樹の違い|生育環境・成長速度

針葉樹と広葉樹の違い|生育環境・成長速度

建築材料として加工される樹木においては、生育環境や成長速度もポイントになります。

生育環境(生育地域)や成長速度によって価格に影響するからです。

針葉樹と広葉樹では成長に適した環境が異なるため、生育エリアが分かれています。(樹種によって一部例外あり)

針葉樹気温が低く、降水量がそれほど多くない環境を好むため、日本全域(沖縄エリア除く)や北米、ロシア、北欧が主な生育エリアです。
成長の早い樹種が多く、40~60年ほどで建築材料として加工できるサイズまで成長します。
広葉樹亜熱帯地域など気温が通年中比較的高く、雨の多い地域を好む樹種が多いものの、乾燥した土壌にも適応できる樹種もあるため、生育エリアは樹種によって世界全体に散在しています。
すぐに樹高が高くなるシラカパなど一部の例外を除き、成長速度は針葉樹よりも遅く、150〜200年かけて建築材料へ加工できるサイズへ育つ樹種もあります。





針葉樹と広葉樹の違い|価格

針葉樹と広葉樹の違い|価格

建築プロジェクトの材料を選ぶ際に重要となるのが「価格(コスト)」ですよね。

針葉樹・広葉樹ともに産地や樹齢、品質によって価格帯は異なり、それぞれブランド銘木も少なくありません。

ただし、一般的には以下のような特徴があてはまります。

針葉樹・植林から製材までのサイクルが35~40年程度なので、広葉樹よりもリーズナブル
・国産の木材が多いため、ほとんどが輸入に頼る広葉樹よりもリーズナブル
(吉野杉・吉野桧などのブランド銘木の中には広葉樹よりも高値で取引される例外的なものもあるため要注意)
広葉樹・成長速度が遅いことから営利目的の人工林が少ないため、国産材・輸入材問わず針葉樹よりも価格は高め(国産材の場合、針葉樹の価格と比べると1.3〜1.5倍)
・ほとんどが輸入材なので、運輸コストが上乗せされて針葉樹よりも価格は高め
(参考:林野庁|木材需給の動向


材料選定のポイントは価格だけではないものの、大量に木材を用いる中規模以上の建築物においては、針葉樹にするか広葉樹にするかでかなりコストの差が開く可能性もあります。




良質でコスパの高い材料にこだわるなら「国産材・県産材」針葉樹がおすすめ

良質でコスパの高い材料にこだわるなら「国産材・県産材」針葉樹がおすすめ

針葉樹の生育地は、国内の人工林において97%もの面積を占めます。(参考:林野庁|森林の適正な整備・保全の推進(1)

特にスギは北海道から九州まで全国各地で育てられており、都道府県や地域を限定した材料を使うことが可能です。(参考:林野庁|スギ・ヒノキ林に関するデータ

木材の産地を国内・地域に限定するメリットは以下の通りです。

  • 安定的に品質の高い建築木材を入手できる(世界の情勢に左右されずに、歴史の長い日本林業によって育てられた良質な木材を手に入れられる)
  • 近距離な場所から原木が運ばれるため、納期遅延のリスクが少ない(工程管理しやすい)
  • 長距離の運搬にかかるコストが上乗せされない
  • 運搬時に発生する大量の二酸化炭素を削減できる(SDGsやカーボンニュートラル実現に貢献できる)
  • 環境面でのメリットがCSRや企業(プロジェクト)イメージの向上につながる
  • 為替レート(円安ドル高など)の影響を受けにくい


日本では多くの針葉樹が生育していることから、コスパが高く良質な木質建材を使いたい方にこそ針葉樹がおすすめです。

ポイント

柏田木材は、吉野杉や吉野桧の産地として知られている奈良県で1950年に創業して以来、良質な原木を仕入れて様々な建築木材へ加工販売する木質建材メーカーです。

これまで培った知識とネットワークを活かし、国産材・地域(地産)材の利用にも積極的に取り組んでいますので、産地にこだわった材料を採用したい方はお気軽にご相談ください。


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柏田木材は、自社製品を販売するだけに留まらず、お客様のご要望や課題を伺いながら仕様を共に決めていく“開発支援”や、“特注製造”も行っています。

そのため、材料選定やデザイン構想段階から製造まで一貫したサポートを提供できる点が弊社の強みです。

「こんな材料があればいいのに」というお悩みを解決するお手伝いをいたします。





まとめ

針葉樹と広葉樹には特徴や用途に違いがあるため、どこへ施工するかによって適した建築材料は異なります。

また、産地や価格にも差があるため、ご予算や建物のコンセプトによる使い分けも重要です。

“柏田木材”は、良質な原木を仕入れて多種多様な商品を製造しているからこそ、木材のプロとしてお客様のご予算・設計デザインに合う木質床材を提案いたします。

「木質建材を使いたいが経年変化が心配」

「既製品の材料では設計デザインにフィットしない」

「国産材を使いたいがコスト面などでハードルが高い」

「希少樹種を使いたいが必要量の材料が確保できない」

「ウッドインテリアを採用したいが耐久性が心配」

そんなお悩みを抱えている企業様を、私たちがしっかりサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。





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